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都道府県花暦

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31.ハナショウブ(三重県)

前項カキツバタに引き続き、仲夏の季節をしっとりとした雰囲気にまとめあげるハナショウブ(花菖蒲)を取り上げます。梅雨を間近に控えた頃、各地の湿地や湿性の土地にしっかりとした葉柄を立ち上げ、青や紫、白、薄紅などの鮮やかな花を咲かせる様は、季節が夏の盛りへ確かに向かっているのだということを実感させるとともに、その花弁の慎ましい青系統の色のごとき慈雨が大地に落ちる、盛夏に向けてのインタヴァルが訪れるシグナルでもあるようですね。このしっかりとした葉柄は、ハナショウブの特徴の1つです。葉の主脈が葉の中央に表に一本、裏に二本、はっきりと突出するのがハナショウブで、アヤメやカキツバタの葉脈にはそのような明確な突出はありません。また、ハナショウブはノハナショウブの園芸種としてさまざまな種類が一般化しておりまして、上記したような多様な色の花を咲かせているようです。その他、厳密に比較をしますとハナショウブとカキツバタ、アヤメの間にはさまざまな違いが認識されていますが、ごく簡単に識別する方法としては、花弁の基のところを確認するのがよいようです。花びらの基が、花菖蒲は黄色、カキツバタは白、そしてアヤメには網目状の模様があることから、区別ができるとのことです。以上のポイントを頭に置きながら、下の絵を描いて見ました。前項のカキツバタのものと比較して、そのあたりがうまく表現できているでしょうか?

ハナショウブ

ハナショウブ(YSK画)

広く普及している園芸種ですから、日本各地でハナショウブの名所が知られているところですが、三重県内では桑名市の九華(きゅうか)公園や明和町の斎王の森、伊勢神宮の勾玉池などが名所として著名なのだそうです(三重県ホームページより)。九華公園は、桑名城跡の本丸及び二の丸跡を利用した公園で、約4,000株のハナショウブが咲き乱れるほか、桜やつつじの名所としても知られているようです。また、斎王の森には国指定天然記念物のハナショウブと原種ノハナショウブ(ドンド花と通称されます)の群落が知られています。

なお、単に「ショウブ」というときも、多くの場合はハナショウブのことを指しますが、実はショウブはハナショウブとは本来は別の植物です。ショウブはサトイモ科の植物(ハナショウブ、カキツバタ、アヤメはいずれもアヤメ科)で、水芭蕉の花の中心にあるような、地味な花を付けます。葉全体に芳香があることから、端午の節句における菖蒲湯に使われます。このショウブ、古来「あやめ草」などとも呼ばれておりまして、しばしばハナショウブなどと混同されてきたようです。このため、アヤメのことを花あやめと呼ぶこともあります。


雲間より溢るる青き花菖蒲

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