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大阪ストーリーズ


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#23 四天王寺とその周辺 〜ターミナルと住宅地域が隣り合う地域〜

 2016年11月23日、奈良市佐紀路を歩いた私は、近鉄西大寺駅から鶴橋駅を経由し、大阪都心部における南のターミナルの一つである天王寺駅へと到着していました。2014年3月に全面開業し、日本で一番高いビルとなった「あべのハルカス」を訪れるためでした。ビルに上がる予定時刻まではまだ余裕があったこともあり、天王寺の地名の由来となった四天王寺周辺を歩いてみることとしました。

谷町筋

JR天王寺駅付近、谷町筋
(天王寺区堀越町、2016.11.23撮影)
四天王寺庚申堂

四天王寺庚申堂
(天王寺区堀越町、2016.11.23撮影)
あべのハルカスを眺める

庚申堂境内からあべのハルカスを眺める
(天王寺区堀越町、2016.11.23撮影)
谷の清水

谷の清水
(天王寺区堀越町、2016.11.23撮影)
南大門と五重塔

四天王寺南大門と五重塔を見通す
(天王寺区堀越町、2016.11.23撮影)
国道25号

四天王寺南大門前、国道25号
(天王寺区大道一丁目、2016.11.23撮影)

 
天王寺駅は、大阪都心部を周回するJR大阪環状線に、奈良方面から到達する大和路線(関西本線)と和歌山から北上する阪和線が接続するターミナルです。近年は大阪環状線を介して新大阪駅や京都駅方面へと直通していることからその拠点性はやや薄まっている印象ですが、近鉄線や地下鉄線を媒介とした郊外と都心部との連絡需要は依然として重要な位置を占めていまして、JR西日本管内では大阪駅、京都駅に次ぐ利用者数を誇ります。北口を出て、駅前を東西に進む玉造筋に沿った商業地を一瞥しながら、大阪都心部における南北の幹線道路のひとつである谷町筋沿いを北へ歩きます。駅に近い歩道にはアーケードが施されていまして、穏やかな商店街となって多くの店舗が活発な商いを行っていました。南へ目をやりますと、近鉄前交差点に架けられた歩道橋の真後ろに、あべのハルカスが屹立して、その現代的なアウトラインを輝かせていました。

 谷町筋をしばらく歩いて、堀越町10番あたりの路地を東に入ります。多くの交通量がひしめく大通りから一歩踏み入れますと、そこは穏やかな中低層の住宅が建ち並ぶ近隣となっていまして、周囲は都心部にありながら閑静な雰囲気に包まれていました。そうした静かな地域を歩きますと、程なくして四天王寺庚申堂の境内へとたどり着きます。南面する朱塗りの三門をくぐりますと、均整の取れた美しいお堂が目に入りました。境内の周辺には高層の建物も多く、境内のスペースだけが高度に発達した都心にあって変わらぬ時間を過ごした場所であることを感じさせます。家並みの先にはあべのハルカスも見通すことができました。この庚申堂は日本最初の庚申尊出現の地として知られています。境内を出て南東の交差点の一角には「谷の清水」と呼ばれる井戸があって、地蔵尊が祀られています。

四天王寺・五重塔と金堂

四天王寺・五重塔と金堂
(天王寺区四天王寺一丁目、2016.11.23撮影)
四天王寺・中心伽藍の回廊

四天王寺・中心伽藍の回廊
(天王寺区四天王寺一丁目、2016.11.23撮影)
四天王寺・六時堂と石舞台

四天王寺・六時堂と石舞台
(天王寺区四天王寺一丁目、2016.11.23撮影)
四天王寺・石鳥居

四天王寺・石鳥居
(天王寺区四天王寺一丁目、2016.11.23撮影)
谷町筋

四天王寺前交差点付近、谷町筋
(天王寺区大道一丁目、2016.11.23撮影)
近鉄前交差点

近鉄前交差点
(天王寺区悲田院町、2016.11.23撮影)

 他の清水の面する交差点を北へ、庚申堂の東を北へまっすぐに進みますと、国道25号の二本の大通りを越えて四天王寺の南大門へと導かれます。南大門の背後には五重塔の上部が見えまして、聖徳太子建立七大寺のひとつとして、593(推古天皇元)年に創建されたという由緒を彷彿とさせる血行が目に入ります。古代からの長い歴史の中で、四天王寺は数多の災害や戦災に遭っており、創建以来の来歴を持つ建造物は存在していません。現在の回廊を配し、中央に金堂と五重塔を置く伽藍は、1963(昭和38)年に再建されたもので、明日か建築の様式を踏襲したものになっています。中心伽藍や六時礼賛堂(六時堂)などを拝観し、聖徳太子にゆかりのある霊場としての雄大な境内をめぐりました。中心伽藍の西側の入口に立つ石鳥居をくぐって谷町筋に出て、あべのハルカスへと向かいました。

 あべのハルカスの58階から60階までに設けられた展望室「ハルカス300」から、大阪平野を一望しました。市街地を南北に貫く上町台地の高まりの北端に位置する大阪城や、その西側の低地を開発し広がった現代の大阪の中心市街地、そしてそこから四方へと展開し、生駒山麓から臨海部までまさにくまなく広がる大阪大都市圏のすがたを確かめました。

近鉄前交差点

近鉄前交差点から東方向
(阿倍野区阿倍野筋一丁目、2016.11.23撮影)
大阪都心部

あべのハルカスから大阪都心部を眺める
(阿倍野区阿倍野筋一丁目、2016.11.23撮影)
あべのハルカスから眺めた大阪城

あべのハルカスから眺めた大阪城
(阿倍野区阿倍野筋一丁目、2016.11.23撮影)
あべのハルカスから東方向

あべのハルカスから東方向、生駒山の眺望
(阿倍野区阿倍野筋一丁目、2016.11.23撮影)
あべのハルカスから西方向

あべのハルカスから西方向を眺める
(阿倍野区阿倍野筋一丁目、2016.11.23撮影)
あべのハルカスから南西方向

あべのハルカスから南西方向を眺める
(阿倍野区阿倍野筋一丁目、2016.11.23撮影)

 六甲山地の裾に続く神戸や淡路島、関西国際空港から泉州一帯の市街化された地域の姿を目の当たりにしながら、大阪平野だけではまかないきれず、生駒山脈の向こう奈良盆地や京都方面にまで広がった都市化のダイナミックな態様に改めて驚かされました。

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