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シリーズ・クローズアップ仙台

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#117 片平丁から一番町、定禅寺通へ ~広瀬川と大通りの「みどり」を繋ぐ~

 2020年6月16日、この季節に久しぶりに訪れた仙台は、杜の都の鮮やかな「みどり」を体感しようと青葉山をめぐるところから始まり、広瀬川河畔の琵琶首丁、花壇を経て片平丁へと至っています。片平丁は、南町(五ツ橋)通・青葉消防署片平出張所西の交差点から始まる通りを指すと考えるのが現在の一般的な認識です。実は、元来の片平丁は北にもっと長く、藩政期には広瀬川に沿って北一番丁から現在の狭義の片平丁へと至る、仙台城下町では比較的総延長の長い街路でした。沿道には仙台藩重臣の大邸宅が並んで、藩主の居城である仙台城に相対していました。片平丁の地名の由来は、通りの片側が川で急崖に接する地形的な特徴にあると考えられています。

片平丁

片平丁の入口
(青葉区片平一丁目、2020.6.16撮影)
片平丁から広瀬川、青葉山を望む

片平丁から広瀬川、青葉山を望む
(青葉区米ケ袋一丁目、2020.6.16撮影)
片平丁の景観

片平丁の景観
(青葉区米ケ袋一丁目、2020.6.16撮影)
東北大学正門

東北大学正門
(青葉区片平二丁目、2020.6.16撮影)
東北大学片平キャンパス

東北大学片平キャンパスの景観
(青葉区片平二丁目、2020.6.16撮影)
東北大学片平キャンパス

東北大学片平キャンパス、一番町方向
(青葉区片平二丁目、2020.6.16撮影)

 霊屋下や向山方面から到達するバス通りともなっている片平丁は、緑豊かな佇まいながら、交通量も少なくない路線です。仙台高裁の前を過ぎ、片平丁小学校の校地との境界付近からは、広瀬川への視界が開けまして、この場所については本稿でも再三ご紹介してまいりました。このあたりは広瀬川や背後の丘陵地も間近で、街路樹も、敷地の大きい武家屋敷を反映した広い区画の施設が多くそれらの中も緑が豊富なこともあって、通過する自動車の多さの割には、とても落ち着いた環境が維持されているように感じます。なお、歩道に接する部分には、藩政期から残された石垣もあるようで、そうした遺産を見つけながら歩くこともできます。

 霊屋橋へと続く指導が分岐する交差点には。東北大学の正門が面します。構内へは一般の人でも自由に入ることができます。近年は新しい建物も建てられているキャンパスですが、時代を重ねた重厚な建築物も残されていまして、学都としての仙台の歴史を感じることができる場所です。現在は本部と一部の研究所のみが立地し、学部は川内や青葉山のキャンパスに移転しているため、学生の姿はほとんどありません。キャンパスの北門から続く道は一番町のアーケードへとつながりますが、その間の地区はかつて古本屋など学生を相手にした店舗が立ち並んでいましたが、往時の面影は今ではほとんどなくなっている印象です。

東北大学片平キャンパス北門付近

東北大学片平キャンパス北門付近の風景
(青葉区一番町一丁目、2020.6.16撮影)
五ツ橋通

五ツ橋通、北西方向を望む
(青葉区一番町一丁目、2020.6.16撮影)
五ツ橋通

五ツ橋通、東方向を望む(ウエスティンが見える)

(青葉区一番町一丁目、2020.6.16撮影)
一番町へ続く街路

一番町へ続く街路
(青葉区一番町一丁目、2020.6.16撮影)
南町通

南町通
(青葉区一番町二丁目、2020.6.16撮影)
サンモール一番町

サンモール一番町
(青葉区一番町二丁目、2020.6.16撮影)

 地区を斜めに横切る五ツ橋通を渡り、かつての仙台市電通りとして拡幅がなされた経緯を持つ南町通を横断しますと、一番町のアーケードへと至ります。南町通は仙台駅前から西へ、中心市街地を東西に貫く幹線道路の一つです。業務系のビルが多い印象のこの通りは、市電廃止後もその路線を継承した「中央循環」と呼ばれる路線バスが走っていましたが、現在ではその路線も廃止されているようで、中心市街地の主要道路の中ではどちらかというと目立たない存在になっているようにも感じられます。南町通から青葉通を越えて、中央通(大町)までが「サンモール一番町商店街」となります。アーケードは緩やかな上り坂となっていまして、河岸段丘の境目というわけではないのですが、傾斜のある段丘上にあるこの町の地形を感じることができるように思います。また、青葉通一番町の周辺は地下鉄開業から約5年が経過し、工事後再び植えられた付近のケヤキの木も鮮やかな黄緑色の葉をいっぱいつけていました。

 一番町の繁華街は、大町から広瀬通までの部分が「ぶらんど~む一番町商店街」のアーケード街となり、広瀬通から定禅寺通までの区間は、通りの両側に屋根付きの部分が確保されながらも中央部分は屋根がなく空を見通すことのできる「一番町四丁目買物公園」商店街となります。このふたつの商店街に並行する西側の国分町通のある一帯が東北最大の歓楽街となっていることも手伝って、日中から深夜にかけても人通りの多い界隈が形成されています。訪問時は新型コロナによる緊急事態宣言解除から一定の時間が経過していたこともあってか、私が見た限りでは、この時間帯における、通常の人通りに近い印象であったように思います。定禅寺通のケヤキ並木も、新緑の季節を過ぎていっそう緑濃い樹冠を街並みの宙空に添えていまして、現代の杜の都の象徴としての姿を見せてくれていました。

青葉通の風景

青葉通の風景
(青葉区一番町三丁目、2020.6.16撮影)
ぶらんど~む一番町

ぶらんど~む一番町
(青葉区一番町三丁目、2020.6.16撮影)
一番町四丁目買物公園

一番町四丁目買物公園
(青葉区一番町四丁目、2020.6.16撮影)
定禅寺通

定禅寺通
(青葉区国分町三丁目、2020.6.16撮影)
メディアテークから見下ろす定禅寺通

メディアテークから見下ろす定禅寺通
(青葉区春日町、2020.6.16撮影)
仙台駅前

JR仙台駅前(西口)、東口の建築中ビルが見える
(青葉区中央一丁目、2020.6.16撮影)

 定禅寺通を概観しながら再び一番町を南下、中央通(大町)を東へと進んで、仙台駅へと向かいました。仙台駅へと向かって、マーブルロードおおまち(大町)、クリスロード(新伝馬町;しんてんまち)、ハピナ名掛丁の商店街がいずれもアーケードとなって連続していきます。正午が近づくにつれて人通りも徐々に多くなっているようでした。仙台駅東口では、JR東日本による再開発が進められていまして、仙台駅の駅舎の向こうに、クレーンを載せた建築中のオフィス兼店舗ビルが顔をのぞかせていました。仙台の夏の一大イベントである七夕祭はこの年の中止が決定しています。そのような状況にあっても、少しずつ本来の喧騒を取り戻しつつある杜の都の中心街は、六月のさわやかな晴天に恵まれたこの日、とても美しく、しなやかに目に映りました。


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