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大阪ストーリーズ
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#21 大阪城公園梅林と造幣局桜の通り抜けを歩く 〜大阪の春の風物詩〜 2014年3月8日、京都洛中界隈を彷徨した私は、JR京都駅から鉄路西へ、大阪城公園駅まで移動しました。大阪都心部を環状に運転する大阪環状線は、大阪の南北の繁華街キタ(梅田)や天王寺、鶴橋、京橋など、大阪から郊外へと延びる交通路線とのターミナルを連絡しています。大阪城公園駅から駅前の階段を降りてすぐ、大阪城を中心とした都市公園・大阪城公園へとアプローチします。時刻は既に夕刻となり、徐々に夕闇に包まれる頃となっていましたが、散策を楽しむ人々、大阪城方面からの往来者など、多くの人々がそこを訪れていました。
第二寝屋川を挟んで対岸に建ち並ぶOBP(大阪ビジネスパーク)の高層ビル群を川沿いの木々の樹冠の向こうに仰ぎながら、園内の散策路を進みます。近畿圏では有数の規模を誇る大阪城ホールの横を通り、外堀を埋めたてた先に位置する青屋門を通り、大阪城の内堀まで来ますと、その手前側(二の丸市正曲輪)に梅林があります。大阪に春の訪れを告げる同公園内の梅林は、約1.7ヘクタールの広さに1,270本近くの梅が植栽されていまして、訪れたこの日も紅白さまざまな梅の花が可憐な色彩を夕焼けの空へ滲ませていました。 この梅林は、同公園のサイトの記事より引用しますと、大阪府立北野高校の卒業生(六稜同窓会)が開校100周年事業として大阪市に寄付したものであるようで、それらをもとに1974(昭和49)年3月に梅園として開園したものであるとのことです。史跡の範囲内にありながら、比較的歴史の浅い梅ではありますが、40年余りを経過した現在では、多くの梅の木が成長して、早春の風物詩として大阪に定着しているようです。春の落ち着いた空気そのままの梅の花の向こうには、大阪城の天守を望むことができまして、時代を超えた雅やかな雰囲気に酔いしれました。
変わって2017年4月15日には、造幣局の「桜の通り抜け」に出かけました。この日は奈良県吉野や和歌山県北部などを巡った後、南海沿線の岸和田駅で自家用車を降り、電車で大阪へ向かったため、時刻は夕方になっていました。大阪の春の風物詩として多くの観桜客が訪れるイベントとして広く知られ、しばしばニュースにも取り上げられる「造幣局桜の通り抜け」は、毎年4月中旬の1週間、造幣局敷地内の八重桜の桜並木を一般に開放し、公開するものです。1883(明治16)年、明治の初めに藤堂家の蔵屋敷から移植され、珍しい品種を含め多くの里桜が生育していた造幣局内の桜を、当時の造幣局長が広く市民に花見をしてもらいたいという発案から始まりました。混雑緩和のために、南から北への一方通行としたため、いつしか「通り抜け」と呼ばれるようになり、この催しの名前として定着しました。 JR大阪城北詰駅から藤田邸跡公園の南入口に立つ立派な薬医門(旧藤田邸表門)の前を通り、大川(旧淀川)と寝屋川との合流点近くに架かる自転車・歩行者専用の川崎橋を渡り、通り抜けの入口へと向かいました。大川のほとりには盛りを過ぎてもなお春を惜しむかのようなソメイヨシノの並木がたくさん花をつけていまして、夕方の陽の光を穏やかに受けてきらめくような川面にその桜色を映していました。川崎橋の南詰の方向をそのまま延長するとちょうど大阪城に行き着きます。振り返りますと、桜や新緑の木々の台座の上に大阪城が鎮座しているような格好に望むことができました。
この日は期間中の土曜日夕刻ということでまさに芋を洗うような人出で会場は大いににぎわっていました。そうした人々を温かく迎えるように、関山(かんざん)や松月(しょうげつ)、普賢像(ふげんぞう)などの遅咲きの八重桜がそれぞれの色合いを存分に輝かせていました。桜の通り抜けでは毎年「今年の花」を選定しています。2017年は「鬱金(うこん)」。古くから知られていたというこの桜は、江戸時代に京都の知恩院に植えられていたといわれており、淡黄緑色の花の色がウコンに似ていることからその名が付けられました。盛りを過ぎると赤みを帯びるようで、緑がかった花弁がほのかに桜色に染まる様子は、夜桜がガス灯に照らされてしとやかに瞬く様子にも見えました。 城に近い桜色、ビビッドな紅色、緑色に近い色、さまざまな色の八重桜が街路に沿って所狭しと共演する風景は晩春を彩るこの上のない花絵巻といっても過言ではないほどの艶やかさで、人波に紛れながら桜を観賞する行程は本当に幸せな時間でした。出口となる北門は、国道1号に面しており、大川には桜宮橋が架かります。大川右岸は毛馬桜之宮公園として一体的な緑地として供されていまして、古来より桜に彩られる場所であったことが想起されました。 |
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