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関東の諸都市・地域を歩く


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#71 横須賀市街地を歩く 〜軍港と共に成長したまち〜

 2010年10月24日、やや肌寒い陽気の下でしたが、神奈川県の横須賀を訪れました。三浦半島の中央部に市域を持つ横須賀は、藩政期末期における浦賀へのペリー来航を端緒として軍港としての歴史を歩むこととなり、現在でも米軍横須賀基地をはじめとした日米両国の防衛県警施設が集積する重要拠点となっています。併せて、JRや京急線による都心や横浜市内への近接性から、近郊住宅都市としての側面も持っています。そんな横須賀市の中心市街地に近い京急横浜中央駅から街並みの散策をスタートさせました。

横須賀中央駅

京急横須賀中央駅
(横須賀市若松町二丁目、2010.10.24撮影)
中央大通り

中央大通りの景観
(横須賀市若松町二丁目、2010.10.24撮影)
市街地

三笠公園・記念艦三笠上から市街地を望む
(横須賀市稲岡町、2010.10.24撮影)
猿島

三笠公園・記念艦三笠上から猿島を望む
(横須賀市稲岡町、2010.10.24撮影))
どぶ板通り

どぶ板通り
(横須賀市本町二丁目付近、2010.10.24撮影)
どぶ板通り

どぶ板通り西入口付近、ショッパーズプラザ横須賀を望む
(横須賀市本町三丁目、2010.10.24撮影))

 三浦半島周辺は海岸線に丘陵地が迫る地形から、狭い平地を中心に埋め立て地を造成するなどして比較的稠密性の高い市街地が形成されている印象です。こうした地形が天然の良港として機能する一端ともなっているようにも感じます。実際、明治期の迅速図を確認しますと、先に紹介した大通り一帯は横須賀の伝統的な町場であった一方、すぐ東まで海が迫る地形であったようで、小川町より東の陸地は埋め立てによる造成地のようです。駅を出て正面のペデストリアンデッキが跨ぐ県道26号は「中央大通り」と呼ばれているようで、アーケードを擁する通りに面して多くの商店や金融機関が集積しています。近年、地域唯一の百貨店である「さいや屋」の一部施設や西友などの入っていた商業ビルが老朽化などにより取り壊され、再開発に向けての事業が進んでいるようで、地域の中核的な商業地としての再生が進んでいる途上のようです。

 市街地外側を迂回するように走る国道16号を右へ折れ、そのまま直進して三笠公園へ向かいました。噴水や横須賀市で誕生したという大型帆船“日本丸”のマストをイメージしたモニュメントで飾られた遊歩道を進みますと、戦艦「三笠」が記念艦として保存されている公園内へと導かれました。艦上からは横須賀中央の市街地のほか、間近の海の穏やかな風景、そして東京湾では唯一の天然島である猿島などを眺めることができました。

本町三丁目交差点付近

本町三丁目交差点から西方向、国道16号
(横須賀市本町三丁目、2010.10.24撮影)
本町三丁目交差点付近

横須賀芸術劇場・メルキュールホテル横須賀
(横須賀市本町三丁目、2010.10.24撮影)
ヴェルニー公園

ヴェルニー公園
(横須賀市汐入町一丁目、2010.10.24撮影)
JR横須賀駅

JR横須賀駅
(横須賀市東逸見町一丁目、2010.10.24撮影)
工業地域遠景

軍港めぐり船上から見た工業地域遠景
(横須賀市、2010.10.24撮影)
市街地遠景

軍港めぐり船上から見た市街地遠景
(横須賀市、2010.10.24撮影)

 三笠公園を一瞥した後は、国道16号沿線に戻り、本町一丁目から三丁目の京急汐入駅付近まで同国道に並行する商店街、通称「どぶ板通り」を歩きました。米軍基地に近接した立地から日米両方の文化が融合した雰囲気を持つ商店街は、“軍都”横須賀をシンボライズする存在として知られています。海軍カレーやバーガー、スカジャンなどのフードやアパレルの名物が誕生し、多くの観光客を惹きつけています。戦前にどぶ川が中央を流れていたため海軍工廠から厚い鉄板を提供してもらい蓋をしたことからその名がついたという商店街は、時代の流行に沿ってゆるやかに姿を変えながら、横須賀の町を活気づけているように感じれました。

 本町三丁目交差点付近は京急汐入駅が隣接し、ショッパーズプラザ横須賀や横須賀芸術劇場などの再開発施設が立ち並ぶ、開放的な街区となっています。工場やアメリカ海軍関連施設の跡地を1980年代以降に開発した場所であるとのことです。再開発地区にあるヴェルニー公園は、幕末に旧横須賀製鉄所(その後造船所となり海軍所属後は横須賀海軍工廠と改称、現在は在日米軍横須賀海軍施設となっている)の開設と運営を手掛け、日本の産業近代化に大きく貢献したフランス人技術者・フランソワ・レオンス・ヴェルニーを称えて命名されたものです。海軍施設を望むウォーターフロントの憩いの場として、海と山が間近に迫る横須賀の地勢を概観できる穏やかな公園でした。

 横須賀散策の締めくくりは、アメリカ海軍や自衛隊の艦船のほか、工場群や市街地などの横須賀の多様な町並みを海上から眺望することのできる「YOKOSUKA軍港めぐり」のクルーズに乗船しました。山が海岸近くまで迫る地形に拠って軍事的施設の要衝となった横須賀の歴史と、三浦半島一円の中核地として、首都圏の住宅都市や工業地域の一翼としての都市基盤を備えてきた横須賀の今とを軽やかに概観できました。

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