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関東の諸都市・地域を歩く


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#107 長瀞、秋の七草寺めぐり 〜渓谷美と季節の花々にふれる〜

 2016年9月11日、前日の長瀞町フィールドワークに続き、埼玉県長瀞町を訪れました。松の木が植えられ、宝登山へと続く参道と鳥居の見える風景も相まって、長瀞駅前は薄曇りの空の下、穏やかな佇まいを見せていました。毎年この季節に行われる「秋の七草寺めぐり」のコースマップをたどります。

長瀞駅

秩父鉄道・長瀞駅
(長瀞町長瀞、2016.9.11撮影)
撫子

不動寺・撫子
(長瀞町長瀞、2016.9.11撮影)
不動寺

不動寺
(長瀞町長瀞、2016.9.11撮影)
土蔵

土蔵の見える風景
(長瀞町長瀞、2016.9.11撮影)
水田

水田を見つけました
(長瀞町長瀞、2016.9.11撮影)
集落風景

桑畑のある集落風景
(長瀞町長瀞、2016.9.11撮影)

 最初は宝登山神社への参道を歩き、神社前のロータリーを見ながらロープウェイ駅方面へとゆるやかな上りの車道を進んで、撫子寺・不動寺へ。高台へと続く参道沿いには撫子の花がつつましやかに植えられていまして、可憐な花弁をきらめかせていました。不動寺は古来より観音信仰が篤く、霊場として多くの修験者の参詣を集めてきたこの地に、五大明王(不動明王を中心とした降三世(ごうざんぜ)明王,軍荼利(ぐんだり)明王,大威徳(だいいとく)明王,金剛夜叉(こんごうやしゃ)明王の総称)を勧請し建立されたものと伝えられます。観光地として多くの人々が訪れる長瀞駅近傍にありながら、その喧噪から離れて季節の情趣に浸ることができる境内で、そうした古来からの信心の空気を感じました。不動寺からの帰路は、落葉樹で覆われる森の間から長瀞駅周辺の町並みやそれを囲む山並みを捉えることができます。

 二番目の女郎花(おみなえし)の寺・真性寺(しんしょうじ)へは、北へおよそ2.5キロメートルほどの道のりを進みます。位置的には長瀞第一小学校の北東、秩父鉄道の線路を越えたあたりとなるため、不動寺からは一度国道140号へ戻り北上する形となります。この七草寺めぐりは、歩行者の安全や幹線道路を通行する車両への影響を少なくする目的からか、極力国道沿いを避けたルート設定がなされているのが特徴的です。そのため、長瀞第一小学校前までは国道西側の集落内の町道を進みます。沿道には美しい田園風景や、里山に抱かれるような近隣風景が展開していまして、初秋の草花の色合いとともに、快い散策を楽しめるようになっています。歩道橋で国道を渡り、集落の中に立てられた真性寺へ。境内に入る手前は女郎花の黄色い花畑となっていまして、白花のオトコエシも植えられて、あたたかみのある風景で整えられていました。

真性寺・女郎花

真性寺・女郎花
(長瀞町本野上、2016.9.11撮影)
真性寺

真性寺
(長瀞町本野上、2016.9.11撮影)
長瀞渓谷

長瀞渓谷
(金石水道橋より、2016.9.11撮影)
法善寺

法善寺三門
(長瀞町井戸、2016.9.11撮影)
法善寺・藤袴

法善寺・藤袴
(長瀞町井戸、2016.9.11撮影)
法善寺

法善寺
(長瀞町井戸、2016.9.11撮影)

 真性寺からは金石水道橋で荒川を渡り、右岸に点在する七草寺へと歩を進めます。岩畳や秩父赤壁などで知られる長瀞渓谷は、この橋の上からもその奇観を存分に探勝することができます。ライン下りやカヌーを楽しむ姿もしばしば見受けられます。急流によって削られた岩肌と、深い緑に包まれた河岸のコントラストは、長瀞の自然景観のハイライトとも言える光景です。橋を渡りきり、オートキャンプ場を一瞥しながら行き着く県道を横断し、北へ進みますと、藤袴(ふじばかま)の寺・法善寺(ほうぜんじ)の門前にたどり着きます。山号を金嶽山(かねだけさん)と称する法善寺は、戦国期の武将である藤田康邦が開基したと伝えられます。三門へ続く参道にはシダレザクラが植えられ、山裾に佇む堂宇はこの上のない清浄に包まれていました。フジバカマは古来より親しまれてきた山野草ですが、近年は環境省のレッドリストでは準絶滅危惧種とされるなど、希少な存在となっています。境内には雑種も含めて多様な「フジバカマ」が植栽されていました。

 この後もこの日の散策は続き、七か寺をすべてめぐり活動を終えています。この後の行程については、2017年に参加した七草めぐりの訪問記として、稿を改めたいと思います。続編をご期待ください。

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