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シリーズ・クローズアップ仙台

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#79 仙台七夕2011 〜復興と鎮魂の七夕〜 (2)

 2011年8月6日、震災から約5か月後にこの年も開催された七夕祭を訪ねる彷徨を続けていました。七夕は夜空の織姫と彦星に願いを託す祭りです。しなやかに夏空にはためく七夕飾りが、この年ほど多くの人々の祈りを乗せてひらめいていたことはなかったかもしれません。色とりどりの飾りを目にしながら、たくさんの方々が勇気をもらい、前へ進む希望を手にすることができたのではないかとも思えます。

長町駅前

JR長町駅前の七夕飾り
(太白区長町五丁目、2011.8.6撮影)
長町駅東口

JR長町駅東口の景観
(太白区あすと長町一丁目、2011.8.6撮影)
長町

長町商店街の七夕飾り
(太白区長町三丁目、2011.8.6撮影)
広瀬川

広瀬川
(広瀬橋より上流方向、2011.8.6撮影)

 地下鉄北仙台駅から、駅東側一帯で大規模な再開発が進む長町駅へ。仙台都市圏南部の副都心として位置づけられる長町エリアでは、古くは仙台城下郊外の物産の集散地、街道筋の宿場町として基盤を築き、仙台市合併後は市電(現在は廃止)や地下鉄、路線バスが集まる交通の要衝となり、近年は大規模ショッピングモールの開業や駅周辺のリストラクチャリングによって、仙台都市圏では最もドラスティックな変化を見せる地域の一つとなっています。東側の再開発地区「あすと長町」は依然として更地で雑草の生い茂る空間が大部分を占めているような印象ですが、駅前ロータリーの北側では商業施設等の建設が始まっている様子も見て取れました。駅西口の旧来からの商店街では、長町エリアのランドマークである複合施設「たいはっくる」前をはじめ、商店街にも七夕飾りが並んでいて、地域を盛り上げていました。

 広川を渡り、河原町から南材木町、穀町、南鍛冶町と旧奥州街道筋を歩いて、ローカルな商店街では比較的規模の大きい七夕飾りで彩られる荒町へ至りました。歩道が狭く、道に張り出すように飾られているために、七色のアーチの下を道路が貫いているような景色です。市南東部へのバス通りにもなっており交通量も少なくない荒町ですが、この年も美しい飾りつけで涼やかな印象を巷に与えていました。東九番丁を北に入り、荒町の一筋北側の連坊小路でも、七夕飾りは美しい情趣を夏の午後の空に伝えていました。「復興」や「がんばろう」などの言葉や、行方不明者の安否を気遣うメッセージなども見られて、七夕に込められた特別な意味を改めて実感もしました。たくさんの涙や悲しみ、立ち上がろうとする強い思いをいっぱいに溶け込ませた吹き流しの色は、何よりも貴く、かけがえのないものを象徴しているように見えました。

荒町

荒町の七夕飾り
(若林区荒町、2011.8.6撮影)
がんばろうのメッセージ

「がんばろう」のメッセージの見える飾り
(若林区荒町、2011.8.6撮影)
連坊

連坊小路の七夕飾り
(若林区連坊一丁目、2011.8.6撮影)
原町

原町の七夕飾り
(宮城野区原町一丁目、2011.8.6撮影)

 都市計画道路「宮沢根白石線」(東十番丁)を北に進み、新寺を経て宮城野大通りへ、震災の影響で工事が中断し徐々に再開されていた地下鉄工事や、土地区画整理地の事業の進捗状況などを一瞥し、仙台城下東郊の中心的な町場を形成してきた原町へ向かいました。国道45号に並行する旧街道筋の商店街でも、見事な七夕飾りが頭上を埋め尽くしていました。徐々に日暮れが迫り、空色からオレンジ色に移り変わりつつある空にあでやかな色彩の七夕飾りが映えて、夏の暑さを忘れさせてくれるような清涼感に包まれたような気がしました。商店街の中には「危険」の紙が貼られた建物も見受けられて、震災の影響も少なくないことを思い知らされました。

(3)へ続きます。


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