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都道府県花暦

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12.サクラソウ(埼玉県、大阪府)

サクラソウは、日本に自生していた草花で、北海道南部から四国沿岸にかけての川沿いの野原などに広く分布していました。春先に、ハート型のピンクや白色の美しい花をつけて、薄桃色や淡紅色の絨毯をつくるさまは、春の温かさやたおやかさを象徴する風景であると思います。常盤桜や乙女桜など、種類も豊富なサクラソウは、わが国の春の野原には馴染みの深い花であったのでしょうか。最近は、栽培種の多様化や、「プリムラ」と呼ばれる洋種やシナ種の培養も盛んになるなど、園芸の世界ではかなりポピュラーな花となっている一方で、自生種はその分布が次第に限られるようになってまいりました。

さいたま市桜区の田島ヶ原にあるサクラソウ自生地は、荒川の河川敷に広がる約4万平方メートルにわたっており、約100〜150万株のサクラソウが自生しているそうです。サクラソウの他にも、チョウジソウやツボスミレなど約200種の野草をも見ることができる、「春の楽園」です。自生地の周辺は「さくら草公園」として整備され、開花時期の4月いっぱいは、例年多くの人々で賑わうスポットとなっているようです。

サクラソウ

サクラソウ(YSK画)

一方、大阪府でも、府の南東奈良県境に位置する金剛山麓にも、サクラソウの一種である、「クリンソウ」の原生種が自生しています。クリンソウは、春から初夏にかけて、濃い赤紫の花を車輪状につけます。それが3〜5段になるため、そのようすを五重塔などの先端部分(「九輪」と呼びます)にたとえて、その名前が付けられたのだそうです。クリンソウ自体は、北海道から本州、四国に分布して、沢沿いなどの湿った場所に可憐な花を咲かせています。

穏やかな春の日和のもとで、明るいピンクが風に揺れるさまは、どこか心温まる風景のように感じられて、心が和みますね。

風に咲く薄色がかりてサクラソウ

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