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34.すだちの花(徳島県) みかんの花・夏みかんの花の項を書き終えて、みかんの仲間の花を県の花にしている徳島県の存在に気がついて、しまったと思ってしまいました。いっしょにとりあげておけばよかった、と・・・。徳島県は、名産のすだち(酢橘)の花を県の花にしています。みかんの仲間の花は、基本的に形質的に似ているのですね。とはいいながら、みかんと夏みかんは、フルーツとして果肉を食するみかん、一方のすだちは果汁や皮を薬味として使用する調味料的な用途をするみかん、ということで別々にご紹介したほうがよいかな、という結論に至りました。そのため、みかんの花・夏みかんの花の項はそのままに、今回「すだちの花」編をリリースすることとさせていただきたいと思います。 すだちは、ゆず(柚子)の近縁種で、葉や枝ぶり、実など、確かに見た目ではゆずに類似します。徳島県原産の柑橘で、現在でも徳島県の特産物としてさかんに栽培されています。毎年5月中旬頃に、純白の小さい花を咲かせます。実はさわやかな味覚が珍重されていますね。ゆずは黄色く色づいてから収穫することが多いですが、すだちはまだ青い段階で摘み取られます。大分県の名産「かぼす」も同様に青いまま食用に供されますね。
みかんの花の項でも触れましたとおり、みかんの仲間であるすだちの花は、満開ともなりますと、周囲に甘い香りを漂わせます。徳島県では全県的に栽培されていますが、主要な生産地は佐那河内村や上勝町、神山町付近となっているようです。1960年代半ば以降栽培が盛んになり、現在ではハウス物(4〜8月中旬)、露地物(8月中旬〜10月中旬)、冷蔵貯蔵物(10月中旬〜3月まで)と、ほぼ1年を通してすだちを楽しむことができるようになりました。徳島県内の一般家庭でも、昔は一家に一本はすだちの木が植えられて、それぞれの家で食されていたといわれるくらい、阿波の生活文化に溶け込んできた植物のようですね。 すだちの実には、ビタミン類をはじめ、クエン酸やカリウムなどの栄養素が豊富に含まれており、疲れを回復し、体調を整えるにはすぐれた食品であるようです。徳島県の夏は、阿波踊りなどのエネルギッシュなイベントでたいへん盛り上がります。そうした県民のパワーの源の1つには、徳島県の大地をたおやかに彩るすだちの存在があるいはあるのかもしれませんね。 淡き空受け止め酢橘の花開く |
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