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新潟・天地豊穣

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#15 十日町雪まつりを訪ねる 〜豪雪地帯の克己の精神の結晶〜

 2017年2月18日、朝早く地元を出発し、鉄道で新潟を目指しました。列車が越後山脈に近づくにつれて徐々に青空の面積が小さくなり、沼田駅を過ぎた辺りからだんだんと積雪が見られるようになりました。乗換駅となる水上駅周辺は線路の周りに、雪が1メートルほどの高さで除雪されていました。長大な清水トンネルを越えた先は、ねずみ色の空の下、一面の銀世界が広がっていました。峻険な脊梁が分ける陰と陽の世界に、改めてこの国の多様性を実感させました。

上越線からの車窓風景

JR上越線からの車窓風景(後閑〜上牧間)
(群馬県みなかみ町、2017.2.18撮影)
JR上越線の車窓風景

JR上越線の車窓風景(越後中里駅付近)
(新潟県湯沢町、2017.2.18撮影)
ほくほく線の車窓風景

ほくほく線の車窓風景
(新潟県南魚沼市、2017.2.18撮影)
十日町駅

十日町駅西口の景観
(十日町市稲荷町三丁目、2017.2.18撮影)
越後水沢駅ホーム

JR越後水沢駅ホームから見た風景
(十日町市馬場、2017.2.18撮影)
雪像

水沢雪まつりひろばの雪像
(十日町市馬場、2017.2.18撮影)

 越後湯沢駅からは、第三セクターの「ほくほく線」に乗車します。首都圏から北陸方面への短絡ルートとして完成し長らくその役割を担ってきた同線は、北陸新幹線の金沢への延伸開業(2015年3月)以降は地域内輸送を専ら行うように変化しています。魚沼丘陵を直線的にトンネルで抜けていくほくほく線の車窓からは、茫漠として広がる雪原と、セピア色に沈む山並みとを眺めることができました。到着した十日町の駅前は、曇り空の下、2メートルにも近づこうかという雪が道路脇に積み重ねられていました。この日を含む3日間は、十日町を代表する冬のイベントである「十日町雪まつり」が開催されていました。1950(昭和25)年2月、豪雪地帯にあって雪に打ち克ち、「雪を友とし、雪を楽しむ」という住民の自主的な発意から初開催されたこの雪まつりは、「現代雪まつり発祥の地」として、今日まで受け継がれています。市民各層が趣向を凝らして雪像が制作されるとともに、「おまつりひろば」と呼ばれるサテライト会場にて多彩なイベントが開催されます。市内に点在する「おまつりひろば」は、巡廻するミニツアーバスにより訪ねることができます。

 十日町駅前を午前10時に出発するミニツアーバスに乗車し、市南部の「おまつりひろば」を回ります。非電化のローカル線である飯山線の越後水沢駅近くの会場には、龍と天女をイメージしたと思われる大作の雪像(市長賞を受賞)が一面の雪に覆われた集落の中にした雪像があって、市民がつくる手作りのまつりであることを主張していました。こぢんまりとした駅舎からホームへ出ますと、彼方の山並みの間は一面の銀世界で、その中に家々が点々とある風景が広がっていました。雪が融ければその下は水田で、夏には豊かな緑に覆われることとなると思われました。バスはこの後、高原にあるリゾートベルナティオに立ち寄り、そこから十日町市街地へ戻りながら、沿道の2つのおまつりひろばを巡っていきました。豊かな森に抱かれた雪像やかまくら、集落それぞれにつくられた雪像の豊かな表情を楽しみながら、信濃川が形成する河岸段丘上に広がる十日町市の諸地域の冬の風景を目に焼き付けました。

JR越後水沢駅近くの集落景観

JR越後水沢駅近くの集落景観
(十日町市馬場、2017.2.18撮影)
馬場地区の風景

馬場地区の風景
(十日町市馬場、2017.2.18撮影)
ベルナティオひろばの雪像

ベルナティオひろばの雪像
(十日町市珠川、2017.2.18撮影)
かまくら

ベルナティオひろばのかまくら
(十日町市珠川、2017.2.18撮影)
おまつりひろばと雪原

おまつりひろばと雪原の風景
(十日町市川治付近、2017.2.18撮影)
駅通り

駅通りの景観
(十日町市駅通り、2017.2.18撮影)

 ツアーバスによる郊外エリア訪問の後は、市街地周辺のまつり会場を歩きながら、十日町の町並みを散策しました。市街地の道路や歩道は除雪が行き届いていまして、比較的快適な町歩きができるように配慮されていました(なお、過去の天気を検索してみますと、この年の十日町は積雪が少ない年であったようでした)。十日町駅東口から延びる駅通りと、市街地を南北に貫通する目抜き通りである本町通り(国道117号)は、新潟県内では一般的に見られる雁木状の屋根が歩道を覆っていまして、雪国らしい市街地景観が整えられています。町中にも雪像や雪灯籠が随所に配されていまして、雪まつりの雰囲気を盛り上げていました。本町通りを北へ進み、近傍のおまつりひろばを訪ねている間に、雲間から青空が覗いて、鈍色に染まっていた雪が純白の輝きに包まれました。本町六丁目交差点西に位置する道の駅クロス10十日町と、越後妻有交流館キナーレもおもてなし広場として供されていまして、雪と触れあう人々で賑わっていました。

 高架で町を抜けるほくほく線の下をくぐり、飯山線の踏切を越えて市博物館へ。国宝に指定される「新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器」が展示されていることで知られます。信濃川流域に限って分布するデザインである「火焔式土器」などは実に表情が豊かで、十日町市周辺地域が古来より豊饒の大地であったことを想起させました。夕刻が迫るまで市街地周辺のおまつりひろばを訪ねながら、雁木と市街地とが重なる町並みを確認しました。市街地は信濃川右岸に広がる段丘上に展開しています。本町通りはその段丘面の東寄り、段丘崖に沿って通っていまして、その斜面上には寺社が鎮座し、その境内からは町並みの向こうになだらかな丘陵の山並みが連なる風景を眺望することができました。

本町通りの景観

本町通りの景観
(十日町市本町四丁目、2017.2.18撮影)


段丘を刻む田川の風景
(十日町市本町六の一丁目、2017.2.18撮影)
キナーレひろば

越後妻有交流館キナ−レの雪像
(十日町市本町六の一丁目、2017.2.18撮影)
火焔式土器

市博物館・火焔式土器
(十日町市西本町一丁目、2017.2.18撮影)
十二社神社

十二社神社からの町並み
(十日町市未甲、2017.2.18撮影)
十日町・夜景

十日町の夜景
(十日町市辰甲、2017.2.18撮影)

 この日の最後は、町並みから坂道を上った先に設営された特設会場で開催された「雪上カーニバル」を観賞し締めくくりました。終演が近づくにつれて日中はほとんど降っていなかった雪が降り出していました。すっかり日も暮れた町並みは随所に灯された灯籠の明かりが雪国の風情とホスピタリティを表現していました。十日町駅からJR線へと直通する臨時列車を待つ頃には、雪がすっかりと本降りとなっていました。

※本稿は、2017年の雪まつりについて記載しています。各年ごとに開催内容は異なります。

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