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東京優景 〜TOKYO “YUKEI”〜

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#85 新宿御苑から西新宿へ 〜変化を続ける副都心とその周辺〜 (新宿区)

 2020年3月21日、千鳥ヶ淵から九段、四ッ谷と歩いてきた私は、新宿通りを西へと進んで、大木戸門より新宿御苑内へと入りました。この日は無料開放日となっており、桜が見頃を迎える苑内は極上の華やぎに満ちていました。

新宿四丁目交差点

新宿四丁目交差点
(新宿区大京町、2020.3.21撮影)
新宿御苑の風景

新宿御苑の風景
(新宿区内藤町、2020.3.21撮影)


新宿御苑の桜
(新宿区内藤町、2020.3.21撮影)
新宿御苑

新宿御苑の風景
(新宿区内藤町、2020.3.21撮影)
新宿御苑

新宿御苑・シダレザクラ
(新宿区内藤町、2020.3.21撮影)
新宿御苑

新宿御苑・桜とカエデの新緑
(渋谷区千駄ヶ谷六丁目、2020.3.21撮影)

 広大な芝生の広がる風景式庭園から南側をたどり、下の池や中の池あたりのシダレザクラを観賞しながらさらに木々の下を抜けて、日本庭園へ。苑内にはソメイヨシノはもとより、陽光やオオシマザクラ、ヤマザクラなど多くの種類の桜が植えられていまして、仲春から晩春の風景を鮮やかな桜色に染め上げます。四季折々に美しい風情を見せる新宿御苑ですが、この時季はまさに桜が主役となって、輝きを放っていました。カエデの新緑も芽吹き始めていまして、季節は春本番から初夏へと、そのバトンを受け継ごうとしていたのも印象的でした。

 春爛漫の新宿御苑を探勝した後は、新宿門より退出し、新宿駅方向へと歩を進めます。甲州街道(国道20号)を西へ、鉄路を超える高架上の歩道を歩いて行きますと、JR新宿ミライナタワーの超高層ビルに続いて、バスタ新宿やニュウマンの入る複合施設前へと至ります。甲州街道を挟んだ施設一帯は広大な歩道が確保されて、車道と歩道の動線が一新されています。高速バス路線のターミナルがバスタ新宿に集約されて利便性も格段に向上しています。そのまま甲州街道沿いを進んでも、新宿駅周辺の繁華街は連接していまして、世界最大のターミナル駅を中心とする集客を受け止めていました。

甲州街道沿い

甲州街道沿いの風景
(新宿区新宿四丁目、2020.3.21撮影)


JR新宿ミライナタワー
(新宿区新宿四丁目、2020.3.21撮影)


JR新宿駅南口
(新宿区新宿三丁目、2020.3.21撮影)
バスタ新宿前

バスタ新宿前
(渋谷区千駄ヶ谷五丁目、2020.3.21撮影)
西新宿側の甲州街道沿いの風景

西新宿側の甲州街道沿いの風景
(新宿区西新宿一丁目、2020.3.21撮影)
新宿駅西口の飲食店街

新宿駅西口の飲食店街
(新宿区西新宿一丁目、2020.3.21撮影)

 新宿駅西口の飲食店街を抜けて、繭の形をイメージした形が異彩を放つコクーンタワーの前へ、西新宿の高層ビル群のある方面へと進みます。西口駅前広場から続く中央通り沿いには1970年代から超高層ビルが次々と建設されて副都心としての姿が急速に整えられていき、1991(平成3)年の都庁移転により一応の完成形を見ることとなりました。現在西新宿と呼ばれる街区は、新宿駅が現在地に完成した1885(明治18)年以降もしばらくは農村的な景観を維持していた場所で、元来は「角筈(つのはず)」と呼ばれていました。1898(明治31)年に淀橋浄水場が建設されて、このエリアのランドマーク的な存在として長らく機能することとなりました。浄水場は1965(昭和40)年に移転、その跡地が再開発の基盤となって、現代的な超高層ビルが建ち並ぶ副都心へと変貌することとなりました。

 高層ビル街の西側には新宿中央公園の緑地が整えられています。富士見台と名付けられた築山の上には、旧淀橋浄水場に設けられていた洋風の四阿である六角堂が記念碑的に残されています。公園内の木々は徐々に新緑が生えそろおうとしていまして、花壇に植えられた色とりどりの花やソメイヨシノの桜色も相まって、春らしい装いに包まれていました。公園に隣接する十二社(じゅうにそう)熊野神社は新宿総鎮守として知られます。同社は、応永年間(1394〜1428)に中野長者と呼ばれた鈴木九郎が、故郷である紀州の熊野三山より十二所権現をうつし祠ったものと伝えられます。藩政期には境内に池や滝があって、江戸近郊における遊興の地としても知られる存在でした。

西新宿の高層ビル群

西新宿の高層ビル群
(新宿区西新宿一丁目、2020.3.21撮影)


東京都庁が見えてくる
(新宿区西新宿一丁目、2020.3.21撮影)
中央通り

中央通りの風景
(新宿区西新宿二丁目、2020.3.21撮影)
河津桜と超高層ビル群

河津桜と超高層ビル群
(新宿区西新宿二丁目、2020.3.21撮影)


新宿中央公園
(新宿区西新宿二丁目、2020.3.21撮影)
熊野神社

熊野神社
(新宿区西新宿二丁目、2020.3.21撮影)

 巨大ターミナルを軸に、江戸近郊における農村的な地域から浄水場のある町、そして近代的な副都心へと昇華した町並みは、地名も「西新宿」となり、その様相を劇的に一変させました。通りの名などにわずかに残るかつての地名に旧態を残しつつも、春の日差しを浴びる超高層ビルの林立する風景はどこか落ち着き払ったような表情をして、行き交う人々を迎え入れているように感じられました。

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