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都道府県花暦

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40.フジザクラ(山梨県)

山梨県花・フジザクラ(富士桜)は、文字通り富士山北麓を中心にに広く分布する桜です。一部箱根にも分布しているようです。富士山吉田口の登山道を進むと、ほどなくしてフジザクラの木に出会うことができます。木の高さは2メートルほどのものから、高いものでも8メートルほどということで、植物としては低木に分類されるようです。登山道脇に並木のように群生しているフジザクラの写真をいろいろなサイトで拝見させていただいたのですが、人の目線でたおやかな桜色を見せてくれる、穏やかな花なのかな、という感想です。「中の茶屋」付近には約2万本のフジザクラが群生をつくっているようで、1928(昭和3)年に、他に類を見ない規模の群生地として国の天然記念物に指定されているとのことでした。花季は、4月下旬から5月上旬にかけての晩春。富士山の雄大な風景を掠めながら、富士の名を得た桜をぜひ観てみたいなと思いますね。

フジザクラと富士山

フジザクラと富士山(YSK画)

フジザクラは、植物の種の名前としては「別名」で、公式にはマメザクラ(豆桜)という名称で知られています。豆桜とは、先にお話したように、木としてはやや「小ぶり」な桜であることからのイメージでしょうか。花も直径2センチメートルほどです。そのコンパクトさと、挿し木等でもよく生育する特質から、盆栽などとしても珍重される桜なのだそうです。

富士山の周辺、火山灰性の標高1000メートル前後の地域に集中して分布しているフジザクラは、富士山とともに暮らす山梨県の風土を象徴してきたのでしょうか。山梨県でシンボリックに紹介される花といえば、春先にいっせいに大地を「桃色」に染める桃の花など、特産のフルーツの花がさしあたっては思い起こされます。フジザクラの花は小ぶりで、それらに比べて華やかさではかなわないかもしれません。桃の花やスモモの花が甲斐の大地を埋め尽くす時、フジザクラはひそやかながらも、凛とした美しい花を富士の裾野に咲かせています。富士山とともにあるフジザクラの桜色もまた、山梨の大地にとっては、かけがえのない財産であるに違いありません。

富士桜映す湖面や逆さ富士


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