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きらめきの上州譜

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#25 晩冬の城沼・多々良沼周遊 〜城下町の面影と白鳥の飛来する風景〜

 2021年1月18日、地元太田市からほど近い館林市から邑楽町にかけての地域を歩きました。群馬県内の地域区分で「東毛」と呼ばれるエリアの中で、最も東方に位置するこの地域は、渡良瀬川と利根川に挟まれた低平な土地が広がります。ゆるやかな川は多くの沼沢地を形成します。館林市街地に隣接する城沼はその代表的なもののひとつです。館林駅の東口から市街地を歩きながら、東へ。春はソメイヨシノやこいのぼりが美しい鶴生田川のほとりを歩きますと、城沼へと誘われます。館林城の天然の要害をなしていたことからその名で呼ばれています。

館林駅

東武館林駅(東口)
館林市本町二丁目、2021.1.18撮影)
鶴生田川の風景

鶴生田川の風景
(館林市城町、2021.1.18撮影)
尾曳稲荷神社

尾曳稲荷神社
(館林市尾曳町、2021.1.18撮影)
城沼・朝陽の小径

城沼・朝陽の小径
(館林市当郷町、2021.1.18撮影)

善導寺

善導寺
(館林市楠町、2021.1.18撮影)
鷹匠町武家屋敷

鷹匠町武家屋敷
(館林市大手町、2021.1.18撮影)


 初夏には花菖蒲が美しい花を咲かせる旧秋元別邸あたりから、時計回りに城沼のほとりを散策します。尾曳稲荷神社は1532(天文元)年の創建です。赤井照光の館林城築城にあたり、その鬼門の守りとして祀られました。尾曳稲荷神社付近から城沼の北岸を進む散策コースは、「朝陽の小径(こみち)」と名付けられているようでした。城沼の水辺の風景を間近に感じながら、春には桜が咲き誇るであろう並木道を進みます。湖岸には、尾曳稲荷神社をはじめ、善長寺や善導寺などの寺院もあって、歴史ある城下町の雰囲気を感じることができます。晩冬の城沼は、枯れた萱や蓮の茎が穏やかに鈍色の空に向かい合う風景が凛烈な印象でした。

 城沼の東端付近にはショッピングセンターのある一角があり、そこを通過し南岸へ徒歩を進めます。このエリアの大部分を占めているのが、「花山公園」の名でも知られるツツジの名所、つつじが岡公園です。国の名勝としては「躑躅ヶ岡」の名で指定を受けます。完全な「オフシーズン」となっている園内を散策しながら、市街地へ。館林城跡は市役所をはじめ、科学館や高校などの文教施設が立地し、国内における多くの城下町にも見られるような土地利用がなされています。市街地には、鷹匠町武家屋敷や長屋門、旧見番の建物などが残されて、往時の城下町としての佇まいを今に伝えています。館林駅を通過し西口側に出て進み、程なくして到達する国道122号を右折して北へ。小泉線の高架を越えた先には、多々良沼の東側へと連なる内陸古砂丘上の松林が見えてきます。かつて利根川が形成した自然堤防の跡で、その砂丘の一部は「彫刻の小径」として修景がなされています。

彫刻の小径

彫刻の小径
館林市西高根町、2021.1.18撮影)
多々良沼の風景

多々良沼の風景
館林市日向町、2021.1.18撮影)



白鳥が飛来する風景
館林市日向町、2021.1.18撮影)
浮島弁財天

浮島弁財天
邑楽町鶉新田、2021.1.18撮影)
多々良沼に飛来した白鳥

多々沼に飛来した白鳥
館林市日向町、2021.1.18撮影)
多々良沼の夕景

多々良沼の夕景
館林市日向町、2021.1.18撮影)

 多々良沼は、群馬県東部の沖積低地が広がるエリアの中では最大の面積を持ちます。沼は館林市と邑楽町に跨がり、沼を一周する散策コースは全長5.67キロメートルです。四季折々に美しい自然を感じながら、また遠景に広がる山々を眺めながら、穏やかなウォーキングを楽しむことができます。冬のこの時期は、白鳥の飛来地としても知られる多々良沼をめぐりながら、美しい夕日を望みました。沼に着き出すようにある半島の先には浮島弁財天があって、周囲は風下になるからか、多くの白鳥が水面に羽を休めていました。この日は多々良沼から最寄りの多々良駅まで歩き、活動を終えました。低平な大地とのびやかな沼沢に恵まれる館林周辺の地域は、そうした地勢に根ざした美しい自然と、風土に育まれているのだと実感しました。

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