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関東の諸都市・地域を歩く


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#144 春日部市街地散策 ~藤棚と初夏の花に溢れる風景~
 
 2018年4月29日、初夏を思わせる汗ばむ陽気の中、東武スカイツリーライン・春日部駅へ到着しました。周知のとおり、春日部駅は同線のほか、船橋から柏を経て大宮まで達する「東武アーバンパークライン(野田線)」の接続駅であり、利用者の多いターミナルとなっています。こうした背景もあり、鉄路が市街地を分断している現状から、長年同駅に高架化を望む声が市民の多くから上がっているようです。

春日部駅前

春日部駅前の景観
(春日部市中央一丁目、2018.4.29撮影)
東八幡神社

東八幡神社
(春日部市粕壁東二丁目、2018.4.29撮影)


大落古利根川沿いの散策路
(春日部市粕壁東四丁目付近、2018.4.29撮影)


大落古利根川沿いに咲いていた菜の花
(春日部市粕壁東四丁目付近、2018.4.29撮影)
大落古利根川越しに春日部市街地を望む

大落古利根川越しに春日部市街地を望む
(春日部市牛島付近、2018.4.29撮影)
桐の花

大落古利根川沿いに咲いていた桐の花
(春日部市牛島付近、2018.4.29撮影)

 駅前の大通りを進み、市役所前を通過し、「ララガーデン春日部」東の跨線橋で鉄路を越えて、日光街道の宿場町を基礎とする中心市街地へと入ります。中心市街地一帯の住所表記は「粕壁」の表記で、宿場町時代のそれを踏襲しています。郷土資料館前を通り、一宮交差点~北へと針路を採って大落古利根川の方向へ。市街地周辺の氏神である東八幡神社は市内でも有数の古社とされ、豊かな葉を繁らせ始めたケヤキの杜の下、こぢんまりとした社殿が建てられていました。堤防のソメイヨシノは葉桜となり、若草がいよいよ輝きを放ち始めた川沿いの遊歩道を、菜の花やハルジョオンが咲く風景の中歩きます。アーバンパークラインの下をくぐった先、川久保公園の辺りや、さらにその先の橋で左岸側に渡って市街地方面へと戻る道すがらでも、花壇に植えられたたくさんの草花や、高い枝先に可憐な花を付ける桐の花など、晩春から初夏を彩る数々の花が川沿いに咲いていました。桐の花は、春日部市の伝統工芸品である桐たんすなどとも関わりも想起させ、穏やかな水面や春空の色彩も相まって、とても気持ちよい散策を楽しむことができました。

 大落古利根川沿いから離れて、中心市街地の「かすかべ大通り」を西方向へ進みます。現代的な建造物群の中に、土蔵や町屋造の建物も残されて、歴史あるかつての宿場町の佇まいを残しています。「東 江戸 西南 いわつき(岩槻) 北 日光」と掘られた道標も、往時の都市体系を物語ります。市街地西端の最勝寺を見ながら新町橋方へ右折し、再び川沿いを歩き、程なくして大落古利根川に合流する古隅田川に沿って進んでいきます。住宅地の中を穏やかに進む古隅田川に沿った歩道も、快い雰囲気の散策路となっていました。川の南側の市街地へと入って、豊かな緑が目に鮮やかな八幡公園の前へと歩き、大通りを東進して駅前から進む通りの交差点まで戻りました。ここから南、大沼公園前までの全長およそ1キロメートルにわたって、歩道に藤棚がつくられていまして、涼やかな花を咲かせるさまは、初夏へ向かう季節の風物詩となっています。

中心市街地、町屋と道標

中心市街地、町屋と道標の見える風景
(春日部市粕壁二丁目、2018.4.29撮影)
古隅田川

古隅田川との合流点
(春日部市粕壁三丁目、2018.4.29撮影)
八幡公園

八幡公園の景観
(春日部市粕壁、2018.4.29撮影)
ふじ通り

ふじ通りの風景
(春日部市中央二丁目、2018.4.29撮影)


緑に溢れる藤棚
(春日部市内、2018.4.29撮影)
藤の花

藤の花が残っている場所もありました
(春日部市内、2018.4.29撮影)

 この年は比較的穏やかな陽気に恵まれたこともあって、訪れたこの日には既に大半の藤の花は見頃を過ぎていまして、鮮やかな明るい緑色を呈する若々しい葉をいっぱいにしなされていました。そうしたエネルギッシュな植物の営みが垣間見える藤棚の中であっても、一部には薄紫色のさわやかな藤の花が残されていた場所もあって、この季節らしい明るさに溢れていました。
春日部市の花はこの藤です。市内にある国の特別天然記念物である「牛島の藤」やこのふじ通りに因み制定されているといいます。この大藤は未だこの目にしたことはありませんが、大落古利根川とかつての宿場町を中心に広がるこの日の春日部散策は、藤をはじめ、あたたかさと慈愛に溢れた、たくさんの花々や緑に出会える行程となりました。


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