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点描千葉市とその周辺
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#1 松戸から津田沼へ 〜習志野、愛すべき台地〜 津田沼へ向かうにあたり、現在の船橋市東部や千葉市花見川区の一部をも含む「習志野」の空気も感じてみたいという願望もあり、松戸へ赴き、そこから新京成線を利用して車窓の景観を楽しむことにいたしました。 北千住駅から常磐線快速に乗ると、程なくして松戸駅に到着します。荒川を渡り、亀有、金町と東京北東の穏やかな住宅地を電車は軽やかに進みます。以前、あるテレビ番組の中で地域探訪のようなコーナーがあり、「金町小カブ」というカブの特集をやっているのを見たことがあります。今でも畑作地としての往時の面影も残るであろう、首都近郊のつつましやかな当地の情感を胸に、常磐線車内10分間は過ぎていきました。 新京成線に乗る前に、松戸駅前の様子を概観。駅の東側も、西側も、高層ビルで充填されており、第一印象はちょっとせせこましいかな、そんな感触。その後、地図で確認し、駅の東側に相模台の台地が迫っており、線路と台地の端とのわずかな間に大きな建物が並んでいることもこの圧迫感に影響を与えていることを知り、少し安心。西口には、クリスマスツリーが飾られていて、西側につづくアーケードの商店街がこの威圧的な町の雰囲気をすこし落ち着かせているような印象を持ちました。とはいえ、駅の入口の通路をちょっと歩いただけの印象では覚束ないですね。また、しっかりと松戸の街を歩いて見たいと思います。今回は、先を急ぐ関係から、泣く泣く街歩きを断念し、新京成線に乗車しました。
線路は、相模台から稔台の台地を迂回するように、急速に宅地化したであろう松戸の台地上をうねうねと進んでいきます。地図を見ながら乗車していると、めまいがしてくるくらいの「のた打ち回り」ぶりです。実は、これにはわけがあり、新京成線が旧陸軍鉄道第二連隊の演習線を基にしているためだそうで、1つの運転区大隊が敷設する距離が45キロメートルと決まっていたため、その距離を確保する必要から、故意にルートを蛇行させる必要があったのだそうです。戦後新京成線として生まれ変わろうとした時も、土地買収がうまくいかなかったことなどもあり、線形の改善はほとんどの箇所で実現しなかったとのこと。鎌ヶ谷市内の初富〜二和向台までの区間は数少ない線形の改善がなされた場所の1つで、中央消防署から鎌ヶ谷地区をUの字に取り巻いて二和向台まで続く道はかつての線路跡で、南鎌ヶ谷1丁目地内には橋脚の残骸も残されているようですね。陸軍工兵学校の置かれた“軍都松戸”の名残が、新京成線の独特の情緒となって今に受け継がれているというのも、“住宅都市松戸”として生まれ変わったこの街を象徴しているようにも感じられます。 常盤平団地を過ぎ、陸自駐屯地前を過ぎ、北総開発鉄道と並走するあたりになって、ようやく住宅の密度も落ち着き、茫々とした鎌ヶ谷の台地を思わせる風景が見られるようになってきます。車窓から見た鎌ヶ谷市役所も、広大な敷地の中にぽつんと立っている印象でしたね。周辺は土地区画整理が行われている様子で、将来的には近代的な市街地に生まれ変わっているのかもしれません。 電車は、鎌ヶ谷大仏を過ぎて、二和向台、三咲、滝不動と、船橋市内の“習志野”のエリアへ入っていきます。広大な台地を、時折深い谷が削る下総台地のベースの上に、谷沿いの緑が豊かな中で、落ち着いた住宅地が広がっているように感じましたね。滝不動駅の名前のもととなった御滝不動の境内では、湧水があり海老川の水源になっていることも、台地性のこの地域の性格の一端が現れているような気がしますね。また、このあたりは下野牧といわれた馬牧があった場所で、広大な草原のなかで、馬が草を食む光景を思う時、習志野の牧歌的な風景が目に浮かぶようで、現在の高燥な住宅地としての景観もまた好感が持てるような気がいたします。 北習志野駅では、乗客がどっと侵入してきて、新津田沼、京成津田沼方面の集客がある程度あることを窺わせました。程なくして、イトーヨーカドーや丸井の建物のそばににうずくまるような新津田沼駅に到着し、総武線を跨いで住宅群の間をSの字に掻い潜りながら電車は京成津田沼駅に到着しました。 松戸から津田沼にかけては、高燥な台地の景観とその中での落ち着いた住宅地とが印象に残りました。まさに、習志野は“愛すべき台地”の印象なのでありました。とはいえ、今回は車窓から一瞥しただけで、心許ない報告に終始してしまった感は否めませんね。いずれ、このシリーズ中にでもこの地域を再び歩いて、習志野の今を感じることができればと思っています。 |
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