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シリーズ・クローズアップ仙台

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#58 再開発地域をめぐる 〜長町・仙台駅東、地下鉄東西線〜
 

 2008年9月7日、久しぶりの仙台フィールドワークを行いました。日帰りの日程の今回は、市内で進捗する再開発現場をめぐりながら、変化する仙台の街を感じることが主な目的でした。仙台市地下鉄の南の起点・富沢駅近くにある駐車場に車を止め、長町駅へ移動、2006年末以来の「あすと長町」エリアを概観します。長町駅の旧駅が立地していた場所を貫通する都市計画道路「長町八木山線」は既に完成しており、2010年度現在ではあすと長町大通り線を横断し、広瀬河畔通(都市計画道路・元寺小路郡山線)への貫通を目指すべく工事が行われている状況のようです。

 JR長町駅から、旧国道4号を南へ進み(2008年4月1日より、長町大通り線が正式に国道4号となり旧道は市道となりました)、基盤工事が進む市道あすと長町環状線を迂回する切り回し道路で高架をくぐり、あすと長町側に出ました(2010年現在、あすと長町大通り線まで道路は完成しています)。国道4号となり、既に多くの車両が通過している大通りを南へ、新駅・JR太子堂駅方面へ。まだまだ空虚な空間の上を空が大きく広がる再開発地の広大さと、広幅員の国道を通過する交通量との対比が印象に残りました。あすと長町が完成を見たとして、この大通りは果たしてこの地域を活性化させるための中枢となるのか、あるいは地域とは無関係な広域的な交通が通過するだけの道路となるのか、そういった視点での思いも頭をよぎりました。西側に駅前広場も完成したJR太子堂駅のホームから眺めた、だだっ広い再開発地域の光景は、これからどのような変化を見せていくこととなるのでしょうか。引き続き、あすと長町の変化を追っていきたいと思います。

あすと長町

あすと長町大通り線の景観
(太白区あすと長町一丁目、2008.9.7撮影)
あすと長町

JR太子堂駅よりあすと長町を眺める
(太白区太子堂、2008.9.7撮影)
仙台駅前

JR仙台駅前・地下鉄工事現場
(青葉区中央一丁目、2008.9.7撮影)
青葉通一番町

青葉通一番町(地下鉄工事のためケヤキが伐採される)
(青葉区一番町一丁目、2008.9.7撮影)
大町

西公園駅(仮称)予定地(青葉通・大町交差点付近)
(青葉区大町二丁目、2008.9.7撮影)
川内

東北大学川内北キャンパス内、川内駅(仮称)予定地
(青葉区川内、2008.9.7撮影)

 JR仙台駅西口のペデストリアンデッキを出ますと、ロフトの南、南町通へと続くバスプール付近にバリケードがつくられて内側に工事用の機材などが運び込まれており、いよいよ地下鉄東西線の工事が本格化しようとしている様子が見て取れました。仙台市ではすでに地下鉄南北線が完成しており、これと直行する第二の地下鉄線である東西線の建設工事が2015(平成27)年度の開業を目指して進められています。西端は太白区東部の住宅地域で多くのバス路線の結節点となっている「動物公園駅(仮称)」で、ここから東北大学などのキャンパスが立地する青葉山・川内地区を通過し、青葉通一番町から東二番丁通、南町通を経て仙台駅に至り、新寺、連坊、卸町エリアを横切りながら周辺で土地区画整理事業が進む「荒井駅(仮称)」へとつながる約14キロメートルの路線となります。

 低成長時代となって従来の通勤・通学客を中心とした旅客輸送には限界があることや、青葉通のケヤキ並木の伐採問題や広瀬川を渡河する橋梁にかかわる景観の問題、建設費や採算性に関連した問題など東西線の必要性への疑問視や悪影響を懸念する声も根強いようです。仙台市としては、東西線の整備目的として、外延的な市街地の拡大を抑制し、高速交通網の利用によるコンパクトな環境に配慮した集約的なまちづくりを目指すための重要な交通軸であるとしています。
仙台駅に近くビジネス街となっている南町通から東二番丁を北に折れ、仙台市街地の新たなランドマークのひとつとして東二番丁と青葉通の交差点の北東角に立つ仙台ファーストタワーの威容を一瞥しながら青葉通を西へ進みますと、青葉通一番町付近に地下鉄一番町駅(仮称)の出入口予定地を示す看板が設置されていました。さらに先、大町交差点付近に建設される西公園駅(仮称)付近とともに、駅建設のためケヤキ並木の一部が既に伐採されていまして、こちらも工事に向けての準備が着々と進んでいるようでした。ケヤキ並木は工事の進捗とともに再生される予定ではあるようです。工事はまず駅の構造体を完成させてから、駅間を結ぶトンネルを掘削していく工法をとるとのことで、東北大学の川内北キャンパスの北側付近(仮称「川内駅」設置場所)や青葉山の東北大学工学部西側あたり(仮称「青葉山駅」設置場所)でも、駅建設に向けて工事が進んでいる様子を確認しました。

仙台駅東口

都市計画道路「元寺小路福室線」の工事現場、西方を望む
(宮城野区車町付近、2008.9.7撮影)
鉄砲町

鉄砲町の景観
(宮城野区鉄砲町、2008.9.7撮影)
和光神社

和光神社
(宮城野区鉄砲町、2008.9.7撮影)
東十番丁

東十番丁(都市計画道路)の景観
(宮城野区鉄砲町、2008.9.7撮影)


二十人町・矢先神社と町民館
(宮城野区二十人町、2008.9.7撮影)
二十人町

二十人町の景観
(宮城野区二十人町、2008.9.7撮影)

 青葉山からバスで仙台駅に戻り、東口に出て長年変化を観察してきた仙台駅東第二地区の区画整理施工エリアへと足をのばしました(2003年当時:#9#10、2007年当時:#52)。一目見ての印象は、古くからの建物がかなり少なくなり、仙台駅に近いエリアでは昔からの建物はほぼクリアランスされているといってもいい状況で、セットバックされた位置に新しい住宅やマンション、オフィスビルなどが建ち始めていました。空き地が広がる鉄砲町を東へ進みますと、かつての鉄砲町の姿を残す最後のよすがともいえる和光神社と向かいの瀬戸物店とが立ち並ぶエリアは辛うじて残されていましたが、神社の西隣にある町民館(鉄砲町の集会所でしょうか)に掲げられていた看板は取り外されて無造作に打ち捨てられたように地面に置かれており、建物の取り壊しが近いことを物語っていました。

 都市計画道路「宮沢根白石線」の一部として仙台市街地からの放射道路となる計画のため片側三車線の広幅員道路となった東十番丁を通り、同様に撤去間近と見られる二十人町の町民館(二十人町の鎮守である矢先神社に隣接)の前に出て、二十人町を西へ駅方面へ戻ります。二十人町を拡幅する形で整備される都市計画道路「元寺小路福室線」の予定地となる二十人町界隈も建物の移転がかなり進んでいるようで、セットバックされた位置で開業している店舗も見られました。二十人町に本店を構える仙台の老舗果物店は従来の店で営業していましたが、ここも例外でなく移動を余儀なくされることと思われました(2010年現在、旧所在地より南に下がった位置に移転開業しているようです)。都市計画道路「元寺小路福室線」は東十番丁と東九番丁との間が既に舗装工事を終えて供用が開始されていました。二十人町の南に残る建物の整理がつき次第、道路の基礎工事も進んでいくように思われました。

 仙台市街地で進む再開発や地下鉄工事の現場を確認し、この町が変わりゆく生の姿に触れて、ドラスティックに変貌を遂げていく現代都市の躍動を感じながらも、都市としてかなりの年月を経過し多くの市民の生活の舞台となっている「地域」のリストラクチャリングの二面性(外部の住民から見れば「遅々として工事が進まない」と見られる一方で、移転や地域変化の受け入れなどを迫られる当事者の視点に立てば「簡単に現状を受け入れられない」とか「じっくりとまちづくりを進めたい」とかといったふうに感じられるかもしれない、重層性)もにじみ出るような風景に接して、どこか複雑な思いもまた
抱かざるをえませんでした。


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