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きらめきの上州譜

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#11 伊勢崎市街地から赤堀しょうぶ園へ 〜上州の典型的な仲夏の風景〜

 2018年6月16日、地元を東武伊勢崎線で出発し、太田駅を経て終点の伊勢崎駅へ。そこから北へ、赤堀しょうぶ園まで向かうルートを辿りました。伊勢崎駅はJR両毛線との接続駅です。2010(平成22)年から2013(平成25)年にかけて段階的に高架化が行われ、駅舎と駅前広場なども一新されました。駅は中心市街地からやや北に外れた立地で、南口にスーパーマーケットがあるほかは駅前らしい商業集積は認められない現況です。北口に至っては、目の前に畑地が存在していまして、モータリゼーションが進んだ地方都市の駅前の姿が如実に表れていました。

伊勢崎駅北口

JR伊勢崎駅北口
伊勢崎市喜多町、2018.6,16撮影)
製造業の工場

製造業の工場が見える風景
伊勢崎市末広町、2018.6,16撮影)
北部環状けやき通り

北部環状けやき通り
(伊勢崎市堤下町、2018.6,16撮影)
華蔵寺公園

華蔵寺公園
伊勢崎市堤西町、2018.6,16撮影)
華蔵寺

華蔵寺境内より観覧車を望む
伊勢崎市華蔵寺町、2018.6,16撮影)
上武道路

上武道路
伊勢崎市波志江町、2018.6,16撮影)

 北口の道路は程なくして住宅地域の中へと吸い込まれました。自動車部品工場なども立地して、製造業が盛んな伊勢崎市の現代的な町並みといえる風景が連続していきます。市街地の北部を環状に通過する、北部環状けやき通りのあたりまでは、穏やかな住宅地が広がっているという印象で、高度経済成長期以降、もともと田園風景が広がる中に製造業が立地、さらに人口の増加に伴い宅地化していった過程が見えるような景観です。環状線を北へ渡りますと、市営の遊園地を含む華蔵寺公園へと行き着きます。大観覧車は伊勢崎市のシンボル的な存在で、その大きさは北関東一とのことです。周辺には運動公園なども立地して、市民の総合的な余暇活動の場となっています。公園の東に隣接して、公園の名前の由来である華蔵寺があります。天台宗の古刹である同寺には、樹齢400年とも言われるキンモクセイ(国天然記念物)がありますが、台風被害により往時の樹勢は失われています。

 華蔵寺公園の施設群を一瞥した後は、さらに北へと足を伸ばします。周りの景色は徐々に田園風景に移り変わりまして、麦が色づく、いわゆる麦秋の光景が展開していきます。群馬県は冬の日照時間が長く、かつ火山灰性の土壌で水はけがよいという特性を生かして、夏場の稲作と冬場の小麦栽培を同じ水田で行う、いわゆる二毛作が盛んに行われてきました。そのため、6月中旬の、他の産地では田植えが終わっている時期であっても、収穫を間近に控えた小麦が水田に美しい色彩を見せているということが日常的な風景として存在しています。北関東道をくぐり、国道17号のバイパスである上武道路を越えますと、そうした上州の典型的な田園風景がより顕著になって眼前に広がっていきます。部分的には刈り取りが終わって、田植えを待つ段階の田んぼも見受けられました。

麦秋の風景

麦秋の風景
(伊勢崎市波志江町、2018.6,16撮影)
赤堀しょうぶ園

赤堀しょうぶ園
(伊勢崎市下触町、2018.6,16撮影)
伊勢崎神社

伊勢崎神社
(伊勢崎市本町、2018.6,16撮影)
旧時報鐘楼

旧時報鐘楼
伊勢崎市曲輪町、2018.6,16撮影)
いせさき明治館

いせさき明治館
伊勢崎市曲輪町、2018.6,16撮影)
同聚院の武家門

同聚院の武家門
伊勢崎市曲輪町、2018.6,16撮影)

 上武道路を渡り、水田に隣り合う集落の中を進みますと、赤堀しょうぶ園へと到達することができました。花はやや見頃を過ぎていましたが、国指定史跡である女堀の遺構を埋めるようにして、白や薄紫や濃紺のハナショウブが咲き誇っていました。女堀とは、中世に開削された大規模な灌漑用水の跡で、その背景は不明な部分が多く、また実際に使用された形跡もないとうものであるそうです。しょうぶ園を観覧した後は伊勢崎市街地へととって返し、藩政期の城下町を基礎とした屋敷門や、近代以降も機業により存立した事物を訪ねました。地方都市の一般的な風景を観察しながらも、上州におけるさわやかな仲夏の風物を堪能できる散策となりました。

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