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シリーズ・クローズアップ仙台
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#74 雪の仙台市街地を歩く 〜美しい雪景色と町並み〜 2010年12月25日、年の瀬を迎えた仙台を訪れました。太平洋側の仙台は通常、冬季は乾いた晴天が続く気候となります。しかし、この日は冬型の気圧配置が強まり、脊梁山脈の低い仙台平野周辺にも日本海側から雪雲が届いていました。仙台へ向かう新幹線の車窓からは関東平野では晴天であったものが郡山周辺では雪景色となり、福島盆地は曇天で積雪が認められなかったものの、到着した仙台駅前でははらはらと雪が舞っている、といった状況でした。駅構内には巨大なクリスマスツリーが飾られていました。
駅を出て、中央通のアーケード街を歩きます。雪が相変わらず降り続き、気温も零度近い厳しい寒さの中、多くの人々がアーケードの下を闊歩していました。中央通の商店街はかつての町名によって3つのエリアに分かれています。仙台駅に近い部分は「ハピナ名掛丁(なかけちょう)」、愛宕上杉通を渡って50メートルほどの地点から東二番丁通までが「クリスロード(旧新伝馬町(しんてんまち))」、東一番丁(一番町通)までが「マーブルロードおおまち(旧大町)」です。夏の七夕祭りでも煌びやかな七夕飾りが彩る商店街はこの季節、クリスマスイルミネーションや新年を迎える飾り付けが一斉に掲げられています。 一番町通を南に折れて、やはりアーケード街である「サンモール一番町」を進みます。地下鉄駅(青葉通一番町駅)が設置される予定の青葉通一番町では工事が本格化しようとしているところでした。南町通を過ぎ、五橋通を越えてさらに進んだ先は東北大学の片平キャンパスです。降りしきる雪は町の喧騒をも溶け込ませて、厳冬の静寂に導いているように感じられます。片平キャンパスは東北大学の最も歴史のあるキャンパスで、構内には近代建築物が多く残され、また松並木や枝垂桜など多くの緑に囲まれていることから、市民にとっても憩いの場となっています。この日は行き交う人もなく、銀世界の箱庭のような風景が広がっていました。
西に面する正門を出て、片平丁周辺の並木が雪をまとう様子や、氷雪の中をたゆたう広瀬川の景色を確認しながら霊屋橋を渡って伊達政宗の霊廟・瑞鳳殿(ずいほうでん)へ歩きました。清閑な経ヶ峰に佇むようにしてある霊廟は、その煌びやかな装飾も、鉛色の空の下、舞い降りる雪のヴェールに覆われてしばし輝きをひそめているように思われました。 夕刻となり、イルミネーションイベントである「SENDAI光のページェント」のメイン会場である定禅寺通へと急ぎました。通りを覆うケヤキ並木も一枝一枝に雪化粧が施され、いつもと違った幻想的な表情を見せていました。やがていっせいに点灯した電球は雪の並木をいっそう輝かせて、この上ない美しいコラージュを完成させていました。雪は依然として降り続けていて、未明まで市街地を包んでいたようでした。
翌26日は雪も止んで朝から晴天の陽気となりました。雪景色の広瀬川を渡ってまだ雪の残る青葉山に登り、綿帽子をかぶった木々越しに仙台市街地を眺望しました。輝きに満ちた街並みはどこまでも見通せて、太平洋の水平線も遠望できました。 |
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