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シリーズ・クローズアップ仙台

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#19 仙台七夕2004 〜商店街、それぞれの七夕〜 (前)


2004年、仙台に今年も七夕の季節が訪れました。仙台七夕祭りは、毎年8月6日から8日に開催されます(前夜祭として、5日夜には花火大会も行われます)。この仙台最大のイベントについて、このページでいずれお話ししたいと思っていたこともあり、開催期間が金曜日、土曜日、日曜日となった2004年、私も久しぶりに七夕へ出かけてみることにしました。今回の仙台七夕訪問の目的は、市街地中心部のメイン会場となっている一番町通り及び中央通のアーケード街の七夕を見ることではありません。仙台七夕祭りは、仙台市内全体をエリアとする祭りでして、仙台市内各商店街等においても、七夕飾りが通りを埋め尽くします。今回の訪問の目的は、そんな各地の商店街の七夕の様子を、なるべく多く記録することでした。8月7日・8日の両日、仙台市内を縦横に歩き、記録した七夕祭りの様子を、順を追ってご紹介してまいります。

7日未明に群馬県の各地を出た高速バスは、駅前の高層ビル・アジュール仙台から広瀬通を挟んだ向かいにある高速バス乗場に到着しました。午前6時。町を歩く人もまばらで、七夕飾りの大半はいたずら防止のためか、手の届かない高さに折りたたまれています。それもそのはず、仙台七夕はすべて本物の和紙、笹を用いる本格的な飾り付けを行うことが「売り」で、七夕飾り1本を作りあげるのに80万円から100万円がかかることも珍しくありません(もちろん、使われた飾りはその年限りのもの。基本的に使いまわしはしません)。いたずらされてしまってはたまったものではありませんからね。ペデストリアンデッキでは、ボランティアでごみを拾う人たちが見られました。仙台駅で荷物を預け、構内の飾りを撮影してから、いよいよ市内商店街の七夕めぐりに出発です。

JR仙台駅構内

JR仙台駅構内
(2004.8.7撮影)
大町

大町、背後の並木は青葉通
(青葉区大町二丁目、2004.8.7撮影)

朝市を過ぎ、ダイエーの横、東三番丁の交差点で青葉通を横断、中央通(新伝馬町;クリスロード)に到達します。ここからアーケードを西へ、東二番丁の大通りを渡ります。これより、商店街は「マーブルロードおおまち」になります。城下町ではここから「大町」となり、仙台城大手まで大店が軒を連ねていました。この付近の有力商店主たちが、1927(昭和2)年に、伊達時代からの七夕の風習を商店街振興のための行事として復活させたことが、今日の仙台七夕祭りへと発展しました。大町は、拙稿仙台市街地を歩く(後)にてご紹介しているとおり現在ではメインの通りからは外れた地域となっていますが、「御譜代町」を掲げる鐘楼付近を中心に、七夕飾りが朝の風に揺れていました。

大橋で広瀬川を越え、青葉城址から最新の市街地俯瞰写真を撮影した後、東北大学の川内キャンパスを抜けて、川内亀岡へ。朝早い時間で、かつ夏休み中ということもあり、静かな雰囲気の中、つややかな青葉山の緑せまる道を牛越橋方面へ歩きました。道は広瀬川に向かって連続的な坂になっていまして、ほどなくして広瀬川の清流を介して、仙台市街地方面や八幡方面への視界も開けます。大崎八幡宮の杜も鮮やかです。

土橋通り

土橋通りの七夕飾り
(青葉区八幡二丁目、2004.8.7撮影)
北山・輪王寺前

北山・輪王寺前
(青葉区北山一丁目、2004.8.7撮影)
JR北仙台駅前

JR北仙台駅前の七夕飾り
(青葉区昭和町、2004.8.7撮影)
宮町

宮町の七夕飾り
(青葉区宮町二丁目、2004.8.7撮影)

八幡町には、予想に反して七夕飾りはありませんでした。八幡町にとっては、やはりメインの行事は大崎八幡宮における小正月のどんと祭や、9月の例大祭ということなのでしょうか。土橋通りは、八幡一丁目・二丁目と、広瀬町・柏木二丁目との境界を形づくる、北西〜南東方向の通りの名称です。南の端に超高層マンションが立地し、それが通りの正面にランドマークとして屹立するようになりました。国見ヶ丘から国見を経て市街地へと至る至便な道路となっているため、細い街路の割に通過車両が多いのですが、七夕飾りがここかしこに飾られていまして、手作りの温もりを感じさせる穏やかさがありました。北八番丁から新坂通、北山、通町と経て至ったJR北仙台駅前にも、こども会や地域の商工団体等の手による、鮮やかな七夕飾りがありました。

北仙台から愛宕上杉通、北六番丁通と閑静な住宅地や学校の並ぶ地域を通過しますと、仙台駅北側の花京院から東照宮門前まで一直線に伸びる宮町の通りに出ます。こちらにもまた、通りの両側にたくさんの七夕飾りが飾られておりまして、そのあでやかさに目を見張りました。これらの飾り物は、商店主やこども会などが、七夕の日のために、何か月もかけて製作してきたもので、ほとんどは手作りです。商店ごとに趣向を凝らした飾り物は、当日、実際に飾られるまでは秘密にされているようです。商店同士、飾りつけの豪華さを競い合いながら、仙台七夕はより洗練された美しさを見せるようになった、というわけです。

市街地のメイン会場を一瞥し、訪れた木町通と荒町の七夕も、まさに見事の一言。それぞれの商店街における、七夕に対する並々ならぬ意気込みを感じずにはいられません。本当に、その絢爛さに見とれてしまいます。荒町もまた、若林区役所方面へとつながる至便な街路であるため、交通量が多い道路なのですが、やや道幅の狭い街路の覆い被さるように、くす玉や吹流しの色彩豊かな竹がしなっておりました。

木町通

木町通の七夕飾り
(青葉区春日町、2004.8.7撮影)
荒町

荒町の七夕飾り
(若林区荒町、2004.8.7撮影)

後半へつづきます。


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