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5.ノジギク(兵庫県) 秋の野原は、珠玉の輝きに溢れています。やたらと勢いのあるセイタカアワダチソウの隊列には少々閉口してしまいますが、穂が開いたススキの穂並が揺れる足元には、枯草に混じってたくさんのキク科の花たちが、小さいながらも、実に可憐な花を咲かせています。 兵庫県花の「ノジギク」も、そんな花の1つのようです。主に海岸に近い土手などに群生しているようで、姫路市的形町、大塩町には大きなコロニーがあり、植物学の権威として知られる牧野富太郎がこの地域を調査し、「日本一の大群落のあるところ」と紹介したのだそうです。この姫路市の群生地以西の西日本一帯に、広く分布する花、と紹介されていましたので、私はおそらく目にしたことはないのかな、と思います。ですので、秋の野原に多く咲いている野菊のイメージと、ネット上で豊富に紹介されている写真たちによって、この「秋の宝石」たるノジギクについて、思いを馳せてみたいと思います。 1つ1つの花の大きさは、3センチメートルから5センチメートル程度と、私が普段目にしている野菊よりは若干大きいようです。写真を見ると、まぶしい白色の花弁がくっきりとした印象です。これらが茎の先端部分に密集して咲くということですから、秋空の穏やかな日差しの下では、一際目立つことでしょう。収穫の季節を終え、秋の穏やかに土色に染められた大地に、いっせいに展開するノジギクの姿は、秋の野原の、ともすれば物悲しい風景を大いに緩和させ、見る人々の心を暖かくさせたのでしょう。ノジギクは、漢字にすると「野路菊」となります。季節の移ろいの中で、人々の身近な場所に寄り添ってきた花らしい、素朴な名前も、どこか魅力的な、心を落ち着かせる印象を与えているかのようです。
最後に、最初に紹介したホームページに載っていた、印象的な言葉を引用して、結びとしたいと思います。 20年前には、姫路市のコロニーにも白を中心に、ピンクや黄のノジギクがいっぱいに咲き誇っていたのだそうですが、現在ではかなり減少しているとのことです。県民のノジギクへの関心は、どれほどなのでしょう。自然の中で、風格を感じさせる花です。 その野趣溢れる「風格」が、今後も何気なく、野辺に輝きつづけることを、切に願いたいと思います。 野路菊の見た昔日の青い空 |
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