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シリーズ・クローズアップ仙台

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#109 あすと長町地区の成長をみる ~市南部の広域開発拠点の現在~

 2018年12月23日、市街地から青葉山、川内、そして四ッ谷用水の流路を辿り郷六、八幡、柏木などを経て上杉まで至っていた私は、地下鉄北四番町駅から一気に南へ、仙台市の南の広域開発拠点として位置づけられる長町へと向かいました。広瀬川を広瀬橋で渡り、旧道沿いに町場を形成してきた長町は、仙台城下と郊外との接点として栄えてきました。現在では仙台市南部の広域的な拠点として位置づけられ、「長町副都心」という表現もなされます。JR線の東側に広大に広がっていた操車場跡地を再開発して誕生した「あすと長町」エリアを中心に、地域を概観します。

たいはっくる

たいはっくる前の景観
(太白区長町五丁目、2018.12.23撮影)
長町駅西口

長町駅西口前の景観
(太白区長町五丁目、2018.12.23撮影)
長町駅東口

長町駅東口の景観

(太白区あすと長町一丁目、2018.12.23撮影)
長町駅東口

長町駅東口付近に建設中(撮影時)のタワーマンション
(太白区あすと長町一丁目、2018.12.23撮影)

 高架化されて駅前がすっきりとなって久しいJR長町駅前には、ランドマークたる複合施設「たいはっくる」のタワーマンションが目を引きます。長町南駅周辺エリアから東へ続く都市計画道路「長町八木山線」が高架下をくぐってあすと長町エリアまで直結して、より現代的な都市景観へと変わってきている印象です。東口側へと回りますと、まさに現在進行形で変化してる新しい町-あすと長町-のいまが目に飛び込んできます。2014年7月以来の再訪となった町並みは、着実にその密度を増している印象です。駅前にはタワーマンションと思しき建造物(パークタワーあすと長町)が建築中で、南側には既に回転してるイケアの「あすと長町大通り」を挟んだ向かい側にも、2棟のタワーマンションが建ち上がりつつあるようでした(シティータワー長町副都心、シティータワーあすとレジデンシャル)その他にも中高層のマンションや戸建て住宅、商業施設なども続々と誕生していまして、広域中心都市の高い拠点性を実感します。

 あすと長町大通りを北へ歩きます。通り沿いはゆったりとした歩道が整えられ、またひとつひとつの区画もゆったりと整備されているため、とても開放的な都市空間が醸成されています。地区の北端に移転開院した仙台市民病院もとてもゆったりとした敷地構成をとっており、JR線西側の旧市街地とは好対照をなしていました。訪問時現在でも、まだまだ空閑地は多い印象で、「商業施設建設予定地」と掲げられている場所も散見されました。仙台駅周辺とともに再開発が進む地域の姿は、数年前まで草地が多く広がる風景を見てきた自分にとっては、かなり新鮮に目に映りました。

あすと長町大通り線

あすと長町大通りの風景
(太白区あすと長町四丁目、2018.12.23撮影)
イケア

IKEAと都市計画道路長町八木山線
(太白区あすと長町四丁目、2018.12.23撮影)
あすと長町大通り線

あすと長町大通り線沿いの風景
(太白区あすと長町四丁目、2018.12.23撮影)
あすと長町大通り

あすと長町大通り、スーパースポーツゼビオ前
(太白区郡山一丁目、2018.12.23撮影)

 市立病院やゼビオアリーナなどが周囲を取り囲む「杜の広場」の東側、あすと長町大通り線に接する区画には、2021年度を予定として、現在青葉区双葉ヶ丘に立地するKHB東日本放送が本社社屋を移転する計画も発表されています。高度経済成長期から一定の時間を経て、その時期を中心に建設されてきた大型施設は更新時期を迎えており、まとまった土地を指向して移転するケースも、仙台都市圏では増えてきている印象です。仙台放送も八木山(茂ヶ崎)から上杉に移転し、NHKも錦町から本町二丁目へ社屋を移しています。あすと長町は、新陳代謝を繰り返し成長していく仙台の現在をありのままに移しているようにも感じられます。

 仙台市立病院の東、あすと生が知大通り線の北端を経て、長町一丁目駅方面へと進みます。振り返りますと、仙台市街地方面からも、その反対方向からも、片側三車線の広幅員の道路を、ひっきりなしに自動車が流れていきます。このような本当に開放的なイメージは、古くから伝統的な町場を形成してきた「長町」という地域の印象とは若干異にするようにも感じます。地域を縦貫するJR線・新幹線の高架を挟んで見える風景は、たいはっくるが頭一つ抜きん出ているというもので、再開発という都市の成長のダイナミックな態様を目の当たりにするようでした。JR線の高架下を再びくぐって広瀬橋へと至り、橋上から大年寺山の向こうに見える市街地の風景を遠望しました。


あすと長町

あすと長町エリアの風景
(太白区郡山一丁目、2018.12.23撮影)
東日本放送移転予定地付近

あすと長町・東日本放送移転予定地付近
(太白区あすと長町一丁目、2018.12.23撮影)
商業施設建設予定地

商業施設建設予定地
(太白区あすと長町四丁目、2018.12.23撮影)
市立病院

市立病院を望む
(太白区あすと長町一丁目、2018.12.23撮影)

 広大な区画の中に、現代的な建造物群がゆったりと建ち並び、その中央を大幹線道路となるあすと長町大通り線が貫通する「あすと長町」エリアは、時間を経るごとにその姿を変えて、徐々に地域が目指すまちづくりの全体像が形成されてきているように目に映りました。地域を通過するだけの交通を流しているだけのように見える大規模な幹線道路も、こうしたルートが複数確保されることにより、防災上の機能も持たせているとも思われます。利便性と持続可能性との両輪が求められる、現代の都市の姿を、その町は標榜しているようにも感じられました。


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