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シリーズ・クローズアップ仙台
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#78 仙台七夕2011 〜復興と鎮魂の七夕〜 (1) 2011年8月6日、七夕祭が例年のとおり開催された仙台へ出かけました。周知のとおり、この年は3月に東日本大震災が発生、仙台でも沿岸部を中心に未曽有の被害を出しました。「復興と鎮魂」をテーマに開催され、人々の絆と祈りとが凝縮したような七夕に彩られた仙台市内各地域をめぐります。
この日は夏らしい、暑い晴天の一日でした。青空からは容赦なく夏の陽光が体に届いて、成熟した木々の緑を照らしていました。最初に到着した若林区役所周辺はそのような光景の中にありました。区役所の南には広瀬川から取水し仙台平野を潤す農業用水である七郷堀(しちごうぼり)の流れがあります。区役所東で高砂堀と仙台堀に分流する水路は豊富な用水を流下させて、多くの水田を灌漑しています。この後、しばしば訪れている長喜城地区周辺を再訪し、屋敷林(仙台地方ではイグネと呼ぶ)と水田とが広がる風景を目にした一方で、仙台東部道路より東側、津波の浸水域となった一帯はいまだに一部にがれきが散乱する荒れ地となっている様子を確認し、震災の爪痕を前にただ呆然とするしかありませんでした。そして、この豊穣の大地が一刻も早く震災前の姿を取り戻せるよう願う気持ちになりました。 バスで仙台駅前へ向かい、多くの七夕飾りであふれた構内を一瞥し、七夕祭りのメイン会場となる中央通りのアーケードへ足を運びます。ハピナ名掛丁からクリスロード、マーブルロードおおまちへと続くアーケード街には、いつもの年と同じように通りを埋め尽くすような吹き流しをはじめとした、仙台七夕の特徴である七つ道具(短冊・巾着・投網・屑籠・紙衣・折鶴)がきらびやかに飾られていて、多くの観光客が訪れていました。震災後からこの日までに七夕飾りを準備することは地域におけるかなりのご尽力があったに相違ありません。豪華絢爛な七夕を前に、復興への揺るぎない決意と、お亡くなりになった方々への追悼の思いが十分に伝わってきました。七夕祭りの開催に貢献された多くの皆様に敬意を表したいと思います。一番町との交差点、藤崎前には仙台市内のすべての小学生が一人1つずつ希望と復興への思いを込めて折ったという8万羽の鶴が飾られていました。
一番町を北へぶらんどーむ一番町を、たくさんの七夕飾りを楽しみながら進んで、「仕掛け物」が設定されていた広瀬通一番町あたりを超え、屋根がなく青空の下吹き流しが揺れる一番町四丁目買物公園を経て欅の緑が美しい定禅寺通へ。通りの中央の遊歩道には、復興への祈りを込めて、日本各地から贈られた七夕飾りが展示されていました。盛夏を迎え猛々しい夏の太陽そのもののような濃厚な色合いを見せる欅の緑の天蓋が街並みを美しく覆う中にあって、県民会館(東京エレクトロンホール宮城)の建物は立ち入り禁止になっており震災の被害の一端をのぞかせていました。同会館は復旧に約1年3か月を要しています。その後訪れたJR北仙台駅周辺でも七夕飾りがあって、夏空に情趣を伝えていました。 (2)へ続きます。 |
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