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シリーズ・クローズアップ仙台

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#18 泉パークタウン 〜仙台を代表する住宅団地〜


泉パークタウン since 1974

今年で30周年を迎える
(泉区寺岡一丁目、2004.5.29撮影)
東北地方の広域中心都市として、仙台は高度経済成長期にわが国において最も顕著な成長を見せた都市の1つでした。仙台を「杜の都」と言わしめてきた重要な要素の1つであった、市街地を囲む丘陵地は、人口の急増に伴って次々に住宅団地へと姿を変えていきました。仙台市内で最初に住居表示が実施された(1965年4月1日)旭ヶ丘団地をはじめ、南光台、鶴ヶ谷、そして南西部の八木山地区などの住宅団地が、丘陵地に開発されていきました。これら初期の住宅団地は、中小の開発業者がそれぞれのコンセプトを持って住宅地を造成していったため、地域全体として統一的な道路網が形成されないなどの特質がありました。それは、たとえば狭い道路が住宅団地間で不連続につながるなどの弊害をもたらし、防災上の観点からも問題の多い地域構造を結果しました。戦後の高度経済成長は、杜の都を象徴する丘陵地の緑を取り崩し、雑然とした団地がひしめく無秩序な都市景観へと変えたのでした。1970年代に入ると、経済成長は一段落しましたが、東北の経済の中心として中枢性を高める仙台の都市圏は更なる膨張を見せるようになり、仙台市の北に接していた旧泉市(1971.11.1市制施行、1988.3.1仙台市に編入、1989.4.1泉区となる)も人口が急増していました。泉市は、スプロール的な都市化を防ぐため、独自に団地の開発要綱を設けて、開発業者に一定割合の公共用地や公園用地を市に提供させることや隣接団地との道路の接続性を考慮することなどを求めました。また、低成長時代に入り、人々はより個性的な、ゆとりのある居住空間を志向するようになっていました。

私の個人的な思い込みかもしれませんが、泉区にはゆったりとした、景観的に落ち着ける住宅団地が多いような気がしています。そして、その理由を上述のように妄想しているわけです。七北田川のつくるおだやかな台地と低地の景観、たおやかに地域を囲む泉ヶ岳や七ツ森の山々の遠景も、泉の大地をいっそうのびやかなイメージにしているのかもしれません。泉パークタウンは、そんな豊かな自然のもとで泉区のほぼ中央に造成された、仙台を代表する大規模住宅団地の1つです。前置きが長くなってしまいましたが、今回は泉パークタウンを通して、泉区の穏やかな住宅地のたたずまいを感じていただければと思います。

紫山地区中央にある丘陵

紫山地区中央にある丘陵
(泉区紫山五丁目、2003.7.21撮影)
紫山地区の景観

紫山地区の景観
(泉区紫山五丁目、2003.7.21撮影)
宮城県図書館の屋根を望む

宮城県図書館の屋根を望む
(泉区紫山一丁目、2004.5.29撮影)
仙台ロイヤルパークホテル

仙台ロイヤルパークホテル
(泉区寺岡六丁目、2004.5.29撮影)

泉パークタウンは、1974(昭和49)年9月、高森地区で分譲が開始されまして、今年(2004年)で30周年を迎えました。以降、寺岡地区、桂地区と分譲が進み、現在紫山地区の分譲が進んでいます。東西約6キロメートル、南北約3キロメートルの範域に展開する団地の総開発面積は1,070ヘクタールのあまり、計画人口5万人という規模の団地です。団地内は、6つの住区(住居表示は桂、高森、寺岡、紫山。寺岡地区の西に予定されている第6住区のみ未開発)に分かれる住居ゾーンを中心に、ゴルフ場やスポーツガーデンのあるレクリエーションゾーンや各種工場や流通拠点等が立地するインダストリアルゾーンが計画的に配置されていまして、「職住近接」を意識したまちづくりが行われています。『人と自然の調和した理想的な住環境』と『「住む」「働く」「憩う」「学ぶ・集う・楽しむ」といった人間の生活に必要な様々な機能をバランス良く配置した機能複合型都市』が、泉パークタウン開発の基本コンセプトになっているとのことです。各住区には、豊富な緑が配されておりまして、幹線道路と宅地との間には緩衝帯として街路樹がふんだんに植栽されています。また、1つの住区ごとにスーパーマーケットや小中学校などが整備されていまして、日常生活の利便性にも配慮がなされています。さらに、日本の大規模団地の多くが直面している、同世代の核家族世帯が大量かつ同時に入居したことによる高齢化問題には、計画的に分譲を行ったり、戸建て住宅やマンションなど様々な住宅を用意したりすることによって対応しています。「パークタウン」の名のとおり、たくさんのみずみずしい緑とアメニティに育まれた、仙台を代表する住宅団地といえると思います。

「泉パークタウン中央」と呼ばれる地域を歩きました。ここは、「タウンセンター」と呼ばれていまして、中核的な商業施設の立地が予定される地域です。交差点の南西隅には「仙台ロイヤルパークホテル」が立ち、美しい都市景観を演出しています。周辺には宮城大学や宮城県立図書館が立地しているほか、書店やオープンカフェ等もオープンしています。まだまだ開発途上という印象で、広大な空き地も多いエリアですが、泉パークタウンのたおやかな雰囲気を象徴するような、また居住する多くの人々にとびきりの活気を与えてくれるような中心地域の形成を期待したいですね。この「泉パークタウン中央」交差点から南へ伸びる片側2車線の幹線道路は、「北四番丁大和線」。青葉区内の一部区間が完成すれば、青葉区の東北大学医学部附属病院東隣で国道48号線(北四番丁)に達する大幹線となる道路で、仙台市中心部と泉区とを連絡する役割が期待されています。もちろん、この大通りと住宅地との間にも、たっぷりと緑地帯が作られています。

泉パークタウン・団地内の景観

泉パークタウン・団地内の景観
(泉区寺岡一丁目、2004.5.29撮影)
北四番丁大和線、南方向を見る

泉パークタウン中央交差点
(泉区紫山一丁目、2004.5.29撮影)

30年を経た現在、泉パークタウンの居住人口は2万4,000人を超えました。仙台市が誇る高品質の景観と居住性を備えた団地の1つとして、今後も注目していきたい地域であると思います。


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