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りょうもうWalker
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#19 両崖山から行道山浄因寺へ ~足利市の低山ハイキングの風景~ 2019年5月2日、令和に入って最初のフィールドワークは、地元太田市のお隣、足利市に広がる丘陵を歩くハイキングに出かけました。新緑が萌える季節、穏やかな晴天に恵まれた早朝、足利市街地に程近い渡良瀬川河川敷の市営駐車場に自家用車を止めて、ハイキングコースの入口である織姫神社へと向かいました。
織姫神社への道すがら、市中心部に鎮座する鑁阿寺(ばんなじ)に立ち寄りました。四方を土塁と堀に囲まれた同寺は、足利氏邸宅跡に建立されていまして、寺域自体が「足利氏宅跡」として国指定史跡ともなっています。境内のイチョウやクスノキなどが輝かしい色彩となる下に佇む本堂(国宝)は、1196(建久)7年建立、1299(正安)元年再建の鎌倉時代後期の建築様式を今に伝えます。南島に隣接する足利学校と共に、足利市街地における歴史的資産の中核をなしていまして、周囲の市街地景観と共に、小京都としての足利のしなやかな町並みを醸成しています。境内を出て堀端を北へ歩き、正面の市役所を一瞥しながら「逆さ川」と呼ばれる柳原用水沿いを西へ歩き、織姫神社参道の石段へと到達しました。神社は急な石段を上った先の高台に境内を持ちます。 穏やかな春空の下、たくさんのカエデがみずみずしい新緑を整えていて、歓喜の季節を濃密に印象づけます。歴史ある機業地である足利の町を見下ろすようにしてある朱色の社殿は、あでやかに空色の背景の前に輝いて見えました。麓を豊かな森に覆われた社地からは、足利の市街地を穏やかに俯瞰することができます。渡良瀬川の左岸に展開する家並みは、近代に入って織物の町として勃興し、繁栄を極めた往時の佇まいを伝えています。歌謡曲にも歌われた渡良瀬橋をはじめ、市街地に多くの架橋があることも、そうした隆盛の歴史が表れたものであるとも言えるのかもしれません。境内の裏手から、両崖山方面へのハイキングコースへと歩を進めました。行道山までのコースは、「歴史のまちを望むみち」と呼ばれます。足利市郊外の丘陵を進むハイキングコースには、それぞれの特色を生かしたネーミングがなされています。神社裏手は織姫公園となっていまして、機神山(はたがみやま)と呼ばれる丘陵いっぱいにつつじや木々が配されて、最奥部の鏡岩展望台にかけて、のびやかな山稜の園地が整えられていました。
両崖山へ向かっては、尾根筋を進む、ゆるやかな上りのコースを歩きます。コースの周囲はみずみずしい森に覆われていまして、随所において、足利市街地や西側の谷筋の風景、桐生方面から太田金山方面への視界が開けます。山道は両崖山の名のとおり、両側が崖のような狭い稜線を進む形で、至る所で固い層状のクラックが入る岩石層(チャートであるようです)が露出している箇所を通過します。そうした岩の部分をとりつくように上っては、なだらかな山道を進み、また岩を足許に気をつけながら上るといった行程を繰り返して、最後に赤い鳥居をくぐり石段を上った先に、小さなお社が祀られたピーク-両崖山山頂-へと到達しました。両崖山の頂は、足利城跡となっており、それは平安後期から戦国期にかけての山城の跡として、周囲に空堀などの痕跡を残しています。 両崖山からはさらに北へ、ハイキングコースを進んでいきます。急な下り坂を下りて市道に出た後でさらに同じくらいの傾斜を上る場所や、代償のアップダウンを繰り返しながら進む山道は、地味に体力を消耗させます。ただ、新緑の緑やあちこちで美しい花を開くヤマツツジをはじめとした草花はたいへん美しくて、晩春から初夏の山行における一服の清涼剤となってくれていました。また、徐々に標高が増し、北へと移動するにつれて、俯瞰できる風景もより多様になっていきます。北側の日光連山をはじめ、赤城山や榛名山、浅間山なども手に取るように眺望できまして、眼下の市街地や関東平野への視界もよりダイナミックなパノラマへと変化していきました。北関東自動車道のトンネル出口も確認することができます。こういった、進むごとに移り変わる風景と、何よりしなやかな緑に包まれる光景とが、このハイキングコースの最大の魅力であると言えるように思えます。
大岩山のピークを越えますと、行道山山頂(石尊山展望台)、寝釈迦や石仏群を経て、行道山浄因寺へと進むこととなります。浄因寺は絶壁に囲まれた、風光に溢れた場所に建立されています。創建は713(和銅6)年、行基の開創とも伝えられます。巨石の上に「清心亭」と呼ばれる建物があり、そこへは「天高橋」と名付けられた橋を渡って入ります。山中につくられた堂宇は新緑のカエデやイチョウに覆われていまして、紅葉の時にはさぞ美しい色彩の中にあるであろうことを想像しました。沢伝いに付けられた石段の参道を下り、到達した市道をさらに歩いて、麓の集落にある市営バスの停留所へとたどり着き、バスで市街地へと戻りました。行道山からはさらに「山なみのみち」と呼ばれるはいイングコースが北へ延びて、名草方面へと向かうこともできますが、それはまたの機会とすることとしました。 |
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