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シリーズ・クローズアップ仙台

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#90 2014年7月、仙台駅東口を歩く 〜再開発が進む現在地を確認する〜

 仙台駅東口の状況については、これまでも本稿においてたびたび紹介してきました。第二次世界大戦における空襲の被害をあまり受けなかった仙台駅東口エリアは、仙台市街地の中心として繁華な街並みが維持されてきた西口とは対照的に、古くからの街並みが残る地域として高度経済成長期を過ごしました。新寺地区における土地区画整理事業を皮切りに、仙台駅東口エリアへと進んだ土地区画整理事業は、訪問時現在地区を貫通する「都市計画道路・元寺小路福室線」の工事が進捗している状況で、周辺の鉄砲町・二十人町地区も区画整理がなされた現代的な景観へとほぼ変えていました。

仙台駅西口

JR仙台駅西口・地下鉄工事が進む
(青葉区中央一丁目、2014.7.21撮影)
仙台駅東口

JR仙台駅東口の再開発中の街区
(宮城野区榴岡一丁目、2014.7.21撮影)
東七番丁

東七番丁の景観
(宮城野区榴岡二丁目、2014.7.21撮影)
元寺小路福室線

都市計画道路元寺小路福室線、宮城野橋方向
(宮城野区榴岡二丁目、2014.7.21撮影)

 訪問時現在、仙台駅東口はたくさんのクレーンが屹立して、自由通路やホテル建設に向けての工事が行われていました。BiVi仙台の前、ロータリーの北を進み、東七番丁の通りを北へ、元寺小路福室線方面へ歩を進めます。周辺は商業ビルやマンションなどによってすっかり充填された都市空間となっていまして、地上をJR仙石線が通過していた往時の面影はほぼ消失しました。西口の広瀬通と一体となる予定の同都市計画道路は、広々とした道路敷がさながら滑走路のように東西に延びていまして、超高層ビルのアエル北側へと延びていました。かつてはその形状から「エックス橋」と呼ばれた宮城野橋も元の橋は撤去され、徐々に同道路の東西の通路を一体化してJR線と新幹線の高架の間を突き抜ける構造へ改める土木工事が進捗しているようでした。

 駅に近い部分を中心に高層マンションも多く立ち上がり、中心商業地として高度に発達した西口エリアとは違った、住宅地域としての志向性も感じさせる土地利用が進んでいます。都市計画道路はもとは東から西への一方通行の狭い路地であった二十人町の通りを拡幅したもので、二十人町とは反対方向の一方通行路を構成していた一筋北の鉄砲町の通りは、大幅に幅を広げた二十人町(都市計画道路)に比して裏通り的な位置づけになりました。それでも片側一車線の交互通行の道路に整えられ、歩道も設置された道路は、現代における大都市の中心駅前の都市地域としての装いを備えています。仙台駅に近い鉄砲町通りの一角には「仙台アンパンマンミュージアム&モール」が2011(平成23)年7月に開業していまして、この日も多くの観光客を集めている様子でした。

鉄砲町

鉄砲町の景観
(宮城野区小田原山本丁、2014.7.21撮影)
鉄砲町和光公園

鉄砲町和光公園
(宮城野区鉄砲町中、2014.7.21撮影)
宮城野橋

宮城野橋を西口方面へ渡る
(宮城野区名掛丁、2014.7.21撮影)
定禅寺通

定禅寺通
(青葉区一番町四丁目/国分町三丁目、2014.7.21撮影)

 鉄砲町の鎮守である和光神社は、かつて地区の集会所のとなりに小じんまりとした鎮守の森を纏って、昔ながらの街並みにうるおいを与える存在でしたが、土地区画整理事業の進捗に伴って境内地は公園として整えられ、社地も旧所在地より南西に遷座して存立しています。立ち退いた家屋の跡地はさらに整備が進んでマンションや戸建ての住宅が立ち並ぶようになり、空き地が少なくなっている現況は、やはり仙台駅に至近であるという地域のポテンシャルのなせる業なのであろうと感心しながら、地域の今を概観しました。

 最後に都市計画道路を再び西へ戻り、新しい宮城野橋(エックス橋の正式名称)の歩道を渡って西口に進み、中央通から一番町へアーケード街を歩いて、緑の濃くなった定禅寺通の様子を確認しました。仙台の町は夏の美しい緑に彩られて、間近に迫った七夕の喧騒を控え、一時のインタバルを謳歌しているように感じられました。


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