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33.ヤマモモ(高知県) 高知県の花して制定されている植物は、「ヤマモモ(楊梅;ようばい、別名)」です。言葉のニュアンスからしますと、山の桃、ということであろうと思いますが、桃の仲間ではありません。ヤマモモ科に属する常緑樹です。3月から4月にかけて、笹の葉に似た葉の付け根付近に、花弁のない赤橙色の小さい花をつけます。結実するのは6月、入梅の声を聞く頃で、直径1〜2センチメートルの真っ赤な実は、表面に小さな突起がついていまして、桑の実に似ているような気がしますね。真っ赤な実は赤紫色に熟す頃に食べごろとなり、甘い実はいたみやすいため、生のまま流通することはほとんどなく、果実酒やジャム、ジュース等に加工されるのが一般的です。この実の味が桃に似ていることから、山の桃、ということになったのでしょうか。 高知県の、黒潮に洗われる暖かい気候は、ヤマモモが自生するのには最適な条件のようで、県内各地において、広く自生しています。気象条件が似ている徳島県では、県の木としてシンボライズされているようです。関東や北陸地方西部より西側の、暖地に分布しているほか、庭木や都市における公園木、街路樹としても広く植樹されています。中国南部やフィリピンにも分布しているそうです。雌雄異株のため、通常雄株がそばにないと雌株は実をつけませんが、個体によっては、たくさんの実をつけているものもあり、歩道に実がたくさん落ちている光景を目にしている方も多いのではないかと思います。
ヤマモモの実は上記したように加工されますが、樹皮にもさまざまな用途があるようです。漢方では、樹皮を「楊梅皮」と呼び、下痢や打撲の薬として用いられています。また、楊梅皮は黄色や焦げ茶色の染料にもなります。漁網を染めると海水に強くなる、と紹介しているホームページも見つけることができました。 古くから人々ともにあり、身近な植物として利用されてきたヤマモモは、今日でも地域を彩り、季節を知らせ、私たちとともにあるように思います。 山桃の見下ろす歩道の広きかな |
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