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シリーズ・クローズアップ仙台

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#20 仙台七夕2004 〜商店街、それぞれの七夕〜 (後)


仙台の七夕飾りの特徴の1つに、「仕掛け物」があります。人形などを動かしながら見せるもので、仙台七夕の風物詩となっています。今年も、一番町にあるお茶屋の店先で仕掛け物が設置され、多くの見物人が集っていました。木町通の一角にも、凝った意匠の仕掛け物を見かけました。このように、仙台七夕を特徴づけてきた仕掛け物ですが、近年はその数が少なくなっていると聞きます。

仕掛け物

一番町、お茶店出展の仕掛け物
(2004.8.7撮影)
「一休さん」の仕掛け物

「一休さん」の仕掛け物
(青葉区春日町、2004.8.7撮影)

飾り物
 また、七夕飾り彩る小物にも特徴があります。「七つ道具」と呼ばれるようで、それらは、短冊や千羽鶴、吹流しなどのポピュラーなもののほか、紙衣(着物)、巾着、投網、屑篭(くずかご)なども飾られています。七つ道具については、仙台七夕関連の多くのサイト等で紹介されていますので、ここでは詳述を避けますが、それらには豊漁や長寿、倹約の心などの意味がこめられているのだそうです。

 ※左の写真に「七つ道具」の一部を写しました。
  上から巾着、着物、投網(赤色のもの)、そして屑篭(白と紫色のもの)がありますね。

 荒町を過ぎ、今年1月に歩いた旧奥州街道を南へ向かい、広瀬橋を渡って、長町へと至りました。仙台市南部の中心的な商店街を構成する長町にも、七夕飾りが溢れています。比較的狭い歩道に街路樹が植わっているためか、長町の七夕飾りは全体としてそれらに隠れてしまっているように見えたのは、致し方の無いこととはいえ、少し残念な気もいたします。JR長町駅前では、東北本線の高架化の工事が順調に進んでいるようで、駅舎のすぐ前まで迫っていた工事用のフェンスは取り払われ、新幹線高架下のロータリーまでの広場が再び出現していました。

駅前に戻り、宮城野区原町の商店街にも足を伸ばしました。こちらの飾りも他の地域のものに負けずとも劣らない、見事なものでした。夕刻が迫り、地域の七夕祭(納涼祭)が始められようとしていました。地域で集会所に集い、秋以降の豊作や、人々の健康、地域の安寧を祈る、七夕祭り本来の姿を見たような気がいたしました。

長町・たいはっくる前

長町・たいはっくる前
(太白区長町五丁目、2004.8.7撮影)
原町

原町の七夕飾り
(宮城野区原町二丁目、2004.8.7撮影)

 翌8日も、市内の商店街めぐりを続けました。最初に訪れたのは、泉区根白石(ねのしろいし)です。泉区の西部、七北田川に抱かれる根白石は、かつて戦国時代に城柵があった場所で、その後も近隣の中心地としての地位を保ってきた集落です。鉤の手の続く道路の両側に、趣のある商店や蔵の残る穏やかな街並みが、七夕飾りに溢れています。鉢に植えられた笹が丁寧に飾られていまして、派手さは無いものの、穏やかな景観をささやかに彩っていました。ここも地域をあげて熱心に七夕飾りに取り組んでいます。もし時間に余裕がおありでしたら、市街地の七夕だけでなく、こういった慎ましやかな雰囲気の七夕も味わっていただければと思いましたね。

 北仙台駅で地下鉄を降り、路線バスに乗り換えて青葉区中山へ向かいました。仙台駅から中山方面にかけては、郊外の住宅団地が発達した地域で、バスも便数が多く設定されています。梅田川をはじめとする七北田川の支流がゆるやかに刻む丘陵は、戦後の都市化に伴って宅地化されました。南東に開ける中山付近からは、仙台市街地や泉中央方面への眺望が開けます。バス通りもけっこうな坂道です。その坂道の両側にも、七夕飾りはありました。

根白石の街並みと七夕飾り

根白石の街並みと七夕飾り
(泉区根白石、2004.8.8撮影)
中山の七夕飾り

中山の七夕飾り
(青葉区中山四丁目、2004.8.8撮影)

中山から、仙台駅行きのバスに乗り、県庁市役所前バス停で下車、七夕関連のイベントで芋を洗うような人込みの市民広場を横切り、定禅寺通市役所バス停へ。そのまま仙台駅を経由し大和町方面へ向かうバスに乗り換えます。若林区方面へ向かうバスの起点は、仙台駅ではなく、交通局大学病院前。定禅寺通を経由して南東へ向かいます。仙台駅前のロータリーを通過し、鉄路の高架下をくぐると、連坊小路(れんぼうこうじ)の商店街です。「小路」という名前ですが、仙台駅東口の一連の区画整理により、現在では歩道を有する片側一車線の街路になっています。すぐ北側の新寺小路(こちらも区画整理により立派な街路を持つ街区となっています)とともに、連坊は仙台城下町東郊の寺町でして、穏やかな雰囲気の町でしたが、区画整理によって景観は劇的な変化を遂げました。この商店街でも、七夕飾りが通りに涼しげな影を落としていました。

連坊小路の七夕飾り

連坊小路の七夕飾り
(若林区連坊一丁目、2004.8.8撮影)
八木山の七夕飾り

八木山の七夕飾り
(太白区八木山香澄町、2004.8.8撮影)

今回の仙台訪問で、最後に訪れた七夕飾りのある商店街は、太白区の八木山中央商店街でした。八木山地区もまた、かつては緑の多い丘陵地域でしたが、戦後に住宅地として急激に開発が進められました。明治大正期に仙台財界で強大な力を持っていた八木家が、この地域の林野を取得し、1929(昭和4)年に八木山球場(現在の八木山動物園)と児童遊園地とを開発したことから、この地域は「八木山」と呼称されるようになりました。商店が集積しているのは、八木山神社前バス停付近で、七夕飾りもこの場所を中心にディスプレイされていました。

以上、私が訪問することができた「商店街の七夕」についてご紹介いたしました。もちろん、これらがすべてではないと思います。多くの商店街や地域、事業所や家庭などにおいて、祭りの期間中は個性溢れる七夕飾りに彩られることでしょう。七夕祭りの期間中、仙台にお越しの際は、中心部の七夕だけでなく、こういった諸地域の七夕にもぜひ注目していただければと思います。


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