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きらめきの上州譜

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#26 山笑う春の金山散策 〜やわらかな春色の里山を歩く〜

 2021年3月31日、地元太田市の中心に聳えるシンボル的な丘陵である金山を歩きました。冬から春へ、木々が緑色の濃さを増していく、まさに「山笑う」風景は、私が最も心躍らせる自然の大洋のひとつです。市内東金井町の神明宮境内から登る山道へと進みました。春空の下の金山は、芽吹きの季節を迎えて、萌黄色のモザイクを輝かせていました。

金山を望む

金山を望む
太田市東金井町、2021.3.31撮影)
神明宮

神明宮
(太田市東金井町、2021.3.31撮影)
十八曲がりの風景

十八曲がりの風景
(太田市東金井町、2021.3.31撮影)
金山山頂から北東方向を望む

金山山頂から北東方向を望む
(太田市金山町、2021.3.31撮影)

新田神社

新田神社
太田市金山町、2021.3.31撮影)
山頂の大ケヤキ

山頂の大ケヤキ
太田市金山町、2021.3.31撮影)


 この山道は、つづら折れのカーブを急登していくことから、「十八曲がり」と呼ばれていることは、以前本ページ内でもお話ししているかもしれません。尾根筋まで登りのカーブを上り詰め、尾根まで上がると道は緩やかになって、周囲の若葉もより瑞々しく目に入ってきます。木々の間からは、北東方向、太田市東部から足利市街地方面の眺望が利く場所もあります。息を切らせて上り詰めると、「実城山東方中腹北東暫壕」と刻まれた石碑が建てられた場所に至ります。実城とは、金山につくられた中世の山城である、金山城の本丸(山頂一帯)付近を指す言葉です。尾根に刻まれた堀跡が、その戦乱期の堀切が落葉に埋もれる風景は、歴史を越えてこの場所が人々にとって重要な生活の舞台であり続けたことを物語っているように感じられます。

 この金山城の北東側の尾根筋は、城の鬼門にあたることから胎蔵寺と呼ばれる寺院が建立されていたことが記録により判明しているようです。十八曲がりの入口の神明社には、その旧胎蔵寺の木製大日如来坐像が安置されています。やがていくつかの急な登り坂や狭い道幅の斜面などを経て、山頂へと到達しました。鮮やかに新緑が生えそろった大ケヤキをはじめ、見頃を迎えたソメイヨシノやサツキなどが美しく咲いていて、春ののびやかな空の下、城跡の石垣や池などの史跡を彩っていました、関東平野北縁の独立峰である金山からは、関東平野を一望の元に見渡すことができます。遠景は春霞に包まれてぼやけていましたが、眼下の太田市街地は穏やかな日差しに照らされていました。

金山城跡・日ノ池

金山城跡・日ノ池
太田市金山町、2021.3.31撮影)
山頂・ソメイヨシノと関東平野の眺望

山頂・ソメイヨシノと関東平野の眺望
太田市金山町、2021.3.31撮影)

金山城跡・大手虎口

金山城跡・大手虎口
太田市金山町、2021.3.31撮影)
物見台から北側の丘陵を望む

物見台から北側の丘陵を望む
太田市金山町、2021.3.31撮影)
東山ハイキングコース・水芭蕉群落

東山ハイキングコース・水芭蕉群落
太田市金山町、2021.3.31撮影)
八瀬川のソメイヨシノ

八瀬川のソメイヨシノ
太田市金山町、2021.3.31撮影)

 山頂北側の物見台からは、金山北側の丘陵をしなやかに見通すことができます。春の季節は、木々の若葉が滲むような黄緑色を呈し始めて、この上のない、清新な佇まいを鑑賞することができます。所々に山桜の桜色が混じる風景は、まさに春の至高の情景に他なりませんでした。金山から西山ハイキングコースを下り、金龍寺から東山ハイキングコースの水芭蕉群落、そして大光院を経て向かった八瀬川沿いは、ソメイヨシノが見事に、満開を迎えていました。

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