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シリーズ・クローズアップ仙台
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#65 シリーズ・地下鉄東西線を行く(3) 〜(仮)六丁の目駅から(仮)荒井駅へ〜 フィールドワークを卸町から六丁の目方面へと展開させる前に、東西線の概要を整理しておきます。仙台市地下鉄東西線は、2025(平成27年)度の開業を目指して現在各地で工事が進められています。東西線は、太白区八木山の動物公園前駅(仮称)を西の起点とし、東北大学等のキャンパスが立地し同大学のキャンパスの移転統合計画がある青葉山・川内地区を通過し、国際センター前から西公園に至り、青葉通一番町を経由して仙台駅へ、さらに東へ、新寺、連坊、薬師堂、卸町、六丁の目の各地区を通過しつつ、仙台東部道路・仙台東インターチェンジ付近にあって大規模な土地区画整理事業が進行する荒井地区へと続く全長13.9キロメートルの路線です。 現在運行中の南北線(泉中央〜仙台〜富沢)が、主に泉区方面に外延的に展開した住宅地域から都心部への人口流動の輸送を第一に、ひいては政令指定都市化にあたり旧泉市の中心部(現在の泉中央地区)を副都心して整備すべく戦略的に建設されたのに対し、東西線は沿線開発の促進を必ずしも主目的としておらず、人口の郊外化やモータリゼーションの普及により空間的に拡大している都市圏内流動をなるべく公共交通機関に一元化させて、よりコンパクトな都市構造へと転換することを目的としていることに特徴があります。そのため、沿線には郊外からバス路線が収束する主要な拠点と目される地点や学校・文教施設、中心市街地でも広域的な交通機関のルートから相対的に離れた青葉通一番町を通過するなど、集約的な交通軸として需要を掘り起こすことを狙った路線選択がなされていることが分かります。とはいえ、卸町から六丁の目にかけての沿線は低密度の産業地域が比較的まばらな住宅地と接する地域となっており、各駅の利用者が見込み(六丁の目:約5,100人、卸町8,200人)のとおりとなるかは未知数です(南北線の五橋駅でも利用者数は約5,700人、北仙台駅でも約6,500人にとどまります)。※利用者数(見込み)は仙台市統計書及び「第1回 仙台市高速鉄道東西線トータルデザイン委員会・資料1【東西線の事業概要及び駅周辺状況について】」より引用。
卸町の広大な産業地域を抜け、仙台市街地東縁の大幹線である仙台バイパスを超えますと、六丁の目地区となります。六丁の目は「ろくちょうのめ」と読み、れっきとした地名です。「六丁目」の表記でも書かれます。住所表記などに使われる「ろくちょうめ(六丁目)」との混同を避けるためか、住居表示された名前は「六丁の目西町」など、「の」の文字を入れています。自動車がとめどなく通過していく仙台バイパスを超え、六丁の目地区を概観します。戦後の郊外化の進展やバイパス道路の完成、それに付随した卸商団地の形成に伴い、この一帯でも比較的規模の大きい事業所がまばらに立地し、ゆるやかに住宅地化も進む様相を呈しています。 六丁の目西町交差点では、設置される(仮称)六丁の目駅の建設工事が進められようとしていました。地下鉄工事は比較的長期間の工期を要すると思われる躯体工事を伴う駅周辺や橋梁工事が先行して順次着手されているようで、これまで先述してきたように駅設置予定地区においてまず工事が進められています。道路は仙台バイパスを越えてからは県道23号となり、塩釜港まで続く大幹線道路であることから「産業道路」と通称されます。道路の名前からも想起されるように、沿線は卸町エリアから続く物流関連の規模の大きい事業所が広い敷地を並べる地域となっており、仙台東部道路の仙台東インターチェンジが供用されてからは広域交通流動の結節点として交通量の多い環境となっています。中心業務機能や商業集積地域と郊外の住宅地域とを貫く南北線の沿線風景とは明らかに異質な印象です。地下鉄は六丁の目西町の交差点を過ぎて産業道路下を六丁の目南町交差点付近まで東進した後南に緩やかに折れて、仙台東インターチェンジの西付近に設置される(仮称)荒井駅に至り東の終点となります。駅は半地下上の構造となり、南側には車両基地が地上に建設される予定であるようです。産業道路の南、荒浜方面へ向かう県道137号と仙台東部道路とに囲まれた広大な一帯で、目下「荒井土地区画整理事業」が進行しています。
1986(昭和61)年度から事業が開始された荒井地区の土地区画整理事業は、平成27年度完了を目指して着実に進捗しているようで、域内の道路網等のインフラ整備はほぼ終了し、現在戸建の住宅地として分譲が始まっているようです。地域の南端には七郷小・中学校や仙台市七郷証明書発行センター(旧七郷支所)が立地し、かつての七郷村の行政機能が集積していることから、小規模ながらも地域の中心的な位置づけにある土地柄ではあったように思います。六丁の目西町交差点から県道137号を南へ進みがら地域を見る限りにおいては、東西線始発駅の建設決定とともにその利便性から、確実に住宅や商業機能、医療機関等が張り付き始めているように思いました。県道は「イグネ」で知られる長喜城集落の手前で若林区役所方面から霞の目を経て到達する県道235号を併せてからは東に進み荒浜方面へと進んでいきます。荒町で国道4号に接する県道235号のルートは市営バス深沼線のルートともなっていまして、伝統的には荒浜方面へ向かうメインルートの1つとして扱われているように感じます。大規模に住宅地化が進むエリアと、歴史的な仙台地方の農村景観を濃厚に残す長喜城の集落とが連接する風景は、新旧の仙台市東郊の姿を象徴しているように思う一方で、古き良きイグネの緑が失われてしまうのではないかという一抹の危惧も抱かせます。土地区画整理事業地域のさらに東、仙台東部道路の端までのエリアでは、「荒井東土地区画整理事業」が実行に移されようとしています。 土地区画整理地内の道路を北へ戻り、宅地化が進展しつつも畑や水田が断片的に認められたり、産業道路付近の土地利用を反映した広い構内を持つ事業所が立地したりする土地区画整理地内の景観を概観しながらこの日の活動を終え、市街地へ戻るバスに乗車しました。地下鉄駅が完成に向かうにつれて、卸町から六丁の目、荒井までの地域がどのような変化を遂げるのか、こちらも大いに注目していきたいと思います。 なお、2011年3月11日の東日本大震災においては、仙台市内でも相当な内陸にまで津波が押し寄せ甚大な被害が出た一方で、仙台東部道路の盛土が堤防となって津波の大部分を堰き止めて、道路の西側にあたる当該土地区画整理地内の被害は相対的に軽微なものに抑えられました。区画整理地内周辺は津波の被害を受けた沿岸地域の集団移転先の候補地の一つとしての役割も期待されているようです。そうした震災復興の観点からも鍵となる地域となっているようです。 |
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