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都道府県花暦

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39.シダレザクラ(京都府)

千年の都・京都に、シダレザクラ(枝垂桜)といいますと、目の前に雅な桜色に包まれた古都のイメージが湧いてきますね。四季折々に、落ち着いた佇まいを見せる京都の町にあって、春を彩る桜はさまざまな姿や色、動きを見せながら、のびやかな町の空気を極上の春景色に染め上げています。

京都の桜で思い出すのは、初めて春の京都を訪れた時、嵐山・渡月橋からみた、大堰川の両岸の桜の穏やかさです。この日は、JR山陰線を亀岡方面から京都に入りました。保津峡のなだらかな景色の雰囲気そのままに、保津川から
大堰川と名を変え、直ちに桂川へと移り変わる水の流れは至高の桜色に包まれていたように思いました。以上のエピソードはシダレザクラのものではありませんが、京都の町には、数え切れないくらいの桜の木があって、それぞれに物語があって、それらの中には京の春風にはらりはらりと枝を舞わせている、シダレザクラがあるのだと思います。

シダレザクラ

シダレザクラ(YSK画)

シダレザクラは、一応学名の与えられたバラ科の種の名前のようです。花の見た目はソメイヨシノなど他の一般的な桜と大差はありません。枝が細く、文字通り枝が垂れ下がるような形になることが、強いて言えばこの桜の特徴であるといえなくもありません。園芸種も数多く認められるようで、花の色も白から淡紅色のものなどがあり、また花の形も一重であったり、八重であったりと、実に多様な容貌のシダレザクラを見つけることができますね。春の穏やかさそのままのやさしさと、気品溢れる落ち着きのようなたたずまいは、日本の春を代表する風情の1つと申し上げても過言ではないでしょう。

祗園・円山公園のシダレザクラは、しばしば観光名所として紹介される銘木として知られています。ライトアップされた桜は凛として夜空に向かい、夜半の涼しい風にそよぎながら、はらはら、はらはらとみずみずしい花弁を散らしていきます。桜吹雪はゆっくりと春の大地に降り積もって、あでやかな裾模様を描き出します。

微光射す枝垂桜に夜の風


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