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東京優景 〜TOKYO “YUKEI”〜
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#50 東京リレーウォーク(31) 〜中野、青梅街道に沿った街並みを歩く〜 (新宿区・中野区) 2013年1月5日、この年最初の地域訪問となったこの日は、「東京リレーウォーク」として東京23区内を縦横に歩いていた活動の続きとして、一昨年11月に行った前回の終着地・大久保へ向かいました。大久保通りを西へ、中野方面へと歩き始めます。新大久保駅近くでは高層ビルや商業ビルが集積していましたが、北新宿あたりまで来ますと周囲は中低層のマンションや事務所・商業用途のビルを中心とした地域へと移り変わります。やがて南から北へと流れる神田川に行き着きますと、南には淀橋付近の高層ビル群がコンクリートに覆われた神田川の向こうに屹立していました。神田川は新宿区と中野区の境界となっています。
神田川を渡りますと、すぐ南に「桃園川緑道」との表示のある案内板が設置された遊歩道があるのが目に留まりました。桃園川は荻窪駅近くにあった湧水から源を発して東へ流れ神田川にそそぐ支流です。現在ではすべてが暗渠となっていて、阿佐ヶ谷駅の東方で中央線の南に出るあたりから下流にかけては緑道として整備されています。緑道に設置された表示板には、江戸期には周辺の水田を潤す農業用水路として、幕府の援助で善福寺川から引水して供用されてきた歴史が紹介されていました。大正末期から昭和初期にかけて行われた土地区画整理により蛇行した流路が直線化され、周辺地域はその後急速に都市化、高度経済成長期に下水の幹線となり蓋がされ現在に至ります。桃園川に限らず、東京都区部や多摩地域にある小河川の多くがこのような変遷をたどり暗渠化・緑道化されています。 穏やかな住宅地域の中を進む桃園川緑道をしばらく辿り、山手通りを越えたあたりから南へ緑道をそれて、中野警察署あたりから青梅街道へと出ました。青梅街道は1603(慶長8)年、江戸城築城のために石灰を運ぶ道路として青梅と江戸を結ぶルートとして建設されました。藩政期を通じて、甲州街道の脇往還としても利用され、近代以降は多摩地域と都心とを結ぶ幹線道路となります。明治初期に作成された地勢図を見ても、青梅街道は農村的な土地利用が卓越していた地域の中にあって街村的な町場を擁する主要道路として描かれています。現在の中央線沿線にあたる地域が耕地や雑木林などであったのとは対照的です。1889(明治22)年に現在の中央本線の前身となる鉄道路線が新宿と立川の間で開業してからは、中央線沿線を軸のひとつとして多摩地域は成長していきますが、中野あたりにおける元来の市街地は青梅街道筋でした。前出の地勢図では、内藤新宿で甲州街道と分岐する青梅街道に沿って市街地が連接していることが見て取れます。
青梅街道を西へ進みますと、地下鉄新中野駅周辺に発達した商店街へと行き着きます。北にある新井薬師(梅照院)や、南西方向の妙法寺へ向かう参詣道が分岐していたこの地は、妙法寺へ向かう道の角地にあった茶屋「鍋屋」の繁忙ぶりが有名となり、その通りを鍋屋横丁と言い習わすようになったことから、「鍋横」と通称される商店街となり、付近一帯の通称名としても定着することとなりました。鍋屋横丁交差点を中心に広がるこの商店街は、中層のマンション建築も多いのですが、歩道にはアーケードがかけられて、伝統ある近隣商店街としての面影を残しています。妙法寺への参詣道の分岐点には近年まで妙法寺の所在地である堀ノ内までの旅程が刻まれた道標がありました。2002(平成14)年に道標はゆかりのある妙法寺付近へ移設されています。 鍋屋横丁交差点付近から北西へ、中野通り(都道420号)をショートカットするように続く道筋は古くから存在する道筋のようです。中野通りは現在の中野区における一大中心となっている中野駅へ向かいました。桃園川をなぞるように進む大久保通りを越えて、高層の建築物群が林立する駅前へ。中央線と地下鉄東西線が利用可能な同駅は、都心方面や新宿との良好なアクセス性から着実のその中心性を高めています。駅北側には中野サンプラザや中野ブロードウェイをはじめとした複合施設や繁華街が形成され、警察大学校の跡地を再開発した「中野四季の都市(まち)」も完成しています。 交通軸の変遷により多様に成長する中の街並みを一瞥しながら、中野駅の北側、新井薬師方面へ歩を進めました。 |
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