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関東の諸都市・地域を歩く


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#96 つくば駅周辺を歩く 〜研究学園都市の都心センター地区〜 

 2016年2月11日、1月の訪問に続き、つくば市を訪れました。今回はつくばエクスプレスを利用し、筑波研究学園都市における都心センター地区と位置づけられる、つくば駅周辺を概観しました。つくばエクスプレスは、常磐線の混雑緩和と研究学園都市と都心とを直結する交通機関の要請から構想され、2005(平成17)年8月に開業しています。秋葉原駅とつくば駅は最短で45分ほどで結ばれ、都心へのアクセスが飛躍的に向上しました。

つくば駅周辺

つくば駅周辺の景観
(つくば市吾妻一丁目、2016.2.11撮影)
中央公園

中央公園
(つくば市吾妻二丁目、2016.2.11撮影)
つくばエキスポセンター

つくばエキスポセンター
(つくば市吾妻二丁目、2016.2.11撮影)
つくば公園通り

つくば公園通り、つくば美術館前
(つくば市吾妻二丁目、2016.2.11撮影)

 つくば駅は、学園都市の東西を南北に貫く学園東大通りと学園西大通りとをつなぐ学園中央通りの地下にあります。中央通りの南側にはつくばセンターバスターミナルがあり、それを取り囲むように、ホテルやコンサートホールを擁する中核施設であるつくばセンタービルや、つくばクレオスクエアなどの商業施設が集約的に立地して、研究学園都市の表玄関としての都市景観が形成されています。農村的な土地利用が卓越していた場所に計画的に建設された経緯もあって、多くの施設が配置されながらも建造物群の密度は低くて、中央通りが広幅員であることも相まって、町自体の広がりはかなりゆったりとした印象です。そうした経緯から、通りを行き交う自動車の通行量も多くて、郊外型のショッピングモールとの競争もこのエリアに少なからぬ影響を与えているとの報道も目にしたことがあります。域外からの交通結節点として機能する一方、町の維持には現地に居住する住民の利用も重要であることから、こうしたマイカー流動への対応が今後ますます重要になってくると思われます。

 つくば駅前広場から中道通りを横断し、中央公園の緑地を左手に見ながら、1985(昭和60)年に開催された国際科学技術博覧会(つくば万博)の第二会場跡地に建設された記念施設・つくばエキスポセンターへ向かいました。建物の横には実物大というHIIロケットの模型が展示されていまして、科学技術研究の一大拠点としての当地を象徴していました。エキスポセンターの西から南をなぞるように進む「つくば公園通り」は、北の松見公園から南の赤塚公園まで、大規模な研究開発施設が立地するエリアを南北に貫く遊歩道です。全長は約7キロメートルあって、各施設がいかに広大な敷地を有してるかを示していますエキスポセンターから南へ、しばらくこの遊歩道を辿ってみることとしました。



つくば公園通り・学園中央通りを渡る
(つくば市吾妻二丁目、2016.2.11撮影)
学園中央通り

学園中央通り
(つくば市吾妻一丁目/同二丁目、2016.2.11撮影)
ペデストリアンデッキ上の広場

つくば中央通り・ペデストリアンデッキ上の広場
(つくば市吾妻一丁目、2016.2.11撮影)
センタービル前の広場

つくばセンタービル前の広場
(つくば市吾妻一丁目、2016.2.11撮影)

 公園通りは、中央通りなどの大通りはすべて跨道橋で越えていくため、幹線道路を信号待ちをせずに快適に域内を散策することができるようになっています。つくばセンタービル前は木立の配された広場が整えられていまして、みずみずしい景観が印象的でした。つくばセンター周辺はペデストリアンデッキになっていまして、つくば公園通りはそのデッキ上に接続する形になっています。BiViなどの商業施設が立ち並ぶ中を南へ歩きますと、遊歩道は両側に並木を従えて続いていまして、四季折々に美しい景色の中散策やジョギングができるように修景されているのが好感が持てました。竹園公園と南西に接するつくば国際会議場の建物の間を抜けて、緑豊かな散策路をさらに南へと足を運びます。南大通りを越える手前にはソメイヨシノの並木もありました。春には美しい桜色のトンネルとなるのでしょうか。

 通りの沿道には、研究関連施設の敷地が続くようになり、その境界には背の高い木が隙間無く植栽されて、外側から内部を容易に見通せないように設計されているようでした。そのため、通りはふんだんに緑に覆われる格好となっていまして、日の弱い冬場はやや寒さを感じますが、真夏は涼しい木影を提供することとなるように思われました。二の宮公園辺りまで来ますと、通りの西側は戸建ての住宅地が続くエリアとなって、職住近接を考慮した都市計画を想起させました。並木も松林となっている箇所があって、この地域が大規模に開発される前の植生を踏襲したものではないかとも想像しました。多様な木々に囲まれながら続く遊歩道の風景はとても快くて、研究開発地区と住区とを区分する役割を持たせながら、地域を南北に有機的に連接させていました。

つくば公園通り

つくば公園通り
(つくば市竹園一丁目、2016.2.11撮影)
つくば国際会議場

つくば国際会議場
(つくば市竹園二丁目、2016.2.11撮影)
つくば公園通り

つくば公園通り・松並木
(つくば市二の宮一丁目付近、2016.2.11撮影)
つくば公園通り

つくば公園通り・住宅地と接する
(つくば市千現二丁目付近、2016.2.11撮影)
洞峰公園

洞峰公園
(つくば市二の宮二丁目、2016.2.11撮影)
洞峰公園

洞峰公園の松波
(つくば市二の宮二丁目、2016.2.11撮影)

 洞峰(どうほう)公園は、洞峰沼の周辺に温水プールやアリーナ、テニスコート、野球場、アスレチックといったスポーツ施設を配置し、現代的な都市公園として整備したものです。沼の岸辺にはヨシの繁茂していまして、自然の沼地であったことを示していました。公園の木々はメタセコイアなど造成により植林された木々が大変を占めている一方で、幹の太い松林も認められまして、公園となる前からここに生育してきた木々も残されているように見受けられました。
つくば公園通りはさらに南へ赤塚公園まで続いていきますが、この後の予定も考慮して、つくば駅周辺の散策はここで終えて、バスでつくば駅前まで戻りました。つくば駅周辺は研究学園都市の開発とつくばエクスプレス開業によって変貌を遂げた一方で、豊かな自然と広大な大地を反映したのびやかさも併せ持つ場所でした。

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