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29.ヤシオツツジ(栃木県) つつじの仲間の花は、晩春のうららかな日差しのもと、一際鮮やかに花を咲かせるイメージがあります。これまで県の花としてご紹介してきました、ミヤマキリシマ(雲仙つつじ)や、静岡県のつつじなどは、いずれもこのような、鮮烈な色彩によって印象づけられるものであるように思います。そんなポジティブな表情を見せるつつじの範疇にあって、栃木県の花であるヤシオツツジは、どちらかというと穏やかな慎ましさの中で、凛とした美しさを見せる花であるように思います。 春まだ浅い、4月下旬から5月下旬の高原、栃木県では、奥日光いろは坂付近や塩原、那須高原を中心とした山林に、芽吹きの声を待たずして、たおやかなみずみずしい淡紅色や白色、濃紅紫色などに葉のない木々がいっせいに宿ります。ヤシオツツジは、葉よりも先に、やわらかな花をつけるのです。森の生命がいっせいに活動をはじめる序章として、ヤシオツツジの花は、ひっそりと、でもしっかりとした存在感を呈しながら、ゆたかな山の情景を作り出しているかのようです。
栃木県のシンボルとして、高原に春の到来を告げる「ヤシオツツジ」、実は種としての正式名称ではないようです。「ヤシオ」を冠するつつじとしては、「アカヤシオ」、またゴヨウツツジ(五葉躑躅)とも呼ばれる「シロヤシオ」の2種が知られていているようです。栃木県のページ等の写真を確認する限りでは、栃木県花「ヤシオツツジ」は、どちらかといいますと、「アカヤシオ」の方を主に指しているようです。上記挿絵も「アカヤシオ」を描いています。アカヤシオは、別名を「アカギツツジ」と呼ぶそうです。アカギ、とは言うまでもなく、お隣群馬県の赤城山のことでして、栃木県だけでなく群馬県方面にもゆかりを感じる花です。実際の分布は、福島県から表現付近にまで及んでいるのだそうです。 ヤシオツツジ(アカヤシオ)の花が枝という枝を春色に染める頃。それは同時に長かった山の冬がいよいよ帳を下ろす、確かなサインでもあります。 瀬を包む八汐躑躅の森淡し |
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