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シリーズ・クローズアップ仙台

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#92 シリーズ・地下鉄東西線を行く(5) 〜青葉山駅から川内駅周辺へ〜

 晴天の早朝青葉山から八木山動物公園駅周辺まで移動した私は、張り詰めるような冷たさの中、仙台駅を起点に青葉山を循環するバスを待ちました。「青葉城址循環」と呼ばれる系統でしたが、現在は地下鉄開業により運行はされていないようです。青葉山はすっかり木々が葉を落として、未明の雪が路面にも山林にもしっかりと残って、まさに厳冬の趣を呈していました。

青葉山駅

地下鉄青葉山駅周辺の景観
(青葉区荒巻字青葉、2014.12.23撮影)
青葉山駅

青葉山駅・北1出入口
(青葉区荒巻字青葉、2014.12.23撮影)
青葉山キャンパス

東北大学青葉山キャンパス・理学部前
(青葉区荒巻字青葉、2014.12.23撮影)
青葉山

青葉山を通る市道の景観
(青葉区荒巻字青葉、2014.12.23撮影)
市街地眺望

仙台市街地を望む
(青葉区荒巻字青葉、2014.12.23撮影)
川内山屋敷

川内山屋敷の宅地景観
(青葉区川内山屋敷、2014.12.23撮影)

 青葉山は、仙台城下町の西、蛇行する広瀬川に北と東を囲まれるようにしてある丘陵地です。仙台(青葉)城の西の守りとして開発の手が及ばなかったことから、モミ林をはじめとしたこの地域の自然林が良好に保存された、貴重な原生林が現存しています。1958(昭和33)年に東北大学に移管されて同大の植物園となり、1972(昭和47)年には国の天然記念物指定を受けて、大都市に近接しながら、希少な動植物の生きる豊かな森が残されています。植物園の西側一帯は、現在東北大学の青葉山キャンパスが広がります。中央を東西に刻む谷間によって、南側の工学系キャンパスと、北側の理学・薬学系キャンパスとに大別されます。隣接地には宮城教育大学が立地するほか、2017(平成29)年には堤通雨宮町にあった農学部が青葉山に移転し、施設も一層充実してきています。青葉山キャンパスに所在する工学部、理学部・薬学部、そして農学部の3つのエリアのちょうど交点に位置する、信号機の設置された三叉路付近に、地下鉄青葉山駅は設置されています。雪が一面に覆う中、こちらでも出入口付近を中心に工事が進捗していました。

 青葉山駅から青葉山を東へ、理学部前を進みます。余談となりますが、この理学系キャンパスは筆者が学生時代を過ごした思い出の場所です。そのころから残る建物のほかに、近年では現代的な研究棟が多く屹立していまして、学部施設の更新が進捗しているようでした。周遊バスの「るーぷる仙台」も停車する自然史標本館も変わらぬ姿を見せていました(現在は同施設に同学における研究機関としての「東北大学総合学術博物館」が本拠を置いているようです)。青葉山から麓へ、積雪に足許を気をつけながら歩いて、青葉山の冬ざれた風景の中を進みます。途中には前述の谷筋を橋で渡る箇所があり、そこから仙台市街地をわずかながら見通すことができます。

亀岡八幡宮

亀岡八幡宮・鳥居
(青葉区川内亀岡町、2014.12.23撮影)
亀岡八幡宮

亀岡八幡宮
(青葉区川内亀岡町、2014.12.23撮影)
亀岡八幡宮

亀岡八幡宮・石段
(青葉区川内亀岡町、2014.12.23撮影)
川内駅

川内駅を遠望する
(青葉区川内亀岡町、2014.12.23撮影)
川内駅

川内駅付近の景観
(青葉区川内、2014.12.23撮影)
東北大学川内キャンパス

東北大学川内キャンパス
(青葉区川内、2014.12.23撮影)

 急勾配をカーブしながら下っていく車道の脇を歩いて、青葉山から一段下の川内地区へと達しました。川内は、その名の通りうねりながら流れる広瀬川の流路の「内側」にあたる地形からその名がある場所です。広瀬川が形成した数段の河岸段丘面が展開する地域は、その中央部の多くを東北大学の川内キャンパスが占める形となっています。キャンパスの生誕を南北に進む路地を入り、キャンパス北西に位置する川内亀岡地区へと進みます。公営住宅と閑静な住宅地とが存立する地区内を西へ、長大な石段を登り詰めますと、亀岡八幡宮が鎮座しています。

 同社は伊達家の始祖伊達朝宗(ともむね)が現在の福島県伊達郡高子岡に、1189(文治5)年に勧請したのが始まりとされています。現在地の社殿は、四代藩主綱村が1681(天和元)年に、既に二大藩主忠宗が仙台城下同心町に移していた同社を遷宮したものです。雪で覆われた石段を登った先には、深閑とした社叢の中に簡素な社殿がたたずんでいました。現在では住宅地としての色彩が色濃い亀岡地区ですが、鳥居前の一角は門前町としての風情もわずかに感じられまして、藩政時代におけるこの地域の姿を幾ばくか想起させました。

宮城県美術館

宮城県美術館
(青葉区川内元支倉、2014.12.23撮影)
国際センター西

国際センター西側の市道景観
(青葉区青葉山、2014.12.23撮影)
国際センター駅

国際センター駅
(青葉区青葉山、2014.12.23撮影)
仲の瀬橋からの眺望

広瀬川橋梁と国際センター駅を望む
(仲の瀬橋より、2014.12.23撮影)
せんだいメディアテーク

せんだいメディアテーク
(青葉区春日町、2014.12.23撮影)
定禅寺通

定禅寺通の風景
(青葉区春日町付近、2014.12.23撮影)

 亀岡八幡宮を参拝した後は、川内キャンパス北側の通りに出て、地下鉄川内駅のある一帯へと歩を進めました。川内駅周辺では、駅入口の工事が進んでいまして、南側のキャンパス内の新しい施設群と共に、より現代的な都市景観へと生まれ変わろうとしている様子が垣間見られました。川内キャンパスは、青葉山から下ってくる道路を軸に、北は2学年までの全学部の学生が通うキャンパス、南は文学系学部のキャンパスに分かれます。地下鉄駅ができる前は、川内駅のある市道はどちらかというとキャンパスの裏側の入口といったイメージだったのですが、地下鉄開業によりそのイメージは一新されました。仙台駅からは、これまでの市中心部を経由するバス利用から、所要時間およそ6分で到達可能となって、そのアクセシビリティは飛躍的に向上しました。

 川内駅から坂を下り、県美術館前の交差点を右折して、こちらも周辺整備が進行中の国際センター駅の様子を確認し、仲の瀬橋を渡って市街地へと戻りました。日が昇るにつれて歩道の雪は徐々に消えかけていましたが、散策路に残るわずかな雪が、冬らしい風景を演出する定禅寺通をそぞろ歩き、一番町通、中央通と辿って、仙台駅前に戻りました。


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