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#6 片品村から川場村へ 〜春の花咲く山里を行く〜 群馬県は関東内陸に位置するため沿岸地域と比べて夏暑く冬寒さが厳しい気候となります。そしてその沿岸と内陸の気候差以上に、平野部と山間部との差も大きいことは存外域外の方々にとってはあまり意識されていないのかもしれません。桜も散って、時に真夏日を記録することもある5月上旬に県北部の山里を訪れますと、そうした気候の違いをはっきりと認識することができます。4月下旬から5月上旬、ゴールデンウィークの期間が北部山沿いでは桜が見ごろを迎える時期となるからです。そんな5月上旬の快晴の下、片品村から川場村にかけてをめぐりました。
片品村は県北東部、利根川の支流片品川の最上流部に位置しています。本ページでもしばしばご紹介している尾瀬の玄関口の一つとして、冬場におけるスキーの本場としても知られる、伸びやかな自然に恵まれた山村です。2010年5月2日、尾瀬の入口にあたる大清水ではミズバショウやザゼンソウが花を開き始め、周囲ではソメイヨシノが満開を迎えつつありました。里では新緑が目に鮮やかとなる時期、山々の木々はまだあまり芽吹いていなくて、青葉の季節はまだまだ先です。群馬県の天然記念物に指定されている一本桜・天王桜(オオヤマザクラ)の姿を見たくて、花咲地区を翌3日に訪れましたが、開花はまだ進んでいませんでした。天王桜は推定樹齢300年、幹回り5.2メートルという巨木で、山々に抱かれるというよりは山全体をけん引するかのような立ち姿は壮大で、多くの人々の目を惹きつける存在です。 5月8日、再訪した天王桜は満開を過ぎて既に花を散らせ始めていましたが、濃い桜色の花弁は気品に満ちていまして、朱鷺色に染まる若葉のあでやかさとともに、山の斜面に一幅の錦絵を描いているかのようでした。ソメイヨシノは満開でみずみずしい色彩を青空に届けて、集落の山手にある水辺ではミズバショウも可憐な姿を見せていました。天王桜の程近い場所にあるオキノ桜を楽しんだ後、県道をそのまま西進して峠を越え、川場村方面へと車を走らせました。県道に近い場所では一部さみどり色の葉が生育してきていて、山里の遅い春の訪れを知らせてくれていました。
川場村は地域の中心都市沼田市の東に接する農業を主体とした村です。最北部に位置する武尊山(ほたかやま)から流下する川沿いに展開する水田には水が張られつつあり、田植えの準備が進められつつあるように思われました。川場村や沼田市を含む利根沼田地域は関東地方でも有数のリンゴの産地として知られており、畑ではリンゴのかわいらしい花がまさに満開となっていまして、この地域の春を象徴する景観をつくりだしていました。 残雪がきらめく山々に囲まれた川場村の田園風景はまさに爽快の一言で、春本番のあたたかさと活力とに満ち溢れているように感じられました。 |
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