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#10 太田市・金山を歩く 〜ハイキングコースで巡る古城跡〜 2018年4月8日、桜から新緑の季節へと移り変わる、地元太田市の金山に出かけました。太田市のほぼ中央に独立峰として聳える金山は、標高239メートル。戦国期には山頂付近に山城が建設され、その堅牢さを誇りました。金山には複数のハイキングコースが整備されていまして、その古城跡をめぐりながら、気軽な山歩きを楽しむことができます。
金山の南麓、子育て呑龍の名で親しまれる大光院近くの市営駐車場にて車を置き、境内へと進みます。開山堂への参道脇にあるイチョウの大木は鮮やかな新芽を付け始めていまして、臥竜松の向こう、桜色の八重咲きの花を春風にしならせているシダレザクラと穏やかな対照を見せていました。開山堂と本堂とをつなぐ回廊の下をくぐり、弁天堂のある池の横を抜けていきますと、金山の山頂へ続くハイキングコースの入口へと進めます。一帯に植えられているソメイヨシノは既に葉桜となっていまして、周囲の山々の若葉と同化し輝いていました。ハイキングコースは新田義貞供養塔で知られる金龍寺方向と、そのまま山頂へと上る道へとの分岐に出ます。今回はそのまま「西山ハイキングコース」と呼ばれる、山頂への散策路へと向かいました。 金山を象徴する木のひとつに、松があります。大光院の周辺や、水道山と呼ばれる、水道施設周辺の親水公園辺りには松が多く自生していまして、万葉より詩歌に詠まれてきた金山の美しい歴史を感じさせる風景となっています。近年では松以外の木々も多くなり、金山全体としては常緑の木本がその多くを占めるようになっていまして、晩春から初夏を迎えるこの時季では、日を追うごとに山肌が淡い若草色からエメラルドグリーンへと変化していく様子を観察することができます。ツツジが芽吹き、明るい緋色の花が徐々に開き始める風景を探勝しながら、やや急勾配の山道を登っていきます。スミレやヤマブキなどの花々も路傍に確認できまして、初夏の到来を随所に彷彿とさせます。道はやがて山頂へ続く尾根筋をゆくようになり、そこからは谷筋を越える位置などを除けば比較的平坦な山道へと移り変わります。場所によっては麓への視界が広がっていまして、関東平野を広く望むことができます。
やがて山頂近くのモータープルへと到着し、ここから実城と呼ばれる山頂への道筋は、史跡としての金山城跡のエリアと重なっていきます。空堀の跡や、井戸としての機能を有した日ノ池、月ノ池、そして近年の整備事業によって鮮やかに復元された石垣など、中世における山城の景観を存分に体感できる風景が広がります。北西側の急な山道をとれば、北西方向への視界が広がる物見台へ向かうことができます。間近に上毛三山のひとつ赤城山などを眺める風景はまさに壮観です。山頂の大ケヤキや新田神社を拝観し、南側の中島知久平翁を記念したスペースなどをめぐりました。南面するスペースからは、条件がよければ富士山頂や東京スカイツリーも視認することができます。帰路は車道を下り、紅葉の名所として知られる金龍寺を経由して大光院へと戻りました。紅葉が美しい場所は、すなわち深緑もきれいに観賞できるということで、石段を包み込むカエデはまさにみずみずしい葉を樹冠に蓄え始めていまして、盛夏への階段を上り始めていました。 |
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