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とうほくディスカバリー


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#2 2013年、宮城県内の桜をめぐる 〜遅い春を彩る桜色〜

 2013年4月28日、ゴールデンウィークの前半が始まった最初の日曜日、日帰りで宮城県内の周遊に出かけました。3月10日から11日にかけて郡山・仙台を訪問して以来の東北です。東日本大震災から2回目の春を迎え、その爪痕が残りながらも、東北にも穏やかな春が訪れていました。松島湾を望む西行戻しの松公園からは、満開を過ぎ散り行く桜の向こうにたゆたう松島の風景を一望することができました。

松島・西行戻しの松公園からの眺望

松島・西行戻しの松公園からの眺望
(宮城県松島町松島、2013.4.28撮影)
西行戻しの松公園

西行戻しの松公園の桜と松波
(宮城県松島町松島、2013.4.28撮影)
日和山からの望む旧北上川

日和山から望む旧北上川と石巻市街
(石巻市日和が丘二丁目、2013.4.28撮影)
日和山から南方を望む

日和山から南方を望む
(石巻市日和が丘二丁目、2013.4.28撮影)
日和山公園の桜

日和山公園の桜
(石巻市日和が丘二丁目、2013.4.28撮影)
日和山公園・オオシマザクラ

日和山公園・オオシマザクラ
(石巻市日和が丘二丁目、2013.4.28撮影)

 松島を後にして、石巻市の日和山公園へ向かいました。桜の名所としても知られる公園は、ソメイヨシノの多くは盛りを過ぎてわずかな花を残すのみとなっていましたが、オオシマザクラやシダレザクラなどに一部の桜はふんだんに花をつけているものもあって、晩春の風情を演出していました。石巻市の中心市街地の南にある日和山は、標高56メートルの洪積台地です。有数の河港であった石巻にあって、航行の際、天候を見る(日和見)のために利用されたためその名があります。

 東日本大震災による大津波は日和山の麓に位置する南浜地区に甚大な被害をもたらし、北側の中心市街地も全域が浸水被害を受けることとなりました。震災時も多くの市民がこの高台に避難したことも知られています。山上からは遥か彼方に牡鹿半島から沖に浮かぶ田代島や網地島を眺望することもでき、東から北方向へと目を転じれば、旧北上川の流れに寄り添うような石巻の市街地を俯瞰する、日和山は美しい風光に恵まれた石巻のランドマークです。震災直後以降から瓦礫は徐々に撤去され、眼下の南浜地区は、訪れたときはほぼ更地の状況でした。現在、県道240号のラインを境に北側は「新門脇地区被災市街地復興土地区画整理事業」による新たなまちづくりが進行し、南側では2021年の完成を目途に「石巻南浜津波復興祈念公園」の建設計画が進捗しています。

涌谷城跡

涌谷城跡・史料館(左)と太鼓堂(右)
(宮城県涌谷町涌谷、2013.4.28撮影)
涌谷城跡の桜

涌谷城跡・城山公園の桜
(宮城県涌谷町涌谷、2013.4.28撮影)
史料館からの眺望

史料館から江合川と涌谷市街地を望む
(宮城県涌谷町涌谷、2013.4.28撮影)
史料館からの眺望

史料館から涌谷市街地・背後の田園風景を望む
(宮城県涌谷町涌谷、2013.4.28撮影)

 石巻から北西へ進み、旧北上川の支流江合(えあい)川に沿った涌谷町(わくやちょう)へ。中心市街地と川を挟んで対岸の高台に位置する涌谷城跡は、ほぼ満開の桜によって包み込まれていました。北上川流域に展開する仙台平野北部(仙北平野とも呼ばれます)のほぼ中央にあって、日本で最初に金を採掘した(奈良大仏建立のために献上されています)箟岳丘陵の南端に位置する同城は、中世以降の要害で、藩政期には周辺地域一帯2万3千石を擁する仙台藩一門・涌谷伊達氏の居城でした。天守閣のような意匠の建物は町立史料館で、その傍らには近世からの城郭遺構である太鼓堂が並び立っています。城跡は「城山公園」として整備されていまして、春本番のこの日は、見事な桜の下、多くの人々が訪れて歓びの季節の風雅に浸っているようでした。

 史料館の階上からは、江合川に寄り添うように広がる涌谷の街並みを軸として、背後にたなびくような水田と、その向こうに横たわる松島丘陵の柔らかな稜線を遠望することができました。涌谷での桜を観賞した後は、小牛田(美里町)や古川(大崎市)、中新田(加美町)の市街地を経由しつつ奥羽山脈方面へ向かい、山形へと自動車を走らせました。仙北平野を貫流する豊かな河川とそれらが形成した低地を基礎とした田園風景の美しい景観を車窓越しに一瞥しながら、桜をはじめとした花々が咲き誇る宮城の春を体感しました。

 
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