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都道府県花暦

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28.ヤマユリ(神奈川県

三浦半島や津久井地方また丹沢や箱根など、ヤマユリは神奈川県内各地において、その大輪のあでやかな花を咲かせています。日本に古くから自生していた固有種のユリの1つで、適度な日照と、適度な水分、そして程よい水はけと保水性とを備えた土壌を持つ傾斜地が、ヤマユリの好む環境とのこと。これだけの条件を人工的な栽培で満たそうとするのは至難の業ですね。神奈川県下には、上記した地域を中心に、これらの条件を備えた傾斜地が多く展開していまして、そういった斜面には、野生のヤマユリが気品溢れる容貌を見せながら、その吸い込まれそうな純白の花弁に、夏の日差しをいっぱいに反射させております。その野趣溢れるヤマユリの美しさは、まさにそういったたおやかな丘陵地にあってこそ、いっそう素晴らしい、夏の情景として引き立つのではないでしょうか。

ヤマユリ

ヤマユリ(YSK画)

梅雨が明け、土用の暑さがいっきに地上に降り注ぐ中、立秋に向けて夏が最後に一際光り輝く頃、ヤマユリは独特の甘美な芳香を漂わせながら、大きい花をいっせいに開きます。梅雨明け十日の湧き立つような入道雲を抱え込ませた、ぎらぎらした大空を背景にしても、また日光と天水をいっぱいに浴びた、成熟した木々の濃い緑を透過した陽だまりのもとにあっても、さらには高原の生命の息吹を溶け込ませた軽やかな風に吹かれていても、実に鮮やかに、そしてどこまでも優美な姿を見せてくれる花だと思います。近畿以北の本州を中心に分布していまして、伊豆諸島周辺には、「サクユリ(別名タメトモユリ)」と呼ばれる大型の変種も存在します。

花言葉は、「全美・荘厳」。夏季の花としてのその気高さは、他の追随を許さない雰囲気さえ漂わせます。まさに、ユリの王様と言えるのかもしれません。

山百合の谷間に歌は木霊する

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