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新潟・天地豊穣

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#16 鳥屋野潟とその周辺 〜市街地する水郷地帯の景観〜

 2020年6月17日、JR新潟駅周辺を散策しました。前日から駅前のホテルに投宿していた私は、萬代橋までの夜景を歩いていました。本稿執筆現在(2023年1月)は解体されている旧万代口駅舎はいわゆる民衆駅と呼ばれる、国鉄と民間が共同で建設するスタイルが採られた建物でした。その昔ながらの駅舎を貫く南北連絡通路を抜けて、南口側へと進みました。高度経済成長期以降に急速に市街化した南口周辺の町並みは、シンボルロードとなっている「けやき通り」を軸に、多くの商業施設などが集まって、現代的な都市景観を呈していました。

新潟駅

JR新潟駅(旧万代口駅舎)
(新潟市中央区花園一丁目、2020.6.16撮影)
萬代橋夜景

萬代橋夜景
(新潟市中央区下大川前通2ノ町、2020.6.16撮影)
新潟駅前

新潟駅前(万代口)
(新潟市中央区花園一丁目、2020.6.17撮影)
新潟駅前

新潟駅前(南口)
(新潟市中央区花園一丁目、2020.6.17撮影)
けやき通り

けやき通り
(新潟市中央区南笹口一丁目、2020.6.17撮影)
国道8号

国道8号の立体交差
(新潟市中央区紫竹山一丁目、2020.6.17撮影)

 けやき通りをさらに南へ歩きますと、国道8号の高架へと至ります。市街地の南を貫通する大動脈である国道8号は、多くの区間で立体交差化がなされていまして、新潟県内における一大幹線道路として機能しています。その道路の下をくぐってほどない場所に、鳥屋野潟が存在しています。海岸付近にできる、砂州によって海から切り離された湖沼を一般的に「潟」と呼びます。鳥屋野潟は新潟市の中心市街地の南の内陸に位置していて、新潟平野に発達する複数の砂丘列の間に残された低湿地にある「水たまり」です。付近は海水面より標高の低い「ゼロメートル地帯」で、かつては水が引かない湿田が広がる場所でした。現在では、湖の西側にある排水機場から信濃川に排水することによって水位がコントロールされていて、かつての湿田は乾田化されています。

 市街地に接する水辺となった鳥屋野潟周辺は、県立鳥屋野潟公園として整備されるなど、都心に近い自然に触れられるエリアとして多くの人々を引きつける場所となっているようでした。すっかり緑も濃くなった桜並木と湖岸の水生植物もみずみずしい色彩をみせていて、穏やかな湖面に向かい合っていました。対岸には、デンカビッグスワンスタジアムやハードオフエコスタジアムのしなやかな躯体も見えていまして、彼方に見える弥彦山のシルエットと好対照を見せていました。

鳥屋野潟

鳥屋野潟
(新潟市中央区紫竹山六丁目、2020.6.17撮影)
鳥屋野潟

鳥屋野潟・桜並木
(新潟市中央区紫竹山七丁目、2020.6.17撮影)
デンカビッグスワンスタジアムを望む

デンカビッグスワンスタジアムを望む
(新潟市中央区神道寺南二丁目、2020.6.17撮影)
弥彦山を望む

弥彦山を望む
(新潟市中央区神道寺南二丁目、2020.6.17撮影)
鳥屋野潟公園

鳥屋野潟公園
(新潟市中央区女池南二丁目、2020.6.17撮影)


新潟駅前の景観
(新潟市中央区花園一丁目、2020.6.17撮影)

 公園の「女池エリア」と呼ばれる一角を散策した後は、梅雨時の気まぐれな天候もあって、断続的に雨が降る中、早々に散策を切り上げざるを得なくなり、市街地の中にわずかに残る水田のようすを確認しながら、自家用車を駐めていた投宿先のある新潟駅前へと足早に戻りました。高度経済成長期を迎えるまでは、いわゆる駅裏の開発が進んでいない地域と、湿田が卓越する農村地域が接していた界隈であった鳥屋野潟周辺は、乾田化と市街化が一気に進んで、その様相を大きく変化させるに至りました。新潟駅周辺における再開発の進捗もあいまって、都市のターミナル近傍の利便性の高い市街地としての進化が進んでいくことになるのでしょうか。

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