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関東の諸都市・地域を歩く
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#130 新緑の鬼怒川温泉を歩く ~鬼怒川の渓谷美にふれる~ 2017年6月10日、梅雨入り発表直後の晴天のこの日、日光市鬼怒川温泉駅を訪れました。渓谷をなす鬼怒川の両岸に発達した温泉街は、昭和初期の鉄道開通とともに「東京の奥座敷」と呼ばれる一大観光地へと成長しました。鬼怒川温泉の魅力である、迫力ある渓谷と山々の緑の美しさを求めて、この日の活動を開始しました。駅前には、東武鉄道が運行を開始したSL「大樹」の転車台があって、タイミングが合えば、機関車が転換する様子を観察することができるとのことでした。
駅前の商店街や土産物店などが建ち並ぶ穏やかな商業地を通り、鬼怒川に架かる立岩橋(バス停の名称は「楯岩橋」)へと向かいます。国道121号の橋であることから交通量の多い橋からは、渓谷の上に立ち並ぶホテルや旅館の家並みと川沿いの緑、そして緩やかに流れ下る川の流れとを俯瞰することができます。ラフティングを楽しむ人々の様子も確認できまして、観光地として多くの人々を惹きつける温泉地の一面も垣間見ることができました。橋を渡りきった先で、有料区間となっている国道のバイパス区間が合流し、しばらく国道の歩道を進みました。国道に面する場所にも温泉旅館やホテルがあって、有数の温泉地としての態様を実感しました。鬼怒川の両岸に広がる温泉地を連絡するために、鬼怒川温泉街には先ほどの立岩橋をはじめ複数の橋が架けられていまして、歩行者専用のものも含めて6つの個性的な橋梁が渓谷を跨ぐ形となっています。国道から東へ路地を入り、鬼怒川観光ホテルの前を通過し川へ向かって歩きますと、歩行者専用の「ふれあい橋」へと進むことができます。 ふれあい橋からは、たくさんの岩が露出して急流をなす川の様子や、両岸の木々に彩られた渓谷、そしてそれらを望む温泉街の景観がより間近に感じることができます。東岸に設けられた石段には巨大な鬼のイラストが描かれていまして、鬼怒川温泉街に点在する鬼の像とともに、観光客を楽しませる仕掛けも随所に設けられています。新緑の季節の輝かしい早緑や秋の錦絵のごとき色合いなど、四季折々の自然が、ここを訪れる人々の目を奪うこととなるのでしょうか。石段を上って国道の旧道に出てさらに北へ向かい、上流の「くろがね橋」へと歩を進めました。くろがね橋の袂には足湯が設置されていまして足許を湯に浸しながら渓谷の風景を楽しむことができるほか、「くろがね橋河川遊歩道」を降りて、渓谷下の河原付近まで進むこともできます。くろがね橋の下の鬼怒川は淵となっているようで、水面は穏やかな翡翠色を呈して、周囲の木々や青空と絶妙なコントラストを見せていました。 橋上からの美しい渓谷美も変わらぬ爽やかさを演出しています。
くろがね橋を渡って西岸の階段や市道を進み、「湯の街公園」へと出て温泉街を歩き滝見公園へと至りますと、その公園からは鬼怒川の緑に溶け込むように架かる吊橋が目に入りました。滝見橋と名付けられたその吊橋は、付近に「結いの滝」と呼ばれる小さな滝があること空の命名です。とはいえ、滝見公園に設置された結いの滝の位置を示す表示の先を観察しましたが、木々の緑に覆われて、その姿を確認することはできませんでした。それくらい、滝見橋の周辺は鬼怒川の両岸が瑞々しい緑で覆われていまして、吊橋を渡りながら、水と緑が織りなす清々しい風景を楽しむことができます。西から東へ吊橋を渡った先も森の中で、優しい木漏れ日の下、涼やかな気分で散策することができるようになっていました。 滝見橋からは会津西街道を辿る市道に沿って歩き、鬼怒川公園を迂回しながら進んで、歩道橋を渡った先の鬼怒岩橋(車道)方面へと探索を続けていきました。鬼怒川公園内には、会津西街道藤原宿に建築された「中附の旅籠」と呼ばれる建物が移築されています。「仲付(なかつけ)」とは、会津西街道における特殊な輸送手段で、ひとりの仲附と呼ばれる人足が5から7頭程度の馬を率いて目的地まで送るというものであったそうです。藤原宿にはこの仲附を担う仲附宿が5軒存在していたとのことで、藩政期における、この地域での物流がどのようなものであったかを、その古い建物は物語っているようにも思われました。鬼怒岩橋を渡った先に、「大滝河川遊歩道」と記された案内板があるのが目に留まりました。遊歩道は河川敷に出て橋の下をくぐり取り付けられていまして、歩道からは岩場の間を迸るように流れる鬼怒川のダイナミックな姿や、森の中を勢いよく流れる上滝などを探勝することができるようになっていました。
鬼怒岩橋からは国道を一気に南へととって返し、再び立岩橋を渡って、鬼怒楯岩大吊橋へと進みました。吊橋を渡った先の楯岩展望台からは、これまで多くの橋を渡りながら目にしてきた鬼怒川温泉の温泉街と渓谷美とを一望の下に見渡すことができました。緑豊かな河谷を縫うように流れる鬼怒川が作り出す景観は、時に雄大にたなびき、また時には鮮烈に駆けて、日光という悠久歴史を刻む山間に、極上の景勝を累加していました。 |
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