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シリーズ・クローズアップ仙台

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#80 仙台七夕2011 〜復興と鎮魂の七夕〜 (3)

 2011年8月6日に市内各所の七夕飾りの様子を訪問した翌7日も、その活動を続けました。仙台七夕は毎年8月6日から8日までの3日間に開催されていて、この年は最初の2日間が土日となっていました。この日は、東照宮の門前町として割り出された宮町を訪問後、7年前の七夕の時期にも訪れていた泉区根白石(ねのしろいし)を再訪、その後大崎八幡宮の門前町である八幡町へと移動しました。

宮町

宮町の七夕飾り
(青葉区宮町四丁目、2011.8.7撮影)
宮町

宮町の七夕飾り
(青葉区宮町二丁目、2011.8.7撮影)
愛宕上杉通

愛宕上杉通の銀杏並木
(青葉区上杉六丁目/堤通雨宮町、2011.8.7撮影)
根白石

根白石の七夕飾り
(泉区根白石、2011.8.7撮影)
根白石

根白石の七夕飾り
(泉区根白石、2011.8.7撮影)
根白石

根白石の街並みと七夕飾り
(泉区根白石、2011.8.7撮影)

 宮町は、仙台市中心部の北東にあって、JR仙台駅の北、国道45号とJR線との交点の西から北北東寄りに直線的に伸びる街路を中心に形成されています。現在では近隣の商店街として賑わいを見せるほか、小松島・鶴ケ谷方面へのバス路線として主要な交通ルートにも充てっていることから交通量も多いエリアとなっています。歩道の上に寄り添うように飾られた七夕飾りは、地域の人々が丹精込めて準備した光景が思い起こされるように手作り感にあふれていて、温かみを感じさせるものでした。ここから愛宕上杉通の目に鮮やかな銀杏並木を一瞥しながら北仙台駅へ、そこから地下鉄で泉中央へ、さらにバスに乗り換えて根白石へ向かいました。

 丘陵地を中心に大規模な宅地開発がなされて、仙台市郊外における人口増の受け皿となってきた泉区内にあって、区を東西に貫流する七北田川流域の河岸段丘が広がる一帯は水田と旧来からの集落とが連続する田園風景が広がっていまして、前者の団地群とは好対照の景観が広がっています。根白石地区は区の西部にあって七北田川の支流が集合し山間部と中流域とをつなぐ位置あるため、古くから町場が形成され、物資の集散地として地域の中心的な集落として栄えてきた来歴を持ちます。現在でも昔ながらの街並みと鉤の手状になった街路構成が残されており、周辺の水田が広がる風景と相まって、昔懐かしい農村景観を存分に味わうことのできる地域です。根白石の七夕飾りは、植木鉢に植えられるように飾られているのが特徴です。目の高さに、手に取るように眺められる七夕飾りは愛らしく、昔ながらの家並みが残る根白石の風景に溶け込むような可憐さを呈していました。

根白石

根白石の街並みと七夕飾り
(泉区根白石、2011.8.7撮影)
七北田川

七北田川の流れ
(泉区根白石、2011.8.7撮影)
根白石遠望

水田越しに根白石を遠望
(泉区根白石、2011.8.7撮影)
七夕飾りと夏空

七夕飾りと夏空
(泉区根白石、2011.8.7撮影)
大崎八幡宮・大鳥居と七夕飾り

大崎八幡宮・大鳥居と七夕飾り
(青葉区八幡四丁目、2011.8.7撮影)
八幡町

八幡町の七夕飾り
(青葉区八幡三丁目、2011.8.7撮影)

 集落の北側を流れる七北田川の流れや、街並みを取り囲む田んぼの美しい風景を目に焼き付けながら、再び市街地に戻り、市街地西部の八幡町へ。由緒ある門前町らしく街路樹に北山杉が用いられた八幡町にも、商店や事業所の店先に色とりどりの七夕飾りがお目見えしていました。八幡町の伝統的な雰囲気を象徴していた天賞酒造が移転しショッピングモールとなり、土橋通との交点にタワーマンションが建設されたりと、街並みは劇的に現代化している八幡ですが、広瀬川の水辺や大崎八幡宮の社叢など豊かな自然と歴史的な資産、都心への良好なアクセス環境から昔も今も住みやすい住宅地域として輝きを放っていて、その日常の傍らに今年もあでやかな七夕飾りが華を添えているといった印象でした。

 震災後最初の七夕祭りは、多くの人々の努力と熱意によって仙台市内各地域でこの年も無事に開催されました。震災からの復興と犠牲となられた方への鎮魂の思いをいっぱいに携えた飾りは、盛夏を迎えた仙台の夏空にしなやかに向き合って、この上のないやさしさにあふれていたように思います。


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