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シリーズ・クローズアップ仙台
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#61 五橋駅の周辺 〜仙台駅南の高層化エリア〜 2000年代に入り仙台においても相次いで超高層ビルが建設されるようになり、仙台の中心市街地のスカイラインも劇的な変貌を遂げています。これまでの都心部における超高層ビルといえば、建設当時(1989年)に東北初の超高層ビルとして完成し仙台のランドマークとして一躍目を引く存在になった住友生命仙台中央ビル(「SS(エスエス)サーティ」の愛称で知られています)が中心でした。しかし1998年に仙台駅のすぐ北に接して再開発ビル「アエル」が完成して最高層の記録を塗り替えると、全国の大都市における超高層化の流れや都心回帰の傾向によりおもに域外資本による超高層ビルの建設が連続し、都心部に立地していた私立学校の郊外移転に伴い跡地を利用した再開発が進行、駅前の新たなランドマークとして衆目を浴びたアエルも完成わずか12年で高さでは第5位の規模となっています。 2008年暮れの仙台駅西口を出発し、ロフトの南で進行中の地下鉄工事の状況を一瞥しながらペデストリアンデッキを通り商業ビルのイービーンズの北の街路に入り、仙台駅前の身近な市場として親しまれている仙台朝市を覗いてみます。南町通りの一筋南のを東西に貫く街路の、イービーンズ西の街路から1ブロック分の一帯が仙台朝市の立地場所です(東三番丁が西端、東四番丁が東端)据える年末ということもあり小雪が舞う中でありながらも正月用品を買い求める人々で賑わっていました。
朝市を抜け東二番丁通りの大通りに出ますと、東北学院中学校・高等学校の跡地(2005年4月に宮城野区小鶴に移転)を再開発し現在北海道・東北地区で最も高い超高層ビルである「仙台トラストシティ」を含む街区である「仙台トラストシティ」の前に至ります。超高層マンションの「ザ・レジデンス仙台一番町」などともに2010年6月までに竣工した同エリアは、フィールドワーク時にはまだ建設中でした。通りを挟んで東側には前述の仙台における超高層ビルの嚆矢であるSS30が屹立し30年間における仙台都心における変化を象徴しているかのようです。SS30に南隣には東北地方のブロック紙を発行する河北新報社の社屋が立地しています。壁面にタイルで東北地方の地図が描かれていることで知られています。 トラストシティ側から見ますと、その社屋の背後に2つの超高層マンションが取り囲むように建設されています。東側は23階建ての「パークハウス仙台五橋タワー」、西側は28階建ての「シティタワー仙台五橋」となります(#51 五ツ橋通から柳町通へを参照)。シティタワー仙台五橋は東側に移転新築されたJR仙台病院の跡地に建設され、仙台中央警察署も同跡地に2005年2月に、一番町四丁目から移転してきています。愛宕上杉通りに面した新寺通り入口(五橋一丁目交差点)前に新築されたJR仙台病院の同通りを挟んだ東側、五橋一丁目交差点南東隅には、ホテルと高層マンション3棟などからなる再開発「アップルタワーズ仙台」も完成しています(2008年10月完工)。なお、愛宕上杉通りは五橋付近では区境となっており、通りの西側の五橋一丁目と二丁目は青葉区、東側の同三丁目は若林区の所在です。新寺通りを東に進み、JRの高架をくぐった東側、新寺地区に入る付近にも、五橋エリアに接してミッドプレイス仙台の再開発が行われ景観が一新されています。アップルタワーズ仙台はJT支店の、またミッドプレイス仙台はJR社宅の、それぞれ跡地に建設されています。
五橋の地名の由来が、愛宕上杉通りと五ツ橋通りの交点(五橋駅前交差点)にかつて存在した5つの橋にちなむことはこれまで何度かこの「クローズアップ仙台」において言及してきました。五橋駅前交差点は歴史的には南北の清水小路(しみずこうじ、伝統的な呼び方では「しずこうじ」)、東西の五橋通り(仙台城下町における「五ツ橋通り」は、上染師町より東、五橋駅前交差点までの区間のみの名称でした。五橋駅前交差点より東側は「連坊小路」。注)上染師町;五ツ橋通りを五橋駅前交差点方面に東へ折れる交差点付近の旧町名)の交差点で、南北の清水小路には道路の中央に一本の水路があり、東西の五橋通り〜連坊小路には道の両端に2本の水路があって、南北の通りには東西の2本の水路を越えるために4つの橋が、東西の通りには南北の一筋の水路を越えるために1つの橋がぞれぞれ架けられていて、それが「五ツ橋」と呼ばれたというわけです。橋を5つの花びらになぞらえた「梅花橋」という佳称もあったようです。ちなみに、仙台城下町では「○○通り」という場合、「○○へ向かう通り」という意味であるため、「五ツ橋通り」は「五橋に向かう通り」ということになるわけです。 「小路」という名称が示唆するように、五橋周辺は侍屋敷が立ち並ぶ閑静な住宅街であったことが類推されます。現在は市街地の南北を貫通する幹線道路となっている愛宕上杉通りは、北から上杉山通り、東五番丁、清水小路などの別々の街路(現在でも愛宕上杉通りを指して「東五番丁」などと呼ばれることがあります)を拡幅・直線化して完成されたものでした。1926(大正15)年に仙台市電長町線のルートとなり道路の拡幅が進み、戦後の1979(昭和54)年に上杉山通りが拡幅されて愛宕上杉通りが完成、東二番丁通りが市立病院前まで延伸されて愛宕上杉通りと接続していたことから幹線道路としての利便性が向上し、仙台駅に至近な事業所の集積するエリアの一翼を担う場所となっていました。2000年代に入り大規模事業所や学校施設などまとまったスペースを持つ多くの施設が移転や余剰地の整理を始めたことから一転して超高層ビルを主軸とした再開発の舞台となり、地域の様相は一変しました。仙台駅近くで同様に高層化が進む花京院エリアとともに今後を注目していきたい地域の一つであると思います。 |
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