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シリーズ・クローズアップ仙台
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#121 泉ヶ岳に登る ~区名の由来ともなった“市民の山”~ 2021年6月7日、新型コロナウィルスの影響もまだ残る中であったため、この年の仙台訪問は主に郊外における自然豊かな場所を中心にめぐることにしました。未明に地元を出て東北道の泉パーキングエリアのスマートインターチェンジより高速を降りて、泉区西部の田園地帯を西へ進みました。この日は薄曇りの天候でしたが、目的地の泉ヶ岳はその穏やかな山容をくっきりと見せてくれていました。
泉ヶ岳は仙台市域の北西部に聳える山で船形連峰に連なり、稜線が美しく広がる名峰と紹介されます。標高は1,175メートルの山なみは、仙台市内の広い地域から望むことができます。山麓にはスキー場もあり、比較的なだらかなハイキングコースであることから、家族連れでも気軽に登ることができる山として親しまれます。午前7時30分に、登山口となるオーエンス泉岳自然ふれあい館の駐車場に到着し、登山を始めました。山頂へは複数のコースがありますが、上りは七北田川源流と進む「水神コース」、下りはスキー場のゲレンデを通る「かもしかコース」を辿ることとしました。 仙台市指定有形文化財で、区内の根白石地区から移築されたという旧熊谷家住宅の横から、ゆるやかな山道へと歩を進めます。6月上旬になり、周囲は新緑の季節を過ぎ、徐々にその緑色を濃くしていました。木々は先ほどのふれあい館のホームページの中で紹介されている内容によりますと、カラマツやヤマハンノキ、ブナ、ダケカンバ、ミズナラなどの天然林が中心とのことです。豊かに輝く若緑の中に、ヤマツツジやタニウツギなどの花がささやかな彩りを与えていまして、石がゴロゴロする山道も、穏やかな気持ちで登っていくことができました。
黒鼻山への登山口でもある「関口」から本格的な登山道となり、「滑降コース」と呼ばれる登山ルートの「お別れ峠」へのルートを分岐する「水神平」を経て、七北田川源流付近の「水神の碑」まで、上りの山道を歩みました。水神平到着は午前8時20分前後、そして天然の石に大きく「水神」と刻まれた水神の碑への到達は午前8時40分でした。水神の碑は、1895(明治28)年の干ばつの際、降雨祈願のために建てられたものであると伝わります。碑には、現在の泉区の西部にあたる地域に存在した村名「泉嶽村」も刻まれます。農業と経済とが実質的に結びついていた往時の切実な実情が碑の文字や大きさに表れているようにも感じます。泉嶽村は根白石村と改称後、隣接する七北田村と合併し泉村となり、泉町、泉市を経て現在の仙台市の行政区としての泉区となっています。地域の命運を祈った泉ヶ岳の名は、時間を経て区の名前の中に息づいています。 水神の碑からは、七北田川源流域の谷筋を離れて、山頂へと続く道筋を進みます。山道は引き続き穏やかな緑に包まれ、足下には大小の岩石が転がる状況が連続していきます。ヤマツツジやオオカメノキ、キバナウツギと思われる花々も、可憐な色彩を輝かしい緑の中に溶け込ませています。やや大きい岩石が滞積する「大岩」地点(到達:午前9時8分)、さいの河原(到達:午前9時20分)を経て、山頂付近へと歩を進めました。山頂への到着は午前9時30分過ぎでした。中途からは、奥羽山脈方面や仙台平野方面への視界も利くようになっていましたが、薄曇りの天候の下、その風景は霞んでいました。
山頂からの帰路は、スキー場のゲレンデへと至る「かもしかコース」を進みました。下山するにつれて青空が覗くようになり、ミズナラなどの瑞々しい木々の緑が寄りその輝かしさを増してきました。途中、湿地上の窪地で水が溜まることがある「岡沼」の一帯を過ぎて、ウサギ平と呼ばれる場所へ。振り返って仰ぎ見た泉ヶ岳は、全山穏やかなさ緑色に包まれていていました。そこからの帰路にはスキー場のリフトが利用できましたが、ゲレンデの斜面も一面に若草色に覆われていて、初夏から盛夏へと、季節は着実に進んでいることを実感させました。 | |||||||||||||
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