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都道府県花暦

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24.クスの花(佐賀県)

広島県のもみじの花や香川県のオリーブに続き、意外な木の花を県花として制定している県として、佐賀県の「クスの花」をご紹介したいと思います。佐賀県は、県木としてもクスノキを制定しています。常緑の葉がてかてかしているさまがいかにもさわやかなクスノキ(楠)は、西南日本を中心に、各地に分布する、ポピュラーな樹木の1つですね。神社などの社叢林としても植栽されていることが多いように思います。季節が移り変わっても、瑞々しい輝きを保ちつづけるその葉の生命力が、古来より信仰の対象となってきたともいえるのかもしれません。佐賀県内でも各地に銘木とされるクスノキがありますが、中でも武雄市若木町にある、“川古の大楠”は同県内最大の樹勢を誇るクスノキとして知られているようで、根回り33メートル、樹齢は3000年を数えるのだそうです。全国的に見ても、このクスノキは第5位の大きさなのだそうです。ぜひ、この目で見てみたい木の1つですね。ということで、いくつかのホームページをあたったところ、このクスノキは文化的にも貴重な来歴を持つ木のようです。今を遡ること約1200年前、かの行基がこのクスノキを発見し、幹に観音像を彫り、頭部に高さ一寸七分余りの銅製の六臂(ろっぴ)をはめ込んだと伝えられているのだそうです。そして、その観音像は現在、六臂観音像とともに、大楠のそばのお堂に安置されているというのですから、驚きです。

クスノキとクスの花

クスノキとクスの花(YSK画)

クスノキのお話が続きましたが、では本題のクスノキの花へと話題を変えましょう。私たちにとって身近な植物の1つですから、皆さんの中には、この木の花をご覧になった方もきっと多いことと思います。花が咲くのは5月頃で、直径3ミリから4ミリほどの、白色ないし淡黄色の本当に小さな花をたくさんつけます。輝かしい葉の色合いに比べて、花は本当に小さいですので、地味な印象もありますが、その愛らしさは初夏の風物詩の1つとして、私たちに薫風のさわやかさを届けてくれているように思います。花はやがて、黒紫色の小さな実として成熟していきます。

クスノキについて、最後に1つ。常緑の葉を光らせているクスノキも、実は落葉するということをご存知でしょうか。この文章を書いているのは4月9日ですが、けやきの葉がうっすらと芽吹き始めた横で、クスノキの葉の一部が赤く染まって落葉しているさまを観察することができました。春がいよいよ深まる中で、クスノキはひっそりと自らを新陳代謝させて、開花と新緑の季節に備えているのですね。

楠の花に溢るる旅路かな

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