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10.ベニバナ(山形県) 7月中旬から下旬にかけて、山形県最上地方から村山地方を中心に、ベニバナの花がいっせいに咲きそろいます。山形市高瀬地区はその1つのようでして、シーズンともなりますと、山の麓が黄橙色でいっぱいに染まるとのことです。同地区では30戸あまりの農家が主に染料用として紅花を栽培しているようですね。 ベニバナは、染料としての実用から、日本でも古くから栽培されていたようです。日本には6世紀頃朝鮮半島を経由して入ってきたようです。『万葉集』にも、ベニバナを詠んだ歌が数多く収められています。山形県で栽培されている紅花は「最上ベニバナ」と呼ばれる種類で、栽培種としては、古くから山形地方で栽培されてきた出羽在来種が系統選択されて育成されてきたものなのだとか。とにもかくにも、山形県におけるベニバナ栽培の歴史は古いもののようですね。
ベニバナは、染料として古くから親しまれてきたのですが、その製品化へ至るまでの工程は実に多岐にわたるようでして、7月の花摘みに始まり、花振り、花もみ、水洗い、花ねせ、花ねり、花ふみ、花干しと経て、ようやく製品としての「花餅」が完成するようです。特に、花摘みについては、花にかなりの棘があることから、朝早く、まだベニバナに朝露が残っている頃から摘んだほうが肌に触れても痛くないという趣旨の歌詞が、地域の民謡である『紅花摘唄』に歌いこまれているというエピソードを、とあるホームページ上で発見しました。華やかな印象をもつベニバナの栽培・収穫は、内実はかなり労働集約的なもので、かつたいへんな苦労があり、ベニバナに秘められた汗と涙の歴史が染み込んだ鮮やかさ、といえるのかもしれないな、とも思いました。 地域の歴史を鮮烈に刻みながらも、ベニバナは夏の日差しをいっぱいにうけて、穏やかに山形の夏を彩ります。 ベニバナの咲く山なみの廃寺跡 |
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