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仙境尾瀬・かがやきの時
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#3 2006年10月13日、秋の尾瀬を歩く(後編) 前半から続きます。 見晴〜白砂峠〜沼尻
沼尻〜大江湿原〜三平下 沼尻平からは、燧ケ岳が本当に間近に迫ります(写真29)。尾瀬ヶ原から眺めた燧ケ岳に比してやや穏やかなその容貌が、少々意外にも感じられます。水草に岸を覆われた尾瀬沼の様子は大江湿原へ進む木道からもしばしば眺めることができます(写真30)。沼の沿岸を行く木道は沼を見ながら、小さな湿原を通過しながら、森の中を突っ切りながら、軽やかに進んでいきます。峠を越えてきた足はこのあたりから疲れが出てきているようで、なだらかな木道でもだんだんとペースが鈍ってきているのが実感されます。沼尻を出て、沼がおだやかに入り江状に入り込んだ浅湖湿原を経て(写真31)、沼の東北に広く展開する大江湿原までのおよそ2.7キロメートルを踏破するのに約40分を要しました。 大江湿原は、福島県側から尾瀬に入山する最も一般的なルートである沼山峠休憩所からの道が通過する一帯に広がります。7月下旬は湿原一面にニッコウキスゲが咲き乱れる名所として知られています。目の前の広大な湿原−たおやかな草紅葉が光り輝く大地−が(写真32・33)、3ヶ月前には山吹色の花々で埋め尽くされていたとはすぐには信じられないほどです。尾瀬沼へ比較的大きな沢が流れ込む川口を形成している大江湿原は、まとまった平坦地を沼のほとりに提供していることもあって、付近は尾瀬沼ビジターセンター(写真35)や数軒の山小屋が集まる、賑やかなエリアです。ごつごつしたスカイラインの燧ケ岳も、大江湿原から眺めますと左右の均整のとれたバランスの良い形に見えるようで、けっこう味わいがあります(写真34)。ビジターセンター周辺には休息をとる多くのハイカーで活気に満ちておりました。ビジターセンターでは午後1時から12分程度の尾瀬の四季を紹介するスライド上映会を観ることができるとのことで、休憩も兼ねてそれを拝見させていただきました。 ビジターセンターから三平峠へ向かうルートも、沼のほとりに沿いながら、林の中を軽やかにつながっていきます。木道も整備されていまして、たいへん歩きやすいルートです(写真36)。ビジターセンター南からは再び群馬県の範域となっています。三平峠への山道が始まるふもと(三平下、写真38)の手前で、尾瀬沼と燧ケ岳が一望の下に見通せる場所があります(写真37)。三平下からは尾瀬沼へも別れを告げることとなりますので、この場所でしばし足を止めて、沼や山の美しい風景を目に焼き付けておきましょう。
三平下〜三平峠〜大清水 三平下からは、尾瀬を下山するルートをひたすら進みます。日帰りで尾瀬に入った私は、自家用車を置いた戸倉まで戻らなければなりません。三平峠を通過するルートの入山・下山口は大清水です。大清水を出発し戸倉を経由しながら沼田駅方面へ進むバスの最終便は午後3時50分ですので、このバスを乗り過ごすことができません。三平下〜大清水の約5.5キロメートルを約2時間かけて踏破します。三平峠までの上りは木道や木の階段が設置された緩やかなルートですので、段小屋坂に比べますとはるかになだらかで歩きやすい道です。三平峠には13時54分に到着しています。しかしながら、峠からの下り道は一般のハイカーからしますとかなりの急勾配に感じる下り坂となります。しかも木道などの歩きやすい表面の部分はかなり少なくて、ごつごつした石が葺かれた場所や、土や岩が剥き出しになった場所などがたいへんに多い、歩行には注意を要する山道が続いていきます(写真40)。なるべくであればゆったりとしたスケジュールで進むのが賢明です。途中紅葉が美しい眺めの場所(写真39)などもありますので、休憩を取ることも必要ですね。急な山道は休憩所のある一ノ瀬と呼ばれる場所まで続きます(一ノ瀬到着は14時34分です)。ここは尾瀬を縦貫しようと自動車用道路の建設が進められていた動きがようやく止まった場所であるようです。1970(昭和45)年9月に完成した「三平橋」は例外を除けば一切の車両を通過させない橋となっています。一ノ瀬ではしっかりと休息をとりましょう。大清水へは未舗装の県道を3.5キロメートル進まなければなりません。道自体は平坦なのですが、距離がありますのでけっこう過酷な道のりとなります。周辺の紅葉などを眺めながら、穏やかな気持ちで進んでいきましょう。 長い長い未舗装道路を歩いて、15時21分、ようやく大清水に到着しました。足はもうくたくたでした。バスが出発するまでの時間は、ベンチにかけながら名物の「花豆ジェラート」を食べていました。付近の山小屋では秋の味覚もキノコやアケビなど、実に色とりどりでしたね。
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