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そして、近江路へ・・・


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#13 焼き物の里、信楽を歩く 〜日本六古窯のひとつを育んだ風土〜

 2020年2月23日、滋賀県南部の山間にある信楽に早朝に入りました。信楽高原鉄道の信楽駅近くにある信楽地域市民センターの駐車可能な区画に車を止めて、この陶器の里ととしてあまりに著名なこの町の散策を始めました。早春のこの日の信楽は薄日が射しつつも曇りベースの天候で、時折吹きすさぶ風に冬の余韻を感じました。小規模な盆地を形成する大戸川を渡り、支流の信楽川に沿って続く炎の美(ひのみ)通りのプロムナードを歩きました。国道307号沿いには信楽焼を売る店が軒を連ねており、信楽焼を象徴する存在であるタヌキの焼き物も多く見受けられました。

信楽駅前・タヌキ象

信楽駅前・タヌキ象
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
炎の美通り

炎の美通り
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
信楽焼を売る店舗

信楽焼を売る店舗
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
新宮神社

新宮神社
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
新宮神社

新宮神社
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
窯元散策路の景観

窯元散策路の景観
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)

 駅入口の交差点を越えて、信楽伝統産業会館の前を通りますと、地域の祖鎮守である新宮神社の前へと行き着きます。715(霊亀元)年創建という伝統を持つ境内は、杉木立に穏やかに覆われていまして、鈍色の空の下佇む信楽の市街地を見守っているように感じられます。鳥居の横に据えられた狛犬は陶製であることが焼き物の街としての風情と矜持を滲ませていました。神社の西側の家並みは緩やかな斜面に展開していまして、その一帯に多くの窯元があって、信楽を象徴するような風景がそこには広がっていました。「窯元散策路」と名付けられたルートを辿ることによって、それらの個性的な窯元を訪ねることができます。焼き物を焼く中核的な施設である登り窯をはじめ、狸の置物や火鉢といった、信楽焼を彩った数々の陶器もここかしこに置かれています。

 昔ながらの穏やかな家々が点在する信楽の風景は、焼き物を生産する諸施設のつくるスカイラインをアクセントとして、のびやかな山稜に囲まれた盆地を軽やかに彩り、春まだ浅い空のしなやかな透明感を受け止めているようでした。土地が産業を生み、産業が文化となり、そして風土となっていく。焼き物がつくるそうした背景の中に咲く紅白の梅はとても穏やかに、早春の情景をつくりだしていました。登り窯の中には県の史跡の指定を受けるものもあって、六古窯のひとつとして長い歴史を持つ信楽焼の足跡にも触れることができます。

登り窯のある風景

窯元散策路、登り窯のある風景
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
窯元散策路の景観

窯元散策路の景観
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
丸又窯

丸又窯
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
陶器神社

陶器神社・参道入口
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
陶器神社

陶器神社
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)
信楽俯瞰

愛宕山からの風景
(甲賀市信楽町長野、2020.2.23撮影)

 信楽訪問の最後は、街を見下ろすことのできる愛宕山の山頂に鎮座する陶器神社(愛宕神社)を訪れました。深い森に抱かれた参道は、急な石段となっている部分も含んでいまして、町場からは隔絶された神域としての静謐に包まれていました。鳥居や狛犬がやはり陶器でつくられていることも、街の産業の発展を祈るこの町の気概を感じさせます。神社は毎年7月に執り行われる火祭り(松明の奉納)の舞台ともなります。早春の静かなこの空間が、土と火とを祀る神社に向かう祭祀の喧噪に包まれることに思いを馳せました。

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