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シリーズ・クローズアップ仙台

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#41 SENDAI光のページェント 〜仙台を彩る冬の一大イベント〜


 どんと祭、七夕に続きまして、仙台を代表するイベントの1つ、「SENDAI光のページェント」をご紹介いたします。年の瀬が押し迫り、いよいよ冬本番となる頃、仙台の市街地はやさしい電球の光に包み込まれます。ケヤキ並木の美しい定禅寺通と青葉通をメイン会場として、そのケヤキに電球を施したイルミネーションの光です。例年12月12日から31日までの期間に行われています。2006年は定禅寺通は東二番丁通から西公園通までの4列のケヤキ全般と、青葉通の一番町周辺及び仙台駅前周辺のケヤキの木々に電球が取り付けられました。電球総数は約70万個で、20周年として盛大に開催された前年2005年の約100万個からは減少したものの、人通りやケヤキの数が多く人々の流れが集まりやすい定禅寺通に電球を集中させるなどの工夫もあって、変わりない美しい光のトンネルが2006年もここに出現していました。

青葉通一番町

青葉通一番町付近のページェント
(青葉区一番町二丁目、2006.12.29撮影)
ぶらんどーむ一番町

ぶらんどーむ一番町のイルミネーション
(青葉区一番町三丁目、2006.12.29撮影)
JR仙台駅

JR仙台駅舎の電飾
(青葉区中央一丁目、2006.12.29撮影)
仙台駅前・青葉通

JR仙台駅前・青葉通のページェント
(青葉区中央一丁目、2006.12.29撮影)

 2006年12月29日、2006年の終わりも近づいた仙台の町を訪れました。厳冬だった昨年と比べて格段に寒さは緩んでいるように感じられるものの、やはり仙台の冬は寒くて、折りしも日本列島に侵入してきていた寒気の影響もあって、昼過ぎから午後3時くらいまでは時折雪やみぞれがやや激しく舞うような天候でした。日中のフィールドワークを終えて、青葉通一番町へ。ここは仙台における老舗デパートである藤崎の店舗の南に位置して人通りの多いアーケード街です。しかしながら、ケヤキが3列に植えられている青葉通は、一番町付近を外れると、駅前から直結するアーケード街である中央通により人の流れが集中するため、一番町周辺を除けばそれほど人の流れが多くないエリアです。そのため、前述のとおり青葉通では一番町通周辺と仙台駅前付近のケヤキのみに電球を設置し、コストを抑える工夫がなされています。

 青葉通一番町付近の穏やかなページェントの光を確認し、年始を迎える鳥居や、さまざまなイルミネーションがかざられたアーケード街“ぶらんどーむ一番町”を歩き、繁華街の中心に位置して夜中まで人通りの耐えない広瀬通一番町へ。ここから定禅寺通までは「一番町四丁目買物公園」となります。通りの両側に雁木状のアーケードが施された商店街で、中央の屋根のない部分に両側のアーケードの屋根を土台にアーチ状の電飾が設置されていまして、シンプルながらもあたたかみのある冬のシーンを演出していました。そして、通りを埋め尽くす4列のケヤキにいっぱいに電球が輝く定禅寺通へ。

一番町四丁目商店街

一番町四丁目商店街のアーチ状の電飾
(青葉区一番町四丁目、2006.12.29撮影)
定禅寺通

定禅寺通・光のページェント
(青葉区一番町四丁目/国分町三丁目、2006.12.29撮影)
定禅寺通

定禅寺通、ケヤキの電球と月光
(青葉区一番町四丁目/国分町三丁目、2006.12.29撮影)


定禅寺通・ビルに映りこんだページェン
(青葉区国分町三丁目、2006.12.29撮影)

 定禅寺通はその圧倒的な迫力と美しさとに包まれ、まさに芋を洗うような人出です。電球は開催期間中、午後5時30分から午後11時までの間点灯されます。一定時刻に一度すべての電球を消灯し、時報とともに再点灯させる「スターライト・ウィンク」と称されるイベントや、学生音楽グループの演奏とのコラボレーションなど、協賛イベントも多く実施されています。まちを覆う電球の海、その光を映し出すビルのガラス、それらをひっくるめて輝くような通りは冬の寒さの中にあってひときわ冴え渡って、冬の仙台をあたたかく盛り上げます。

 光のページェントは1986(昭和61)年に、市民ボランティアの手によって始められました。当時の規模は、定禅寺・青葉の両通りに約30万個の電球を配置するというものでした。仙台の冬のイベントとして全国的な知名度を得ていく中で電球の数は徐々に増やされていきました。しかしながら、ボランティアの手による運営というスタイルは20年を経過した現在でもそのまま生かされていまして、市民の募金や企業の協賛金などに依存することから、電球の数は仙台の景況に大きく左右されてきたといわれます。近年は定禅寺通に隣接する市役所南の市民広場にあるヒマラヤシーダーの木数本を企業名を冠したツリーを設置する等により、一部広告収入を受け入れながら、市民有志の手によるイベント運営が続けられているのだそうです。私が学生時代から変わらぬあたたかさで通りを彩ってきたページェントを、当時の私は冬の風物詩として当たり前のように楽しんでまいりました。その影には多くの皆さんの尽力があるわけですね。

 23時までに消灯するページェントも、12月31日、ページェント最終日となる大晦日の日は0時まで点灯が続けられます。カウントダウンによって新年を迎えた瞬間、電球はいっせいに帳を下ろします。多くの人々は、ページェントのカウントダウンを見守った後、初詣へ出かけていくのだそうです。


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