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関東の諸都市・地域を歩く


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#146 小手指ヶ原、古戦場とトトロの森をゆく ~雑木林と郊外の風景~
 
 2018年6月2日、高尾山の緑に癒やされた後は、東京都下を電車を乗り継い所沢へと進み、さらに西武池袋線で飯能方面へ2駅の所にある小手指(こてさし)駅へと向かいました。小手指駅は近隣に車両基地を擁するため、この駅を起終点とする電車が多く設定されているという特徴があります。そのため、駅周辺は小規模ながらも商店が集まっていまして、中高層のマンションもいくつか建設されているようでした。西武線の線路に沿ってまずは西へ歩きます。

小手指駅前

西武池袋線・小手指駅前の景観
(所沢市小手指町三丁目、2018.6.2撮影)
小手指駅前

つくばエクスプレス八潮駅
(所沢市小手指町三丁目、2018.6.2撮影)
小手指駅付近の宅地景観

小手指駅付近の宅地景観
(所沢市小手指町三丁目、2018.6.2撮影)
西武線車両基地

西武線(車両基地)沿いの道路
(所沢市北野新町一丁目、2018.6.2撮影)
畦畔茶と畑、雑木林

畦畔茶と畑、雑木林の見える景観
(所沢市北野新町一丁目、2018.6.2撮影)
茶畑越しに小手指駅方面を望む

茶畑越しに小手指駅方面を望む
(所沢市北野新町二丁目、2018.6.2撮影)

 駅の西側を跨線橋で越える市道の下をくぐりますと、戸建て中心の住宅地を抜けた先に、広々とした畑地と、雑木林とが交錯する風景へと移り変わりました。それは、本稿でもたびたびご紹介している、台地上に農地と林とがひろがる、武蔵野の原風景を彷彿とさせる景観です。傍らのフェンスには、「所沢市小手指ふるさとの森の景観地」と題された表示が掲げられていまして、郊外化に伴い減少する緑地を次代へ継承しようとする取り組みの一端を知ることができました。所沢西高校と西埼玉中央病院の間を抜ける道を歩いて、そうした畑や雑木林、畦畔茶や茶畑のある風景を存分に目と体で感じました。晴天の森を吹き渡る風もとても涼やかで、新緑の甘い香りをかすかに漂わせていました。

 校外を進む幹線道路然とした国道463号を東へ辿った後、北野小学校・中学校のある西側の小路を南へ入ります。市立埋蔵文化財センターの建物を過ぎますと、小手指ヶ原古戦場の石碑が建立されているのを発見しました。小手指ヶ原は、鎌倉時代末期に倒幕のために挙兵した新田義貞軍と、鎌倉幕府軍とが戦火を交えた場所として知られています。堰の背後には、「白旗塚」と呼ばれる小高い丘があり、その名は源氏の末裔である新田義貞がここに陣を張り、源氏の旗印である白旗を掲げたという伝承に基づいています。小手指の地は古来茫漠たる原野であり、狭山丘陵を控える立地であったこと、また鎌倉へ向かう鎌倉街道筋にあたっていたことから、戦乱の舞台となった経緯がありました。

小手指ヶ原古戦場の石碑

小手指ヶ原古戦場の石碑
(所沢市北野二丁目、2018.6.2撮影)
白旗塚

白旗塚
(所沢市北野二丁目、2018.6.2撮影)
小手指ヶ原、麦秋の風景

小手指ヶ原、麦秋の風景
(所沢市北野一丁目付近、2018.6.2撮影)
北野天神社

北野天神社
(所沢市小手指元町三丁目、2018.6.2撮影)
トトロの森14号地

トトロの森14号地
(所沢市北野二丁目、2018.6.2撮影)
クロスケの家

クロスケの家
(所沢市三ヶ島三丁目、2018.6.2撮影)

 古戦場跡地より先は、「トトロの森」として雑木林が保全されている地域の様子を概観しました。トトロの森は、失われゆくふるさとの森を保護するために、市民の寄付金を元に森を買い取り、古くより人々の暮らしと密接に関わってきた雑木林を構成へ残していこうという取り組みで、いわゆる「ナショナルトラスト運動」のひとつとして、埼玉県内から東京都にかけての雑木林の保全に関わっているものです。小手指周辺を歩きながら、地域を象徴する畑地と茶畑の広がる風景に溶け込むようにしてある、雑木林と集落とが隣接し存在する佇まいを、穏やかに観察することができました。
団体の活動拠点である「クロスケの家」は閉館後であったため概観だけ確認し。小手指駅へ戻るバスに乗車しました。埼玉県内は高度に郊外化と都市化が進む有数の人口稠密地域ではありますが、適度に武蔵野の面影を残す風景に出会え、そこで季節ごとにさまざまな表情を見せる景色を愛でることができるのは、あらためてかけがえの無いことなのだと実感する小手指訪問となりました。

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