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シリーズ・クローズアップ仙台

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#68 西公園から川内へ 〜地下鉄開通を控える広瀬川と緑と学びのエリア〜

 勾当台公園から定禅寺通りを西へ、ケヤキ並木の下を歩きますと春の新緑、夏の木漏れ日、秋の紅葉そして冬のイルミネーションと、四季折々の美しい風景に出合うことができます。一番町や国分町といった繁華街に接する一帯は日々変化する木々の景観を眺められるカフェ等の飲食店も多く立地しています。晩翠通りより西は商業集積は相対的に少なくなって、地域は古くからの住宅街に商店や事業所が残る中に中高層のマンションが林立し、総じて閑静な佇まいを見せています。かつて市電の都心環状部が通った西公園通りの西側は西公園で、広瀬川に望む桜の名所として知られる場所です。

定禅寺通

定禅寺通・新緑の風景
(青葉区国分町二/三丁目、2009.5.23撮影)


西公園・桜の季節
(青葉区桜ヶ岡公園、2012.4.28撮影)
広瀬川

大橋から北側の広瀬川を望む ※地下鉄工事本格化前
(青葉区川内/桜ヶ岡公園、2009.5.23撮影)


左写真と同じ場所 ※中央、地下鉄架橋が進んでいる
(青葉区川内/桜ヶ岡公園、2011.12.23撮影)

 西公園で主に桜が植栽されているのは広瀬通(仲の瀬橋・仙台西道路)より南側です。この区画は近年再整備が進んでいて、広い空の下穏やかに桜を眺められる公園として生まれ変わりつつあります。この一角の南には桜岡大神宮が鎮座しています。桜岡大神宮は、もと宮城郡荒巻(現在の青葉区千代田町地内)に祀られた荒巻神明社が、1872(明治5)年に西公園内に遷宮、1926(大正15)年に映されて現在に至るもので、藩政期は代々伊達家の崇敬を受けていました。

 西公園の南端は仙台城下町の東西の枢軸たる大町に接していて、芭蕉の辻からまっすぐ西へ通じる大町の通りと、戦後に新設された大通りである青葉通とが大町交差点で西公園通りと接合し、広瀬川を渡る大橋へとつながっていきます。現在西公園の南側は2015年に開業する地下鉄東西線の大町西公園駅の工事が急ピッチで進められています。

大橋西詰

大橋西詰、仙台城址旧大手門方向を望む
(青葉区川内、2011.12.23撮影)
大町西公園駅付近

大町交差点付近から西方向、地下鉄駅工事現場
(青葉区桜ヶ岡公園、2011.12.23撮影)
川内

川内北キャンパス付近 ※画面奥が地下鉄川内駅となる
(青葉区川内、2008.9.7撮影)
県美術館前

二高・県美術館前、北方向 ※画面奥が澱橋
(青葉区川内、2008.9.7撮影)

 仙台市街地の西を渓谷状に蛇行しながら流下する広瀬川は、市街地ケヤキ並木や周囲の丘陵の緑とともに、杜の都仙台を象徴するシンボルとなっています。仙台市は広瀬川の豊かな自然環境と清流にふさわしい良好な水質を保全するため、1974(昭和49)年に「広瀬川の清流を守る条例」を制定し、環境保全のための取り組みを進めています。大町交差点から広瀬川に架かる大橋へは段丘崖を下る格好となります。

 仙台城内への入口として重要な位置を占め続けた大橋は、1938(昭和13)年竣功のコンクリート橋が現役で使用されています。橋詰の四隅には石灯があって、城跡へ続く緑豊かな景観と見事に調和しています。大橋から眺める広瀬川の流れと周囲の緑、青葉山丘陵をはじめとする穏やかな山並みは本当に鮮やかで、ここが地方中枢都市の中心市街地近傍であることを忘れさせてくれます。西公園南端の大町西公園駅を出た地下鉄は大橋と仲の瀬橋との間で橋梁で広瀬川を超えます。橋梁工事は最終段階になっていまして、広瀬川を颯爽と渡っていく電車の見える風景が、自然が大都市と隣り合わせに共存する仙台の街の新たなランドマークとして定着することとなるでしょうか。
仲の瀬橋

仲の瀬橋から見た広瀬川(南方向) ※地下鉄工事前
(青葉区桜ヶ岡公園/川内中ノ瀬町、2008.9.7撮影)
仲の瀬橋

左と同じ場所を撮影 ※架橋工事は最終段階
(青葉区桜ヶ岡公園/川内中ノ瀬町、2013.11.2撮影)
広瀬川

仲の瀬橋付近の広瀬川(北方向を撮影)
(青葉区川内川前丁、2009.5.23撮影)
大工町

大工町の景観
(青葉区川内大工町、2009.5.23撮影)

 広瀬川の西は川内地区で、藩政期は仙台城を中心とした藩政の中枢、近代は第二師団の所在として軍事的な土地利用へと移行し、戦後は主に東北大学の構内として学都仙台を象徴する文教エリアとなっています。川内北キャンパス(全学共通の教室が集中しています)の北側では国際センター駅を経てつながる地下鉄の新駅(川内駅)の工事がここでも集中的に進められていまして、以前のキャンパス北側の比較的静かな住宅街としてののびやかな景観から大きく姿を変えつつあるようでした。

 川内地区は東北大学の構内や仙台二高、県美術館や国際センター、市博物館、公園として利用されるエリアや丘陵地を除いた北東から北側にかけての部分は総じて穏やかな住宅街となっています。都心に近接した立地ながら、戦前戦後を通じてまとまった範囲が一定目的で利用されてきた経緯や広瀬川や丘陵に囲まれた地形的な要因等も手伝って、そうした環境が保たれている要素であるといえそうです。仲の瀬橋の下あたりからは広瀬川の河原に降りることができます。杜の都を緩やかに流れる広瀬川の流れはどこまでもたおやかで、やさしさに満ち溢れているように感じられます。


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